月別アーカイブ: 2016年10月

三日坊主 ~2017年の手帳のこと~

先日、このブログが13年間続いている、というお話をしたのですが、その一方で、ずーーーーっとずっと前から毎年毎年取り組んでいるのに、いくらやっても長続きしないものが一つだけあります。

それは…。

紙によるスケジュール管理です。
毎年手帳を購入し、「よし、今年こそは!」と意気込むも、年末が近くなるとほぼ白紙のページに。
ミニ6穴やバイブル6穴サイズのリフィール、QUO VADISのビジネス(15×10)、そして、ほぼ日手帳…。
毎年手を変え品を変え、いろいろやってみようとは思うのですが、結局手をつけているのは最初の数ヶ月、保って半年だという。嗚呼、もったいない。

以前は年度替わり、つまり4月始まりの手帳を使っていたものの、とりわけ異動が絡んだ年度は、まず仕事を叩き込むのが先決とばかりに、手帳への記載にはほとんど手をつけなかった、という年度もありました。三日坊主どころの話ではありませぬぞ、これは。
やがて4月始まりではなく1月始まりの手帳を持つようになりました。がしかし、相変わらず大して内容を書くこともなく時だけが刻々と過ぎていき、気がついたら年末近くの数ヶ月は何も書かれることなく真っ白だった、ということが続いています。大体、過ぎた日付にスケジュールを書き込んでいる段階で、何となく使い方を誤っているような気がしないわけでもないという…。

ちなみに2016年は、ほぼ日手帳のavec(1~6月、7~12月が分冊になっているもの)を使用しています。前半の6月末まではいろいろ頑張って(いや、頑張るまでもないか)スケジュールやメモ、買わなきゃならないものやランの記録などを書いていたのですが、7月以降の冊子に変わったとたん手が止まり、現在はほぼ白紙の状態に…って、何やっているんだか。三日坊主ならぬ半年坊主ですな。

実際、行事予定については、Googleのカレンダーや職場のシステムで日程を押さえているため、あまり紙の手帳を持っている意味合いというか大義名分がなくなりつつあるのも事実。Googleカレンダーに入力した内容は、スマホでもPCでも確認できますからね。

絵心やデザインの能力があるわけでもないし、たいしたアイディアを持ち合わせているわけでもなく、ブログのネタだってスマホに直接入力することができるので、単なるスケジュール管理用として手帳を持つぐらいなら、そもそも手帳なんていらないのかな、と思うのですよ。

にもかかわらず、結局今年も年末が近づく中でうっかり購入してしまった手帳が、こちら。

quovadis
3年ぶりにQUO VADISビジネス、復活。これですね、裏写りしづらい紙質で、万年筆で書いても滲まないのです。とても書きやすいです。しかも、1日のスケジュールが縦書きで、時間単位で書き込むことができるのです。にもかかわらず、あまり書き込みされません。なぜだ!(スケジュールに書き込むほどの予定がそんなにないからかも知れません。)
ちなみにもう一つ見えるのは、Number Doに毎年付録としてついてくる、ほぼ日手帳をベースにしたランナー手帖、今年は高橋尚子さん監修となっているそうです。QUO VADISビジネスよりサイズが一回り小さいぐらいなので、一緒に持ち歩くことができるのです。ただ、まだ中はちゃんと見ていないけど( → 多分こういうところがダメなんだと思う)。

ここ数年、いろいろ変えてみましたが、結局一番しっくりきたのがQUO VADIS。なので、原点回帰というわけではありませんが、心機一転もう一度ここから始めよう、と。

来年こそは、しっかり使いこなすぞ、という目標を毎年掲げているのですが、僕は来年もまた同じ目標を掲げてしまうのでしょうか。PORTERのカバーも泣いています…。

(ところで皆さん、紙のスケジュール帳はお持ちですか?どういう風に活用されていますか?)

