Category Archives: おすすめ音楽

#Morris Day と #Babyface のアルバムに心ときめく

もうすぐ65歳になるモーリス・デイ(Morris Day) と、64歳になったベイビーフェイス(Babyface)。
プリンスファミリーの一員として時代を駆け抜けたモーリスと、百戦錬磨のプロデューサーとしても名を馳せたベイビーフェイス。ともに60歳を超え、円熟味マシマシの二人が、ほぼ時を同じくして久し振りのアルバムを発表した。いずれも多くのゲストミュージシャンを迎えてのアルバム、更に収録時間が40分前後という短さも共通点。モーリスに至っては何と18年ぶり、ベイビーフェイスは7年ぶりというブランクでの発売に、心がときめいた。

左がモーリス、右がベイビーフェイスのアルバム

モーリス・デイの存在を知ったのはもちろんプリンスの映画「パープル・レイン」から。ザ・タイム(The Time) というバンドのボーカルを務めていて、ちょっと滑稽な兄ちゃんみたいな風貌と動きが、個人的には結構ツボだった。

プリンスとはちょっと異なる色気みたいなものを持ち合わせていて、それがまたバンドとしての魅力の一つでもあったが、ザ・タイムの全盛期はプリンスが提供した楽曲ばかりを演奏し、歌っていたため、プリンスの二番煎じのように感じたのも事実。とはいえその事実を知ったのは結構時間が経ってからだったし、その頃はそれほどプリンスに熱を上げていなかったこともあり、ふうん、そうなんだ…程度にしか捉えていなかったのだけど。

ザ・タイム としての活動期間はさほど長くはなく、バンド名義のアルバムも4枚のみ。名称を使う使わないで揉めた挙句、「THE ORIGINAL 7EVEN(ジ・オリジナル・セブン)」という名義でアルバムを1枚発表しているが、その後、バントとしての大々的な活動はほとんど見受けられない。

ジャネット・ジャクソンを筆頭に、様々なアーティストのプロデュースを務めたJam & Lewisもこのバンドに所属しており、ザ・タイム名義での「最後のアルバム」となっている「Pandemonium」は、思い切り彼らの匂いがするし、前述の「THE ORIGINAL 7EVEN」も然り。が、それがまたモーリスの声とマッチしていて、個人的にはどちらも大好きなアルバムだ。
しかし、ソロ活動となるとなかなか苦戦を強いられているのか、どうしてもザ・タイム の影を払拭できぬまま、今日に至っているような気がする。

Continue reading

#森山直太朗 #20thアニバーサリーツアー『 #素晴らしい世界 』が素晴らしかった!

我々にとっては2度目となる森山直太朗のコンサート、しかも自宅からほど近いところにある弘前市民会館でのコンサートということで、CMを観た瞬間「行く!」と言い放った妻の一言で、すぐにチケットを入手した。

11月3日文化の日。この日の弘前市は、あいにくの雨。紅葉を濡らすというよりも、既に終焉を迎えつつある弘前公園の紅葉にとどめを刺すような、冷たい雨が降っていた。きっと明朝の岩木山は、相当白いものを山肌に纏っていることだろう。
いくら至近距離とはいえ雨に晒されたくなかったので、母にお願いして車で近くまで送り届けてもらった。会場入口の混雑はほとんどなく、17時45分に会場入り。(ところで最近、チケット半券の裏に名前と連絡先を書いてくれ、と言われるが、あれって意味あるんですか?)

約1400人収容のホールは、満員御礼となったようで、既に観客の大半が入場済。席について見渡すと、2009年に青森市で観た前回と同様、性別年齢問わず、非常に幅が広い客層だ。
開演5分前までは会場の撮影が可能ということで、迷うことなくステージの写真を撮影した。

開演10分前。ステージ上のスクリーンには、これまで積み重ねた弾き語りの模様と思われる画像がキャプチャされていた。

初めて弘前で観る森山直太朗。どんな演奏を、どんな歌声を、そしてどんなMCを展開するのだろう。新型コロナが再び感染増加の傾向にある中、不特定多数の人たちでビッシリと埋まった客席に少し狼狽しつつも、期待で胸がどきどきし始める。

