ちょうど10年前、「わさお」ですっかり有名になった西津軽郡鰺ヶ沢町の職場に2年間勤務していた時の直属の上司であったO課長が亡くなったことを、新聞紙面で知った。定年退職してまだ1年、余りに早すぎる訃報であった。
昨年9月に亡くなったS係長とともに、僕が三十路を迎える直前、果たしてこのままでいいのだろうかと、業務に取り組む姿勢に対する疑念が沸き、悶々と一念発起を考えていた頃、それを後方から支援して下さった上司の一人だ。
結局その一念発起は実を結び、みんなの後押しを得て鰺ヶ沢を後にした僕は、弘前にやってきた。その後2年間は自己研鑽を積み、今はその経験を買われ、それなりの仕事と立場を与えられている。
心残りは、その当時の上司の連絡先を紛失してしまったため、年始や異動のご挨拶その他を一切取り交わすことができなかったことだ。結局その後O課長には一度もお目にかかることなく、今回のように新聞で安否を知るといった有様。何ともやりきれない。
もうすぐ四十路を迎えるに当たり、10年前の一念発起と方向転換が今こうやって僕自身の血となり肉となっていることは言わずもがなであり、S係長同様、O課長に対する感謝の言葉はいくら尽くしても尽くしきれない。
酒も飲まず、煙草も吸わず、真面目一本槍でありながら、どことなく頼りなさも感じさせたO課長。
いわゆる役人の中にあって、典型的な「いい人」であった。
本当にありがとうございました。心からご冥福をお祈りします。合掌