第2回さいたま国際マラソンの作戦を(ちょっと)練る、の巻

「ジャパン・ツアー 2016」と銘打った国内マラソン大会への参加もあと1レース。マラソンに関しては、世間一般的にこれから本格的なシーズンに突入なのですが、何せ青森は雪深く、冬はマラソンよりも雪かきに精を出さなければ生活していけないという切実な問題があります。なので僕の場合、シーズン真っ只中の頃には、冬眠しているか雪かきに汗を流すことになるでしょう。
でも、昨年そして今年と、さいたまを除くと北東北・北海道の大会にしか出場していないので、いつかは他の地域で開催されるいろんな大会にも出場してみたいものです。東京、大阪、NAHA、熊本、別府大分、そして名古屋ウィメンズ…あ、これは出られないか。

そんな夢の話はさておき、今年も締めくくりのレースは「さいたま国際マラソン」ということになりました。
以前開催されていた東京国際女子マラソン、そして横浜女子国際マラソンを承継する形で、昨年から始まったこの大会、制限時間4時間というかなりハードルが高かったにもかかわらず、「地元開催だから何とかなるだろう」と安易な気持ちで参加した地元の方々が数多くいたらしく、完走率はかなり低いものとなりました。(男子73.6%、女子56.2%)
残念ながら、地元開催だからって優位性が高くなるものじゃないんです。いくら知っているコースだからとはいえ、マラソンは付け刃の練習でどうのこうのなるものじゃないってことを思い知らされた人も相当いたことでしょう。

昨年は、開催当初の段階から、今後、国際舞台で通用するエリートランナーを輩出するためのシビアな大会とするか、あるいは市民参加型のハードルの低い大会とするか、さいたま市長と埼玉県知事それぞれの見解が異なっており(確かスタート前の開会の挨拶でも、双方異なる見解を語っていたような記憶が)、その動向に注目していたところ、結局、制限時間は4時間から6時間へ、参加者は5,000人から16,000人へ、エントリー料は10,800円から15,000円へと、距離以外はみんな約1.5倍になってしまいました。実際、これを見届けて今年の参加を見送った人も多いようです。(個人的には緊張感のあるシビアな大会であり続けることを望んでいたのですが…。)

ちなみに昨年の大会は、ランネットで100点満点中約80点の評価を叩き出していました。
しかし、それはあくまで「第1回と同様の規模での開催」を望む前提での評価が多いように見て取れます。ただ、他の方もおっしゃっていたように、大会参加料が高額の割にはスポンサーの数が少なく、エキスポも非常にこぢんまりとした感じで、盛り上がっていたのは放映権を握っている在京テレビ局だけなのか?と勘ぐってしまいました。
その他にもいろいろ言いたいことはありますが、ここではやめておきます。

そして今回、第2回にして大胆なコース変更が発表されました。触れ込みでは「新コースで走りやすくスピードアップ」とありますが、果たして本当なのだろうか、という疑心暗鬼の目が…。これは、絶対に怪しい。

というのも、第1回のコースは20キロまで常に細かいアップダウンの連続、平坦となった後は25キロ付近で折り返すものの、29キロ以降では同様のアップダウンがしばらく続いたという記憶が残っているからです。高低差は20メートルにも満たないとはいうものの、この細かいアップダウンは相当体力を消耗させます。平地ばかり走る練習だと、このコースを乗り切るのはかなりきついと思います。
昨年、大会の後で「さいたま国際マラソン」の模様を録画したものを観たところ、テレビの画面で見ると、走っている以上にアップダウンが連続するコースのように思え、来年以降果たして大丈夫なのだろうか、という不安に苛まれました。
2015年はこの大会にPB更新の照準を合わせていたので、最後まで緊張感を保ったまま、脚を止めることなく納得のレース展開で終えることができました。しかし、2016年のコース変更がどういう影響を及ぼすのか、ちょっと戦々恐々としているところがあるのも事実です。

さて、それでは第1回と第2回、コースで何が違うのかを比較しながら作戦を考えてみたいと思います。
せっかく出場する以上は、ちゃんと走りたいですからね。だって、往復の交通費や宿泊費はもちろん、高い参加料を払っているんだから(笑)。

・一番の大きな違いは、ルートが逆回りとなること。
前回、スタート直後はJR東北・高崎線(京浜東北線)の西側を南下し、約7キロ地点でコース最大のアップダウンとなる「新浦和橋」を越えていました。それが、今年の新しいコースではスタート直後に一旦北上し、JR東北・高崎線の東側に抜けてから南下します。このため、「新浦和橋」は約36キロ地点で現れます。
このタイミングで現れる「最大のアップダウン」…むむむ。田沢湖マラソンの激坂をふと思い出してしまいそうですが、あの坂に比べたら、この橋なんて所詮は跨線橋。そんなにきついアップダウンではないのだ、と言い聞かせて。
ちなみに、スタート直後の北上、そして後述する折り返しの25キロ付近、それぞれ第1回に比べるとコースが膨らんだ(先に伸びた)格好になっています。