18時ちょうどに客演が落ち、スクリーンには今回のツアータイトルでもある「素晴らしい世界」の文字が躍る。そして、幕が上がると、6人のバンドメンバーを従えた彼が美声を轟かせ始めた。
その声に、思わず身震いするというか、全身に電流が走るような感動を覚える。

今回のツアーは20周年の記念公演として、来年まで全国で100本を予定していて、弾き語りの前篇、ライブハウスを主会場とした中篇、そして、現在繰り広げられているフルバンド体制での後篇という構成となっている。前回観た13年前とは、全く趣の異なるコンサート。
MCでは、ツアー前篇で離島を中心にこれまで未開だった地を訪問したこと、迎える側の姿勢というのを改めて認識したといったことなどを語っていた。
また、今回タクシーで会場入りした際、弘前市民会館のある弘前公園が「世界一の」桜の名所だと聞かされ、改めてその時期に訪れたい、といった主旨のことを話していたが、かつて、彼の代名詞ともいえる「さくら」を引っ提げて、桜前線に合わせて全国を巡るといったことをやっていた記憶があるのだが、その時には弘前を訪れていなかったのかな。
もう一つ気になったのが、「岩木山」を「いわきざん」と2度も発言していたこと。どうやら、弘前市周辺の地域に対する知見はあまり持ち合わせていなかったようだ。

市民会館東側の辺り。 メンバーが1人いない。

10年以上前に青森市で観たコンサートの時も、「いつか弘前に来てほしいけど、次は八戸というオチだったりして」と綴ったら本当にその通りになってしまい、その後、全くといっていいほど音沙汰がなかった。いや、もしかしたらツアーで来県していたのかもしれないが、こちらのアンテナが低過ぎた。もっともコロナ禍で、コンサートに足を運ぶことも自重していたので…。

ツアータイトルとなっている最新アルバムの「素晴らしい世界」からの楽曲に、新旧の名曲を織り交ぜたステージ、中盤のセット切替の場面では、ショートムービーが映し出され、その後の会場の雰囲気が一気に変わるということがあったり、思考を凝らした仕掛けが用意されていた。

もう一つ驚かされたのは、脇を固めるバンドメンバーの多才ぶり。さまざまな楽器が登場した。

しかし、相変わらず歌が上手い。本当に上手い。ファルセットも多用した歌声が、スーッと心に沁み入る。その声に、50歳を超えたオッサンの琴線に触れまくり。ずーっとウルウルしながらステージを見つめていた。

今回、コンサートに足を運ぶことを決めてから、あまり予習をしなかった。新しいアルバムも、そんなに頻繁に聴いたわけではなかった。

せっかくなら生で(もう一度)聴きたいなあ、と思い浮かんだ楽曲を胸に秘めながらステージを凝視していたが、そのほとんどの楽曲を演奏してくれたのだから、それはもう大満足なワケで。

オープニングから本編最後まで、更にはアンコールまでと、心の底から音を楽しむ、そんな優雅な約2時間半だったし、聴きたいと思っていた楽曲が始まった途端、涙腺が一気に決壊したり、うちに秘めていた何か(モヤモヤとかの類)を吐き出した感じ。ある意味「癒やし」になったのかも知れない。そうだよ、「音楽」は音を楽しむんだよ。

コンサート終了後は、その日のうちに次の会場である盛岡市に向かったようだが、本当に楽しいひとときだった。

スタッフのTwitter記事を借用。へばな、の使い方も正しい。

チケットは完売しているところもあるようだが、来年まで続く長丁場のツアー(東北地方も数か所回るようだ)、都合と時間が合えば足を運んで欲しい、そうお勧めできるコンサートだった。

いやぁ、久し振りに心底感動したわー。

名盤に罪はない #GeorgeMichael 『 #OLDER 』

1996年に発売されたGeorge Michaelの3枚目のアルバム「OLDER」。「Faith」「LISTEN WITHOUT PREJUDICE Vol.1」に次いで発表されたアルバムだが、「LISTEN~」のvol.2が日の目を見ぬまま、ソニーとの法廷闘争に突入した結果、前作から6年間も待たされることとなった。

元々アルバム発表のインターバルが短いことで知られる、大好きなもう一人のアーティストPrinceも、レコード会社とのトラブルという似たような境遇に陥り、名前を変えたり自分のレーベルを立ち上げたり、最大限の抵抗を試みていたような気がするが、この頃、密かに意気投合していたという噂も聞いたことがある。

