岡村靖幸『マキャベリン』は、「ライブDVD」ではなかった。#岡村靖幸


4月3日に発売されたにもかかわらず、なかなか鑑賞の機会を逸していて、ようやく鑑賞することができた岡村靖幸の最新DVD「マキャベリン」は、2018年春に行われたツアーの模様(Zepp Tokyo)を収録したもの。

ちなみに、2019年の春ツアー「セレブリティ」も始まったところだが、今年は青森公演がすっ飛ばされたこと、6月以降、他のライブ鑑賞が複数決まっていることなどから、今年のツアー参戦を自粛しておりまする…。

さて肝心のDVDの内容、「映像作品」と謳うだけあって、観客席を撮影したショットも多く、完全なライブビデオとはちょっと異なる約55分。これにおまけ収録された2曲を加えると、約60分を越える構成。前作同様、ライブドキュメンタリー、といったところだろうか。でも、公演時間を考えると、やっぱり短いなあ、といった印象。


天井からステージ真下を撮影するショット、歓喜に咽ぶ会場の全景、そして、したたり落ちる岡村ちゃんの汗…。前作よりも圧倒的にステージのシーンが多くなったかな、と。それはそれでいいと思います。

ちなみに収録されているのは以下の12曲+2曲(※デラックスエディションのみに収録)。

Out of Blue
ぶーしゃかLOOP
ヘアー
彼氏になって優しくなって
愛の才能
忘らんないよ
あの娘僕がロングシュート決めたらどんな顔するだろう
だいすき
Punch↑
祈りの季節
愛はおしゃれじゃない
ビバナミダ
弾き語り~東京編(※)
卒業写真(※)

事前に収録曲が明かされなかったため、手にした作品を見て、あれが収録されていない、あれも収録されていないじゃないか!と茫然自失となったが、こればかりは仕方ない。個人的には、デラックスエディションのみに収録された、ねっとりした弾き語りがストライクでございました。

正直、ここ数年のセットリストが何となく固定化してきたこと、ステージ構成もあまり代り映えしないこともあり、ちょっとマンネリ化してきたかなあ、といった思いを抱きつつも(ファンの皆さんごめんなさい、個人的には岡村ちゃんの脇を固めるダンサーの方々が相変わらずちょっと…なのですよ。)、やはりこうやって映像を見ると、昨年青森で観た公演のことが蘇ってきて、ちょっと興奮したじゃないですか。

ちなみにデラックスエディションは完全受注生産となっていて、写真集と月替わり卓上カレンダー(8月始まりの12か月分)が同梱。ジャケットに描かれた、ほしよりこさんの猫がかわいいっす。

1月に発売された新曲「少年サンデー」も好評だったみたいだし、きっとツアーも盛り上がることでしょう。

岡村靖幸の映像作品「マキャベリン」は、現在通常盤のみ購入可能です。


JOY-POPSのこと #thestreetsliders


僕が彼らのことを知ったのは高校2年の時だった。

音楽雑誌の裏表紙、新しく発売される「天使たち」というアルバムの名前とは裏腹に、見るからに強面でひねくれたような、鋭い視線を送る4人の男たち。とても天使とは程遠いとしか思えない彼らは、「THE STREET SLIDERS」という名のバンドだった。

程なく、彼らのアルバム「天使たち」が収録された(正しくは、友達からダビングしてもらった)カセットテープを入手。

重厚な低い音、そして嗄れた声を初めて聴いたとき、これまで触れたことのない、そして、触れてはいけない何かに初めて触れてしまったような、そんなザワザワするような居心地の悪さ。それと同時にポップミュージックを好んで聴いていた僕にとって、何だか新しい扉を開いたような、そんな気分だった。

「天使たち」は彼らにとって5枚目のアルバムだった。どちらかと言えば玄人好みというか、業界人受けするバンドだったらしく、満を持してのブレイク、といっても過言ではないだろう。

そして僕は、その後「Joy-Pops」と店名を変えることとなる弘前市内の某レコード屋に足を運び、初期の頃の楽曲をリミックスして収録した、彼らにとって挨拶代わりとも言えるアルバム「REPLAYS」を購入した。それが、初めて購入した彼らのアルバムだった。