・平坦な区間は、確かに長くなった…けれども。
前回のコースは、20キロを過ぎた辺りから折り返しを含む約9キロが、平坦で何もない(いや、多少は何かがある)区間となります。(個人的にはいつも練習している弘前・白神アップルマラソンの2.5キロ以降みたいな雰囲気、という印象を抱きました。)
今回は、15キロからこの平坦な区間が始まります。これが約27.5キロまで続くので、平坦な区間が約3.5キロ伸びることに。前回は、最後の折り返しの前に25キロを通過しており、北海道マラソンの「新川通」をイメージしながら走った結果、この平坦な区間を難なく通過することができました。今回、25キロ地点が折り返した後にやってくるということは、感覚的にはそんなに変わらないのかも知れないけれど、折り返しを過ぎてからの距離は今回の方が長い、ということになりますね。

・3か所の折り返しは、意外とイヤかも。
そしてこの平坦な区間に、折り返しが3度あります。前回は12.5キロ、中間の21キロ、そして25キロ過ぎと、折り返し地点が分散していたのですが、今回は17.5キロ、20キロ、24キロと、比較的短い区間に3か所の折り返しが集まっています。12.5キロまでの緩~い上りが続く感覚の折り返しが解消された一方で、結構クネクネと右折左折が連続する中に集中してしまった感じ。正直、折り返しのコースはあまり好きじゃないので、集中したこの3か所の折り返しが意外とネックになりそうな気が…。まあ、その分飽きが来ないのだと、良いように解釈したいところではあるけれど。

・前半より後半の方がアップダウンが厳しい。
これ、素朴かつ最大の疑問。何をもって「走りやすくスピードアップ」を謳っているのでしょう。
昨年走ってみて最後まで脚を切らさなかった最大の理由は、37キロを過ぎてからはほぼ平坦に感じながら走り切れたことでした。ところが今年は、前述の通り36キロ地点で最大のアップダウンが現れるほか、その後も37.5キロから38.5キロの間で約10メートルの上り下りがあるなど、最後の最後まで気も力も抜けないコースになっている気がします。

saitama

上が第2回のコース、下が第1回のコースにおける高低図。コースの中盤にある平坦な区間は、確かに少し長くなったように思われますが、前半そして後半のアップダウンは、前回とそんなに変わっていないようにも見受けられます。気のせいかな。

【結論】 触れ込みに惑わされるな。結局このコースは、やっぱり難易度が高いドSコースだ。
世の中に楽なマラソンなんて一つもありません。だから、マラソンに挑戦するときは、相応の覚悟をして臨まなければなりません。しかし、やはりこのコースの難易度は、いくらコースが変わったとはいえ、所詮逆回りになったものがベースになっていますから、相変わらずタフであることに変わりはないような気がします。
5キロから15キロで極力脚を使うことなく中盤の平坦な区間を乗り切り、27キロ以降に再び現れる細かいアップダウンに備えないと、恐らく最後まで脚が持たないような気がします。
天候にも気を遣わなければなりません。昨年は、朝方まで雨に見舞われたものの、スタート時には雨が上がり、25キロを過ぎて折り返す頃には雲の切れ間から青空と太陽が顔を覗かせ、多少暑さを感じながらのレースとなりました。風が強くなかったのは幸いですが、さて、今年はどうなることやら。

今回の運営の状況次第では、僕も「さいたま国際」へのチャレンジはこれが最後になるかも知れません。
…でも、そんなことよりも今年最後のレースなので、しっかり走りきりたいと考えているところです。(敢えて欲は出しません。欲を出してしまうと、私、失敗するので。欲は胸の内に秘めたまま臨みたいと思います。)

「開演」は11月13日9時40分。さいたまスーパーアリーナでの「ジャパン・ツアー 2016」最終公演をお楽しみに。なお、最終公演の模様は(誠に残念ながら)ランナーズ・アップデートで明らかとなる予定です。

takumi_ren

何のためにブログを書いているか。

写真(ブログを始めた約13年前。まだ若かったなあ…。ウソ)