いずれにせよ、PrinceもGeorge Michaelもレコード会社とのゴタゴタで大分心身への疲労が蓄積してしまった気もするが、なぜが双方ともに晩年には元の鞘に収まる不思議な巡り合わせもあったり。何よりも、そんな二人が相次いで早逝したことは、衝撃的過ぎたワケで。

さて、この度発表された「OLDER」のリマスター盤、何種類かパッケージが用意されていて、最も高価なものだと、レコード3枚とCD5枚、さらに写真集が同梱された「Deluxe Collectors Edition BOX」(しかもレコード3枚とCD2枚は音源が同一という、最近のデラックス盤にはありがちな、ファンのみ垂涎のコレクターズアイテム)が用意されたが、既に国内では発売する気がないらしく、輸入盤のみでの取扱となっていた。

しかし、一ファンとしてどうせ購入するならば、と1万円札3枚出してやっとおつりが来るというその作品に、迷うことなく触手を伸ばしゲット。

Continue reading

【新作聴いてます】『今、何処』 佐野元春&ザ・コヨーテバンド

昨日のこと、元首相が狙撃され、命を落とすという痛ましい事件が発生した。世界情勢は不安定の一途を辿っていると思っていたが、国内においてこうした事件が起こること自体が信じられず、何度も繰り返し見せられているものが、映画ではなく現実なのだと考えただけで身震いがし、思わずテレビのスイッチを切った。

このご時世において、音楽を通じて社会に警鐘を鳴らす国内のミュージシャンは、どれぐらいいるだろう。ラップやヒップホップ系の表現者も結構過激に(しかも、どちらかといえば偏向気味に)社会批判を繰り返しているようにも思えるが、僕が知る限りだと、70年代のフォークソングには音楽を武器にして社会の不条理を訴えていたものが結構あったような気がするし、その潮流は、80年代以降に活躍し、今もなお名を馳せるアーティストたちに脈々と受け継がれているような気がする。佐野元春はもちろん、桑田佳祐、(故)忌野清志郎、山下達郎などは、時として思わずドキッとさせられるような痛烈な社会批判や世相、時事、政治社会への皮肉、鋭い指摘をぶつけることがあると僕は思っている。その一方で、今回のようなおぞましい事態が起きてしまった今こそ、人々の不安を少しでも和らげ、不安定な状況を安定な方向に導く「言葉」、それは音楽であり文芸であり、が、とても重要なんじゃないかとも思っている。時として「言葉」は人を傷つけ、暴力となることもある。一方で、深いやさしさ、慈しみを持つのも言葉だと思う。好き嫌い様々あるのは仕方がないこと。でも力でねじ伏せる、それも銃器を使ってまで言論を封じ込めるということには、憤りしか出てこない。

またしても前置きが長くなった。

佐野元春の歌詞に魅了されてから長い時間が経つが、今回発表された『今、何処(Where Are You Now)』の歌詞も、相当奥深い。歌詞だけではなく、音も。いや、そんな「奥深い」なんていう単純な一言で済まされるものではないぐらい、重厚な内容となっている。

3月に有料生配信された WEB番組「元春TV SHOW」 では、春と夏にアルバムを立て続けに発表すると公表された。僕もその時の番組を観ていたが、春には10曲で構成された配信限定のアルバムを1タイトル、また7月上旬には14曲で構成されたもう1タイトルの新作アルバムを”パッケージと配信”でリリースするとのことだった。

その時は「7月のアルバムは2枚組になる予定とか?」という振りに「いや、そうじゃない。14曲で構成されたアルバムで、2枚組ではない。」ときっぱりと否定した元春。

しかし、蓋を開けてみると、配信限定だった4月のアルバム『ENTERTAINMENT!』はCD化され、今回発表されたもう一枚のアルバム『今、何処(Where Are You Now)』に同梱された「初回限定デラックス盤」として発表された。

Continue reading

ブラック・ミュージックがもたらす妄想の世界

懐古主義といわれても仕方がないのだが、50代を過ぎた今も聴いている音楽は、80年代から90年代に掛けての曲がメインだ。つまり、四半世紀以上前の曲に未だに夢中になり、没頭している、ということ。
とりわけ最近は、いわゆる「ブラック・ミュージック」と言われていた音楽を好んで聴いている。
ブラック・コンテンポラリー、R&B、Rap、New Jack Swing…さまざまなジャンルへと派生されていったブラック・ミュージックの数々。