THE STREET SLIDERS。
1980年にバンドを結成、1983年3月にメジャーデビュー。86年11月まで5枚のアルバムを発表しているので、かなりハイペースだったことが窺える。というよりもこの頃は、1年足らずのインターバルで次のアルバムが発売される、ということは日常茶飯事だった。
洋楽が隆盛を極めていた時代でもあり、国内はバンドブーム。新たな音楽が次から次へと溢れ出てくるというよりも、音楽そのものが飽和状態にあって、本当に聴きたいと思った音楽に辿り着くまで色々寄り道してしまう、大袈裟に例えるならばそんな時代だったかも知れない。

彼らの音楽は、ロックとブルースとダンスの融合、時々ポップ。
見た目は完全に武骨なロックンロールバンドなのに、サウンドを聴くと、ゴツゴツした中に繊細さも垣間見えて、実はとてもきめ細やかなバンドなんじゃないかと思うようになった。
そして大学生の時に、初めて彼らのライブに足を運んだ。が、彼ら4人の姿を生で見たのは、その時が最初で最後となった。
さほど広くないホールに集まった、お世辞にも、決して素行がいいとは言えなさそうな雰囲気の観客に圧倒されつつも、友人2人と開演を待つ。

やがて幕が開き、ギターとボーカルを務めるフロントマンのHARRYが声高に「ハロゥ」と叫ぶ。
その一言で始まったライブは、熱狂する観客とは裏腹にMCの一つもなく、4人の男たちが黙々とステージで演奏を繰り広げた。その光景にただ唖然としながら、ひょっとしたら僕みたいなにわかファンのクソ坊主が、コアなファンの集まる場違いな会場に足を踏み入れてしまったのだろうかという後悔の念を抱いているうちに、ライブは終わってしまった。

情けない話だが、結局何の楽曲を演奏したのかも覚えていないぐらい浮つき、焦燥していた。
圧倒的なステージ、それに熱狂する観客。それをまるで第三者のように傍観する、大学2年のクソ坊主。

これが僕にとって人生最初で最後の、THE STREET SLIDERSのライブ体験だった。

しかし、この前後からバンドとして活動休止(不慮の事故によるものもあった)を挟むようになり、ソロ活動も目立つようになった。

もう一人のフロントマンである蘭丸は、RCサクセションの仲井戸麗市とのユニット「麗蘭」を結成し、活動するようになっていった。

そして、いつかこの日が来るんじゃないかと思っていたが、不動のメンバーで20年間を駆け抜けたTHE STREET SLIDERSは、結局2000年に解散してしまった。

2003年に行われた、エピックレコードジャパンの25周年記念イベント「LIVE EPIC 25」。
東京公演のチケットが獲れず、大阪でこのライブを観ることとなった僕は、ステージに現れた男の姿を観て、唖然とした。

HARRYだった。

相変わらず何も言わず、おもむろに、そして黙々とギターを奏でながら、嗄れた声で「風が強い日」を唄い上げた。
あの日に観た、もはや説明のつかないライブとはまた違った身震いが全身を走った。
もう一度、彼らの姿を観てみたい。
そんな思いが燻り始めたが、それは叶わぬ夢だとわかっていた。大体、あの個性の強い4人が一堂に会するなんてあり得ないことだと思っていたからだ。

2008年、久し振りにHARRYの名前を目にした。「GATEWAY」と銘打たれたそのアルバムは、THE STREET SLIDERSのセルフカバーアルバムだった。
奇しくもTHE STREET SLIDERSのデビューから25周年。真意はわからないが、きっと彼なりのけじめの付け方だったのかも知れない。

更にデビューから30周年となる2013年には、蘭丸を除く元メンバーの2人(JAMES、ZUZU)が、HARRYのツアーに帯同したことを知る。この3人が揃ったのは、解散してから初めてのことだったそうだ。
否応なしにも高まる「THE STREET SLIDERS再結成」への期待。

しかし、そんなに簡単に物事は進むはずがなかった。

そして今年、デビューから35周年。5年毎にサプライズを巻き起こすHARRYが打って出た行動に、唖然とした。
蘭丸とかつて組んでいたユニット「JOY-POPS」を再結成、全国ツアーを行うというのだ。
二人が同じステージに立つのは、解散してから初めてで、18年ぶりだそうだ。

発表された全国ツアー最終日、7月8日の公演は、何と青森クォーターでのライブだった。行かない理由はないと、一人分のチケットを購入した。(その後続々と追加公演が発表され、現在9月末のビルボード東京・大阪まで発表されている。)