だいぶ前のことなのですが、ある人からこんなことを聞かれたことがあります。
「何のためにブログを書いているのか?」

…さて、この字面に込められた「ある人」の思い、皆さんに伝わっているでしょうか。

何となく察した方もおられるかも知れませんが、この質問には、かなり消極的(否定的)な意図が込められていました。つまり、こういうことです。
・一個人がブログを書いて何になるのか。
・それを書いたところで、何かいいことがあるのか。
・そんなもの、一体誰が読むのか。

面と向かってこんなことを言うのは、身内しかいません。つまり「ある人」というのは、身内のことです。
しかし残念ながらその時、僕はこの質問に対する答えを持ち合わせていませんでした。
そしてその答えは、今もわからずじまいです。強いて言うならば、「こんな内容でも読んでくれる人がいるから。」でしょうか。

そもそも僕がブログを投稿し始めたのは、13年前の2003年10月から。
それは、携帯電話で撮影した画像を投稿できる機能を備えたブログを設置したことから始まったのですが、内容としては、まさにその日の出来事を短文形式で投稿する、ほとんど中身のない日記のようなものでした。その頃は週末の夜釣りに没頭していた頃で、改めて見直すと「○○が釣れました」のネタばかり。
(ちなみに最初のネタは「朝帰り」というタイトルで、夜釣りを終えて青森市から弘前へ戻る車中、眠い目をこすりながら早朝5時半頃の朝焼けを撮影した画像一枚のみでした。)

ただ、知る人ぞ知る「マカナエのメシ」に繋がるようなレシピめいた内容も当時から投稿していたようです。刺身に鍋に唐揚げ等々…。何せ、釣った魚は自分で捌く、というポリシーだったので。
その他、読んだ本や購入したCD、ライブの感想だったり、事件や出来事に関する評論家ぶった意見だったり、仕事の愚痴だったり、そんな内容を投稿していました。要するに自己主張一辺倒だったわけです。

2008年8月、それは父が亡くなる直前の月なのですが、この月は突然、何かに取り憑かれたかのようにネタを投稿しまくっていました。今思い起こせば、何かを察知した僕は、そこから逃れたいという思い一心に、その捌け口をブログに求めていたのかも知れません。
それが、父が亡くなった後から、急激に読み手を意識して投稿するようになっていきます。多分、他人の目、つまり他人から見られる自分を一番恐れていた時期。投稿内容や表現に変化が現れていったようで、つまらない自己主張を延々と繰り返すだけではなく、読み手を意識しながら、なるべく有益であろう情報の中に自分の意見や感想をちょっと挟み込むような形で、徐々にトーンダウン。悩める心情(亡父への思いやぎくしゃくした人間関係など)を吐露することもありましたが、恐らくなかなか経験できないであろうという出来事(例えば観覧したライブ、自分で参加したイベント、最近ではマラソンとか)については、読み手を意識しつつも主観的な視点から体験談を綴るという内容に変化していきました。

一時期カウントが正常に作動していない時期もありましたが、気がついたらカウンターの数字も30万件を優に超え、今では毎日100人を超える方々にこのブログを閲覧して頂いています。本当にありがとうございます。
これまで幾度となく「もう、ブログ投稿はやめよう」と思った時期がありました。しかし、心折れることなくここまで続けることができたのも、閲覧してくださる皆さんがいたからに他なりません。

とはいえ何せ毎度毎度のことながら駄文拙文のオンパレード、最初で触れたとおり、字面だけで真意を伝えられないところがあるかも知れません。そこは、閲覧してくださる皆さんの、文脈や行間に対する読解力が頼みの綱です!…いや、もっと読みやすい内容を心がけます。すいません…。
今後もまたしょうもない内容を投稿し続けると思いますが、引き続きどうぞよろしくお願いします。
あ、本文はなるべく簡潔に、短くまとめるように努力します!


