今日の午前、前総務省消防庁長官の久保信保氏が、約50名の青森県職員を前に講演を行いました。
久保氏の略歴を簡単に紹介すると、昭和27年生まれ、福岡県出身。東京大学法学部卒業後、昭和50年に旧自治省入庁。広島県総務部長、広島県副知事、総務省自治財政課長などを歴任し、平成22年7月に消防庁長官に着任、今年9月に退任されました。
講演は、「地域主権時代に求められる公務員の資質~青森県職員に送るエール」と題して、ご自身が入庁されてから先般消防庁長官を退任するまでのキャリアのうち、通算18年間に渡って勤務した広島県庁時代のお話を中心に、ご自身の経験談などを語られました。
ちなみに事前に配布された資料には、消防庁長官時代に遭遇することとなった東日本大震災への対応をまとめた「東日本大震災へ教訓」がレジュメとして配布されました。この中では、岩手・宮城・福島の三県の被災状況や消防の活動状況が詳細にわたって記載されていましたが、結局その資料を開く機会は一度もありませんでした。
講演内容そのものについては、あくまで行政職員向け。
例えば自治省(現総務省)の(恐らくキャリア)職員は、全国4~5つの地方公共団体で勉強・研鑽を積むのが普通だとか、ご自身が平成の市町村合併や住基ネットの整備、指定管理者制度や地方独立行政法人の策定に関与したエピソードなどを披露されました。
終わる頃には、仲が良いという三村知事が突然乱入し、破顔一笑。場も和やかな雰囲気になりました。
質疑応答では3名の職員から手が上がりました。この応答が、結構興味深い内容だったので、備忘録がてらメモを残しておきたいと思います。
・地方の行政職員は色んな部署を転々とすることが多いと思うが、全ての職場における全ての経験が役に立つときが、いつか必ずやってくる。
・自分が正しいと思ったことは、実現させるよう尽力することが必要。「結果を出す」ことが求められる。正しいという主張を通すことではない。そんな独りよがりは何の意味も持たない。外の声に耳を傾けること。
・相手にとって良かれと思ったことでも、そうではないことだって多々ある。相手側の目線、立場で、どうすることを求められているかを考える。
・人間関係はとても重要だが、敵対関係になることもあるだろう。相手の案に一切賛成できないしても、お互いの立場を「理解し合う」ことは必要。
・職場から一歩身を引いて、社会を眺めてみる。仕事と関係のないことの知識や経験を深めることも大事。日頃から自分たちと異なる仕事をしている人たちとの接点を持つべき。
・仕事を進める上で、常に疑問を持つ。そして、その疑問に対して性急に回答を求めず、基本に立ち返るという観点から、まずは自分で調べ、考え、答えを自分で探してみる。そのためにも、直感を鍛え、推理力や想像力を働かせる。色んな文献を漁ってみることが、役立つことだろう。
ごくごく当たり前の話なのかも知れませんが、その当たり前なことを意外と忘れていたりするものです。そういったことからも、この講演を聞いて「気付き」のきっかけになったというだけでも、聴講の意味があったと考えています。
(平成24年11月6日午前10時から11時30分まで、青森県庁西棟8階中会議室にて。)