しかし、他の会場は軒並みソールドアウト(しかも即日完売の会場もあったぐらい)なのに、青森会場はまだチケットが残っているらしい。正直、寿司詰めの酸欠状態になるのも本意ではないので、少しぐらい余裕があってもいいかな、と思う反面、青森県民の「SLIDERS熱」はかつて相当だったと勝手に思っていただけに、意外な感じも受けた。

さて、すっかり浮き足立って内容を覚えていないあのライブから25年以上が経過した今日、果たしてあの時のクソ坊主は、彼らの姿を、彼ら2人の立つステージを、この目でしっかりと凝視することができるだろうか。

最近の動向を見聞きした話では、HARRY自身も色々人生の苦楽を重ねるうちに心境の変化があったようで、僕が知っている寡黙で無口なイメージではなくなっているらしいが、今から7月8日が楽しみで仕方がない。

そしてお楽しみついでにもう一つ。
何と、THE STREET SLIDERSのシングル集「The SingleS」(4枚組CD)が発売。
入手困難となったカップリング曲も含めた全54曲収録という圧巻の内容。リマスタリングが施されていて、音が素晴らしく良くなっております、ハイ。あの頃の時代を一緒に過ごした皆さん、これはマストバイです、ホントに。

もうね、ここまで来たら、次に期待するのはアレしかないでしょう。


『THE BARN DELUXE EDITION / MOTOHARU SANO and THE HOBO KING BAND』を、レコードプレーヤーで聴いてみる #佐野元春 #ion


明日から新年度がスタートです。花粉症じゃないと言い張って数年経ちますが、今年もまた目がショボショボする季節、疲れもたまりがちですっかり疲弊しまくっています。こんな時は、いい音楽を聴いて心だけでも穏やかにしたいものです。

ところで、以前聴いたときにはあまりピンとこなかったアルバムが、何年も経ってから聴くと物凄く胸に沁みる、ということがありませんか。

今回入手した佐野元春 and THE HOBO KING BANDの「THE BARN DELUXE EDITION」(THE BARN)も、そんな一枚でした。

20年前の発売当時は心身ともにちょっと疲れていた頃で、前年に発表されたアルバム「フルーツ」のような、彼流に言うならば「最高に陽気でポップな」曲を期待していたのかも知れません。しかし、ジャケットからも見て取れるような、どちらかといえばアコースティックで、カントリーっぽい雰囲気が全体に流れており、初めて聴いたときは「ん?」といった感じ。そしてその後も「ん?」の後に続く疑問符がどんどん膨れ上がることとなり、結局最後は「…。」へと変化。数ある彼の作品の中でも、あまり聴くことのない1枚となってしまいました。

そんな中今回、「THE BARN DELUXE EDITION」と銘打った20周年記念盤が発売されました。完全限定生産盤で、15,120円(税込)。

パッケージはBDとDVDとアナログ盤と写真集の組み合わせという、かなり重厚な内容となっており、実際手にしてみると、相当重量があります。…というのも、写真集が150ページ以上に及ぶかなりしっかりした作りで、これ単体でも数千円で販売できるよね、という代物のため。

ちなみにこの写真集には、このアルバムのレコーディング当時のオフショットなどが収蔵されているほか、当時のこぼれ話や秘話がショートコメントのように掲載されており、見応えは相当なもの。

BDとDVDは色んな解説にもあるとおり、「THE BARN TOUR ’98 LIVE IN OSAKA」のデジタル・リマスター版と、ウッドストックでのドキュメント映像が収録されたものです。

さて、肝心のアナログ盤、こちらはもちろんリマスターが施されたものです(2016年)。
→ 特別サイトはこちらから。

さて、このレコード盤の再生に当たり、すっかりレポートを忘れていたレコードプレーヤーを紹介したいと思います。
はい、こちらです。

「ion Max LP」というもので、Amazonではレコードプレーヤーのカテゴリーでベストセラー1位となっている商品です。

昨年の夏に、この商品があるところでセール品として販売されており、何と3,000円で入手しまして、ええ。

とはいえレコードを何枚も持っているわけではないので(貴重盤やお宝盤も含めて以前はたくさん保有していたのを、何と雨ざらしにされた挙句に廃棄されるという悲劇があったのです!)、そんなに使用頻度が高いわけでもなく、再び丁寧に梱包しておいたのですが、今回の再生に伴い再出動。改めてレビューしたいと思います。