ブログ投稿13年目満了の節目を迎えるにあたって、閲覧してくださっている皆さんに多謝。
のんべ 拝

プリンスのベスト盤 #prince

国内外いずれのアーティストを例に見ても、大体ベスト盤が発売されるタイミングというのは、レコード会社を移籍した後だったり(発売するのは当然移籍前のレコード会社)、デビュー○周年というタイミングだったり、いずれの作品にもアーティスト本人の意向が反映されているのかどうか怪しいところがあります。そこには、レコード会社による「商売臭さ」というか契約主義というか、「契約枚数履行のためだけど、話題になって売れればラッキー」といった雰囲気さえ感じ取ってしまうわけです。

僕は、プリンスほどベスト盤が似つかわしくないアーティストもいないのではないかと思っています。プリンスのベスト盤は、約10年前を最後にこれまで3作品発表されています。特に2作目として発売された「The Very Best of」、これに関してはその後ワーナーミュージックお得意の「豪華アーティストのベスト盤シリーズ」の中に必ず組み込まれる、いわばワーナーの「(作品ではなく)商売用商品」となっているわけですが、いくらフィギュアスケートの羽生結弦選手が今年のSPで採用している「Let’s Go Crazy」が収録されていようとも、この作品だけは初めてプリンスを聴く一枚としてお勧めしたくありません。初めてプリンスを聴くのなら、多少値が張って申し訳ありませんが、2枚組の「Ultimate」を聴いて頂きたいな、と。

プリンスの場合、「アルバム」の種類も非常に多様性に富んでおり(デジタル音源のみのアルバムや、かつて存在したNPGMCというファンクラブ限定のアルバムもあります)、とにかく世に出ている楽曲があまりにも多すぎるため、一体どの楽曲がベストなのかと言われると、非常に悩ましいところ。
トップ40入りした楽曲は30曲。これを集めただけで既に2枚組のベスト盤に仕上がってしまいますが、ヒットした=ベストな曲かといえば、ファンとしてはちょっと待った!という声が上がるはず。
とりわけ、ライブに対する評価が非常に高いため、ファンの間ではシングルとして売れたかどうかはあまり気にしていないような気がします(まあ、売れた方がいいけど)。実際、ライブになるとメチャクチャ盛り上がる曲があったり(彼の場合、何を演奏しても盛り上がります)、例え世間一般的に売れてもライブでは演奏しない曲があったり(演奏しようのない「Batdance」とか。)、もしもベスト盤に収録するのであれば、これは外せない!という楽曲は幾つかあるかも知れませんが、40年近いキャリアの中からそれを選曲するとなると、ファンによって世代も性別もファン歴も異なるため、それぞれ感じ方が違うわけです。

更に厄介なのは、1994年にレコード会社との軋轢から生じた改名騒動があって、約6年にわたって「プリンス」の名前を封印し、発音不能な「記号」を用いて活動していた時期がありましたが、その頃に発売された作品や、変名でバンドでの活動を行っていた頃の作品は、そもそも国内で発売されなかったものや、発売されても廃盤になってしまったものが数多くあります。
実際、ベスト盤とは言っても、恐らくプリンスのファンじゃなくても「Purple Rain」と同じぐらい耳に馴染みがあるのではないかと思われる「Endorphinmachine」(かつて「K-1 ワールドグランプリシリーズ」のテーマソングとして流れていた、ギターサウンドと金切り声が特徴的なあの曲)が1度も収録されていないなど、この曲が収録された「the gold experience」を筆頭に、すべてのアルバム(作品)を網羅しきれていないのです。

21世紀に入ってからは、アルバムを発表するごとにレコード会社と契約を締結する方法を採用したり、中には新聞のおまけとして無料配布された作品があるなど、更に複雑な契約体系となっていることから、全てのキャリアを網羅したベスト盤を発表することは、本当に至難の業なのではないかと思います。

だから、敢えて断言します。
「プリンスのベスト盤は、これまで発売されたオリジナルアルバムそのもの。」

…と言いきってしまうと、これからプリンスを聴こうと考えている人にとって凄く冷たい対応ですよね。そんなことはないんですよ。
そんなプリンスのベスト盤が、11月に発売されることになりました。取りあえずこれからプリンスを聴いてみようかな、と考えている人向けの入門編のような2枚組のベスト盤は、その名も「Prince 4ever」。リリース元はNPG Records/Warner Brosとなっており、78年のデビュー作「For You」からワーナーと袂を分かつこととなった頃の作品「Love Symbol」まで、ワーナー在籍時代の作品を中心に全40曲が収録されており、未発表曲1曲のほか、アナウンスでは「初CD化」となるバージョンも多数収録されるそうです。(…初CD化って、何だ?)
言うまでもなく、本人不在での発売となるわけですが、やっぱりプリンスの「ベスト盤」はファンの間でも賛否両論が沸き起こると思うんですね…。予定調和とはいえ、今回も「Endorphinmachine」は収録されず、だし。