そんな中、最近どっぷりと嵌ってしまったのが、2020年11月から段階的にタワーレコード限定で発売されている「Midnight Love – SMOOTH R&B ESSENTIALS」のシリーズ3部作。ソニー、ワーナー、ユニバーサル、それぞれのレーベルに属していたアーティストの珠玉の名曲が、これでもかと言わんばかりに収録されている。32曲、32曲、48曲なので、計112曲。これだけ収録されていれば、もはや初めて耳にした曲だって気にならないし、逆に新しい発見があったりもするというものだ。
それぞれのアルバムの解説を務めるのは、ブラック・ミュージック研究の第一人者、JAM氏で、歌詞も付されているほか、最新のマスタリングが施された音源となっている(よって、全ての楽曲は一定の音圧で聴くことができる)。

のんべ
のんべ
画像をクリックすると、タワーレコードの各ページへ飛びます。ちなみにタワーレコード限定販売です。

しかし、若かりし頃、何でこんな曲ばかり聴いていたかということを考えてみたが、単なる「大人ムード」への憧れであり、その先にある官能的な世界の妄想に利用していただけだったのかも知れない。早い話が、スケベ心を掻き立てる一助となっていた、ということだろうか。
まだ「大人エレベーター」に乗るほどの段階ではなく、「大人への階段」の踊り場で、独りティッシュ片手にムニャムニャ…例えるならばそんな感じ。
今になって改めてこれらの楽曲を聴いてみると、新鮮な気持ちと当時の(いろんな意味で)モヤモヤした気持ち、感情が複雑に入り交じっていた当時のことを思い出し、ちょっと照れくさくもなる。

当時、FM雑誌に掲載されていた(ちなみに私は、1998年に休刊となった「FM STATION」派でした)チャートを眺めながら、一生懸命カセットテープを編集して(いつやってくるのかもわからない)ドライブに備えていたが、結局そのテープは自室でのBGMと化し、本来の出番を迎えることはなかった、なんてことを思い出した。

いわゆる「一発屋」の方々が多く収録されているのも特徴的で、これもまた当時の音楽業界が群雄割拠の状況だったことを示す一つの象徴なのだろうか、と思ってしまう。ちなみに、私がこよなく愛しているPrinceや、R&Bとは完全に一線を画することとなったMichael Jacksonはこれらの作品に登場しないが、Princeのカバー曲(Do Me Babyが収録されていたり、関連アーティストが数名登場しているのは、ちょっと嬉しい。

更に、このシリーズ第1作目が発表されるちょうど2年前、ユニバーサルミュージックから「NEW JACK SWING the Best Collection」なる3枚組50曲を収録したコンピレーションアルバムが発売されていたことを知る。このジャンルを確立させた人物と言われるGuyのメンバーでもあるプロデューサーのTeddy Riley、そして、歌い手の立場からそのジャンルを確立させていったBobby Brownをはじめ、一世を風靡したアーティストがてんこ盛り。内ジャケットには、収録曲のジャケットカバーが掲載されているのだが、その風貌がまた何とも当時を思い起こさせるいで立ちばかりで、これだけでも結構ニヤリとさせられる。レーベルを越えた日本独自の編集盤となっているほか、初CD化の音源も多数収録されており、これだけでも「買い」の要素は十分。

のんべ
のんべ
こちらはAmazonでも販売。安価なのは、Amazonかな。

個人的には、この4作品があれば、80年代から90年代にかけてのブラック・ミュージックの潮流を結構押さえることができるんじゃないかと思っている。

とはいえ、ラップやクラブミュージック、DJなど様々なジャンルの音楽がこの頃はひしめき合っていたのも事実なので、裏を返せばこんなのは氷山の一角、と言えるのかも知れないが。

昭和の時代に戻るならば、これらはいわゆる懐メロ、ムード歌謡といったジャンルに分類されても不思議ではない。
そして、何よりも強調しておきたいことが一つ。
収録されているアーティストの大半は、「あの人は今」に登場しそうなクラスの方々で占められておりますので、念のため。