まず外観は、木目調。左右にスピーカーがついていますが、音はそれなりです。

ボリュームつまみはここについています。

7インチレコード、いわゆるドーナツ盤用のスリップマット。

切り替えのスイッチ類はこの辺りに。ちなみにオートストップの切り替えがありますが、オンにするとホントにストップするだけで、アームは手動で戻す必要があります。(オフにするとどうなるかは、怖くて試していません。)

イヤホン端子は前面に。

背面。電源やUSB端子のほか、イン/アウト用のケーブル差し込み穴も用意されています。紅白の端子がアナログ感を醸し出しています。専用ソフトのCD-ROMが同梱されていて、アナログ盤をPCに取り込むこと(曲毎に分割もしてくれる)ができるそうですが、まだインストールはしていません。

こちら、おまけでついてきた12インチレコード用のスリップマットは、なぜかLED ZEPPELIN。

ワーナー傘下のレーベルのロゴシールも付いてきました。…おっと、購入先がバレますね。

さて、これから正座して拝聴するデラックス・エディションの裏書。

中にはこれが。右がレコード盤と映像ディスク、左が写真集。

映像集はこんな感じで収まっていました。

さて、それでは実聴。前述のとおり内臓スピーカーの音はそれなりなので、イヤホン端子から異なるスピーカーを接続。これで音はバッチリです。というよりも、思った以上にいい音になりました。(撮影のため上に載せましたが、実際は下に置きました。)

しかし、こうやって改めて20年前に発表された「THE BARN」を聴くと、バンドのメンバーの「個」が際立っている作品なんだなあ、ということを感じさせられます。

楽しいこと、苦しいこと、悲しいこと、嬉しいこと、辛いこと…色々経験をすることで、僕自身の感受性がこの20年で変わったのでしょうね。冒頭でも書いたように、本当に胸に沁みる、いい作品なんだな、と。その伏線にあるのは、この作品がレコーディングされていた時、妹さんを不慮の事故で亡くするという悲劇に見舞われており、その時の心境がこちらに綴られています

血を分けた肉親を失うって、本当に辛いことです…。でも、20年前はまだ僕の父も健在だったし、肉親を失う辛さをほとんど感じていませんでした。そんな事情もよく知らないまま、「なんか影のある作品だな」と勝手に決めつけて、聴くことを避けていたのかも知れません。
決してそういう意図はないんでしょうけれど、この作品には、どこかに「鎮魂の思い」が込められている(現に収録されている2曲は妹さんに捧げる曲となったことを明らかにしている)からこそ、今改めて聴いたときに、心穏やかに、そして深く沁みる作品だという風に捉えられるのかも。

さて、「THE BARN」のレコーディングを行ったTHE HOBO KING BANDのメンバーは、佐橋佳幸(ギター)、小田原豊(ドラムス・元Rebecca)、井上富雄(ベース)、KYON(キーボードなど・元BO GUMBOS)、西本明(キーボード・元THE HEARTLAND)という、前作「フルーツ」のレコーディングで集まったメンバーが中心となって結成されたのですが、個人的には佐野元春を支えるバンドとしては、あのTHE HEARTLANDをも凌ぐ最強のメンバーだったのではないか、と。今のTHE COYOTE BANDも大好きですし、バンドそれぞれの「音」があって、それが全く違うのも面白いところ。

ただ残念なのは、THE HOBO KING BAND(ザ・ホーボーキング・バンド)名義のアルバムってあまりないんですよね。
そんな中、昨年発売されたアルバム「マニジュ」、そしてこの作品と立て続けに作品が発表される中、今回のアニバーサリー盤が発表される直前にアナウンスが。

何と、ザ・ホーボーキング・バンドとレコーディングに臨んだセルフカバーアルバム「自由の岸辺」が5月末に発表されるとのこと。

ちなみにザ・ホーボーキング・バンド名義となっていますが、参加したのは古田たかし(ドラムス)、井上富雄(ベース)、Dr.kyOn(キーボード)、長田 進(ギター)という、THE HEARTLANDとザ・ホーボーキング・バンドの混成メンバー!

4月1日でマニジュのツアーが終了するので、夏から秋、「自由の岸辺」を引っ提げたツアーに勝手に期待を寄せているのですが、さて、どうなるかな?