prince4ever
Disc 1
1. 1999 (Edit)
2. Little Red Corvette
3. When Doves Cry
4. Let’s Go Crazy
5. Raspberry Beret
6. I Wanna Be Your Lover (Single Version)
7. Soft And Wet
8. Why You Wanna Treat Me So Bad?
9. Uptown (Single Version)
10. When You Were Mine
11. Head (Sound Recording)
12. Gotta Stop (Messin’ About)
13. Controversy (Single Version)
14. Let’s Work
15. Delirious (Edit)
16. I Would Die 4 U
17. Take Me With U
18. Paisley Park
19. Pop Life
20. Purple Rain

Disc 2
1. Kiss
2. Sign ‘O’ The Times (Single Version)
3. Alphabet St.
4. Batdance
5. Thieves in the Temple
6. Cream
7. Mountains
8. Girls & Boys
9. If I Was Your Girlfriend
10. U Got The Look
11. I Could Never Take the Place of Your Man
12. Glam Slam
13. Moonbeam Levels
14. Diamonds And Pearls (Edit)
15. Gett Off
16. Sexy M.F.
17. My Name Is Prince (Single Version)
18. 7 (Album Edit)
19. Peach
20. Nothing Compares 2 U

前述の「Let’s Go Crazy」はもちろん収録されているほか、映画では一切流れなかったのにサントラ盤に収録されて大ヒットした「Batdance」など、「ベスト盤」に初収録となる楽曲も幾つか含まれています。収録される予定の楽曲の並び、選考など、いろいろ不可思議な点があるのも事実ですが、プリンスを知る、聴いてみるきっかけとしては、適切な一枚となるのではないかと期待しています。ただし、あくまでも私見ではありますが、1曲だけ収録された「未発表曲」をこういう形で小出しにすることは、今後勘弁願いたいところ。

そうそう、プリンスを知るには最良の一冊、「プリンスの言葉 Words of Prince」も絶賛販売中です。Amazonの売れ筋ランキング(本/海外のロック・ポップス)では上位を走り続けています。ファンの皆さんもこれからプリンスを聴いてみようという皆さんも、愛読書として是非一冊手にとってみてください。

…しかしこの「ベスト盤」、彼の全キャリアにおけるほぼ前半部分しか網羅されていないんですよね。この後の作品にも、いい楽曲というか聴いてほしい楽曲がたくさんあるんだけどなあ。(最初に戻る)

「惑う After the Rain」先行試写会 @弘前

スポーツの秋、読書の秋にまつわる話題を2日続けて紹介して参りましたが、今日は芸術の秋にまつわる話題を紹介したいと思います。


林弘樹監督の最新作「惑う After the Rain」。
静岡県三島市を舞台に撮影されたこの映画、11月からの静岡先行上映、そして来年1月からの全国ロードショーに先駆け、弘前市で開催された先行試写会に参加する機会を得ました。
試写会が行われたのは10月15日(土)。10月9日から12日まで静岡県、それも三島市の隣の沼津市へ出張しており、その際、この映画の制作に携わったみしまびとプロジェクトの方とも会い、映画のパンフレットなどを頂いておりました。…にもかかわらず!にもかかわらずですよ、僕は三島市を訪問しなかったことを、試写会前日になって激しく後悔していたのでした。

林監督とは、秋田県藤里町で行われた映画「ふるさとがえり GOING HOME」の上映会の際に初めてお目にかかってからご縁があり、そのことが契機となって、弘前市でも「ふるさとがえり」の上映会を開催したことがありました。藤里から弘前へと縁が繋がったのです。そして今回の試写会は、青森県初となる弘前市での「ふるさとがえり」上映会の開催に向けて一緒に奔走した平川市のSさんからのお誘い。「ふるさとがえり」は、我々の上映会開催を皮切りに県内各地で上映会が幾度か開催されていますが、今回の「惑う After the Rain」は、県内初上映となります。どんな林マジックが炸裂するのか、期待に胸膨らませて試写会の会場である弘前市民参画センターへ向かいました。

madou01実は今年3月、林監督が青森県にいらした際、わざわざ私の職場にも立ち寄ってくださり、その時にこの映画「惑う After the Rain」のパンフレットを直々に頂戴しました。上映会の暁には必ず伺わなければならないと思っていたのですが、公私ともに色々立て込んでいたところでの試写会の案内だったため、正直行くか行かないか迷っていました。…が、静岡出張を終えた直後、これは絶対に行かなければならないと即決し、慌てて参加エントリーしたという経緯がありました。

madou0216時30分過ぎから始まった試写会には、約30名の方々が集まり、それから約2時間、時に固唾を飲みながら、そして時に涙しながら、スクリーンで展開される物語に吸い込まれていきました。
madou03 もちろん公開前ですので、ネタばらしはしませんが、内容をちょっとだけ。(詳細は、公式サイト 映画「惑う After the Rain」をご覧ください。)

