Daily Archives: 2019-06-12

サザンの翌日は、ノーザン。 #ノーザンホースパーク

サザンオールスターズの札幌公演翌日。
この日は、市内で開催されていたYOSAKOIソーランの最終日だった。全国各地からやって来た方々の迫力ある演舞を観覧するというのもこの時期でなければできないことだ。

しかし、僕の中ではこの日、どこで何をするかということが既に固まりつつあった。実は、昨年8月の北海道マラソンの際、新千歳空港に到着した直後に向かおうとしていたのが、そこだった。ところが運悪く、そこだけ集中的に雨が降るという事態に見舞われ、訪問を断念したという経緯がある。更にその3週間後のこと、北海道胆振東部地震での支援活動のため厚真町に向かうとき、毎日「社台スタリオンステーション」の前を通っていた。朝、広い牧草地に放牧されている数頭の馬の姿。いつか落ち着いたら、ゆっくりこんな光景を眺めたい、という思いが強くなっていった。

さて、改めてライブ当日に時計の針を戻そう。

数万人の観客が訪れた札幌ドーム。
22時を過ぎてもなお、行き交う人で溢れる札幌駅。
正直、これ以上の人の波に揉まれることに、嫌気が差していたのかも知れない。

「やっぱりノーザンホースパークに行こう…。」

実は、ライブ翌日の行動をどうするかは、ギリギリまで悩んだ。妻は一度ノーザンホースパークを訪れているし、本場のYOSAKOIソーランを目の当たりにしたことはない。二者択一となりつつあったが、自分の心からの願望に正直になろうと決めた。
そうと決まったら即行動。時間は限られている。8時半過ぎにバタバタとホテルをチェックアウト、8時50分発の快速エアポートに飛び乗った。新千歳空港に到着したのは9時27分。9時40分には、1時間おきに運行されるノーザンホースパークへのシャトルバスが出発する。
バス乗り場へと急ぎ、乗車。4名の乗客が既に車内にいた。9時40分に新千歳空港を出発したバスは10時過ぎ、目的地に到着。

ロッカーに荷物を預けて身軽になり、園内の散策を開始。まずは、「馬見の丘」を目指した。広々とした牧草地に佇む馬の姿を想像しただけで、ワクワクが止まらなくなった。階段を上り、馬見の丘に到達。
ドキドキしながら広い牧草地に目を向ける。

…あれ。いない。目を凝らすと、牧草を貪る1頭の馬。もっとこう、数頭の馬が戯れる光景を想像していたんだけど…。
でも、心地よい風の音だけが聞こえる高台は、我々以外に誰もいない。まさに独り占めの優越感に浸りながら改めて撮影した一枚は、このブログのバナーとして登場する。

さて、馬見の丘を離れ、厩舎に向かった。
引退した馬たちがのんびりと過ごす厩舎。

単に馬齢を重ねた訳ではない、純真無垢な瞳と、齢を重ねて深く刻まれた皺。
その馬たちの優しい目に、強く惹かれた。淡い恋心を抱きそうになるぐらい、美しい瞳。

まさに僕が渇望していた、「癒し」がそこにはあった。
かつて競走馬としてしのぎを削り、最高峰であるGIを何度も制した馬。レースに出場するも、一度も勝利することなく引退を余儀なくされた馬。

ここには色んな馬がいる。しかし、どの馬も優しさに満ちていた。
わずか2時間の滞在時間ではあったが、心の疲れを洗い流すには充分過ぎるほどだった。

パドックでは、馬術の練習なのか何かの検定なのか、若い子たちが馬に跨がり、凛とした手綱捌きを披露していた。

もう一度厩舎に戻る。いよいよお別れの時間だ。
「また来るからね。元気でね。」
格子状の網の向こうに指を伸ばし、そっと馬の額を撫でながら、心の中で呟いた。

残念ながら反応はなかったが、まるでこちらの心中を察しているかのような馬の佇まいに、最後までメロメロだった。

ノーザンホースパーク
〒059-1361 北海道苫小牧市美沢114−7
0144-58-2116
https://maps.app.goo.gl/MdCjHFuUZVHX4EmT6