家族とは何か。昭和の一時代、とある家族の物語であり、3人の女性を巡るストーリー。
全編にわたって日本の美や伝統がちりばめられており、出演者の迫真の演技とも重なって、あっという間に感情移入。
「ふるさとがえり」については、これまで4回ほど観ているのですが、今まで毎回散々泣かされたので、今日は泣かないよ…と思ったのも無理でした。
涙腺発破装置が誤作動、いや、正常起動し、上映が始まって30分で既に涙。そしてその後も、最後までずーっと涙。
もう、あの話とかあの話とか、色々感想を述べたいところなのですが、グッと我慢我慢…。
あ!一つだけネタばらしさせてください。この映画の中で、三島を象徴する伝統芸能「しゃぎり」が出てくるのですが、実はこの「しゃぎり」を出張中に生で拝見しておりまして、地域の皆さんの世代を越えた絆による素晴らしい郷土芸能なのだな、と心を揺さぶられました。その「しゃぎり」を映画で再び拝見し、先日の感動がよみがえり、思わずグッと胸に熱いものがこみ上げたことを、今更ながら明かしたいと思います。

上映が終わった後、林監督も交えて試写会に参加した皆さんがそれぞれ映画の感想を述べることになりました。この中では、映画のシーンに自分の思いを照らし合わせ、感極まって言葉を詰まらせながら感想を述べる方が複数いたことが、とても印象的でした。
僕もちょっとだけ感想を述べましたが、何を述べたのかは秘密。ただ一つ断言できることは、この映画を観た後に、「ああ、早く家に帰って家族と会いたいな。色々話をしたいな。」…そんなことを思わせる映画です。恐らくこの映画もこれから複数回観ることになるような気がしていますし、できることなら早くもう一度観たい、そう思わせる内容でした。madou04
近隣で上映会や試写会があるようでしたら、是非一度ご覧になってみてください。そして、一人でご覧になるのはもちろん、できればご夫婦やカップル、兄弟姉妹などで一緒にご覧になることを強くお勧めします。
色々考えさせられる場面もたくさん出てきますが、鑑賞後には不思議と家族が愛おしくなるはずです。「ふるさとがえり」とはまた異なる切り口の、本当に素晴らしい映画でした。

furusatogaeri02余談ではありますが、翌日(10月16日(日))のこと。
秋田県北秋田市(旧:鷹巣町)で「ふるさとがえり」の上映会が初めて開催されました。

こちらの準備を手がけたのは北秋田市のMさん。正月に初めてお目にかかってから、2度目の再会となります。秋田から頂いたご縁を秋田へ返そうと、Mさんに「ふるさとがえり」上映会の開催を焚きつけた一人としてどうしてもその場に足を運びたく、マラソン大会の後、上映会が始まる直前にちょっと立ち寄ってみました。(この日マラソン大会が行われたのが、藤里町と北秋田市(旧:鷹巣町)に挟まれた能代市(旧:二ツ井町)だったという偶然が重なったのです。)

furusatogaeri01タイトなスケジュールでの開催となったようで、だいぶ参加者集めに苦労されたようですが、ここでも林監督自らが会場へ足を運び、上映後は参加者の皆さんと撮影秘話などで盛り上がったようです。そして、今回のこのご縁は、きっと次に繋がっていくはずです。北秋田市は僕にとって第二のふるさと(母の出身地)ですから、「亀の子団」ならぬ「影の子団」として、これからも応援させて頂きたいと思います。

あちらこちらで色んな思いを抱きながら地域の活性化に励む「つがるびと」はもちろん、全国各地の「○○○びと」の皆さん、この映画は絶対観て損はありませんよ!

So…After the Rain comes Fair Weather!!