日別アーカイブ: 2016-10-18

プリンスの言葉 Words of Prince #wordsofprince


久しぶりに、プリンスの話をしましょうか。
早いもので、プリンスが旅立ってからまもなく半年となります。
僕自身は、恐らく自分の身近なところで起こった「死」も含め、これまで色んな「それ」を見てきたので、その現実を意外とすんなり受け入れることができたのですが、未だ深い悲しみから立ち直るきっかけを見いだせず、苦しんでいるファンも数多くいるようです。

何せその訃報は某国営放送のニュースでも取り上げられるほどショッキングなものでしたし、これまであまりプリンスに対して見向きしなかった人たちですら、そのニュースに驚き、改めて評価するという場面もたくさんあったように思います。その一つとして、デジタル媒体やCDといった彼の音楽作品を購入する人たちの急増、という形があったのではないでしょうか。

もっとも、他界された後の再評価という流れ、これはプリンスに始まったことではないのでしょうけれど、プリンスの場合はこれまで発表された音楽作品のボリュームが桁違い。亡き後に数々のチャートをプリンスの作品が席巻する、という事態を招いた一方で、既に廃盤となっている数々の作品にも改めてスポットライトが当てられることとなりました。

再評価に関しては、音楽作品に限ったことではなく、国内外問わず数々の追悼本も出版されました。丸ごとプリンスを特集したムック本、雑誌の特別編集など、ピンからキリまで本当にたくさんの種類の書籍・雑誌が発売され、僕自身、実は未だ全て読み切っていないというのが事実です。

さて。
亡くなってからも話題に事欠かないプリンスですが、前述のとおり、たくさんの追悼本が出版され、きっとファンの皆さんもたくさん購入されたと思いますが、ファンじゃない人からすると、ほとんど興味の沸かない話ですよね。

そんなファンじゃない人にもプリンスのことを知って頂きたい、ファンの人にはもっともっと知って頂きたい、という思いが詰まった書籍 『プリンスの言葉 Words of Prince』 が、10月14日に秀和システムから発刊されました。

これまで発売された追悼本は、プリンス自身の作品のレビューやライブ評、更には彼が手がけた数々の作品を改めて紹介しているもの、国内の著名なファンに対するインタビューや対談などが掲載されたものが多く、どちらかというと彼にまつわる数々の逸話や発表された作品(アルバム)などを振り返りながら、文字通り「追悼」する、といった内容のものが多いと思うのですが、この 『プリンスの言葉 Words of Prince』 は、これまでの追悼本とはちょっと一線を画した内容になっています。

書籍の概要(「秀和システム」より)
アメリカ大統領をして「誰よりも強く大胆でクリエイティブ」といわしめた孤高の天才・プリンス。本書は、現代に生きた真の芸術家として今なお評価が高まり続けるプリンスの哲学や考え方に迫ります。プリンスが残した貴重な言葉の数々、共演したポール・ピーターソンやミスター・ヘイズ、グレッグ・ボイヤーらのインタビューも交えながら“音楽の革命家”のスピリットに触れます。ファンでも知らない意外なエピソードが満載です!

まず手に取ると、その分厚さに驚かされます。何と450ページ近くもあり、イラストなどが掲載されたカラーのページも含まれています。でも、そんなに重くはありません。鞄に入れても大丈夫。

もう一つ驚かされるのが、その価格。税抜きの本体価格が1999円ですって。2000円じゃなくて1999円?はい、プリンスファンなら説明するまでもありませんが、プリンスの代表作の一つである「1999」を意識した価格設定となっています。個人的には出版元のこの英断に、拍手を送りたいです。

では、何が他の追悼本と一線を画しているかといいますと…

(1)プリンスと共演したことのある複数のアーティストのインタビューが掲載。
これだけ複数のアーティストにインタビューするというのも凄いと思うのですが、その内容からも、プリンスがどれだけ音楽に対して真摯に向き合っていたか、そして、どれだけプリンスが愛されていたかを垣間見ることができます。

(2)「プリンスの言葉」というタイトルが持つ意味が、深い。
わかりやすく一言で言うならば、マクロとミクロ、総論と各論の違い。これまでの追悼本では、前述のとおりプリンスが作り出した作品、すなわちアルバムにスポットを当て、改めてレビューするという内容が多い中、本書では、アルバムの中の楽曲そのものに光を当てています。プリンスの歌詞は非常に奥深く、特に対訳がない楽曲も多数あります。そんな楽曲も含め、インタビューやテレビでの発言など、色んな角度からプリンスの「言葉を洗う」ことにより、彼の発した言葉が持つ意味、背景、そして、プリンスが抱いていた世界観を探る内容となっています。

(3)ファンによる、ファンのための、いや、ファン以外の人たちのための…
4月21日の訃報から約半年が経とうとしています。書籍に記された発行日は「10月20日」なので、奇しくもちょうど半年後に発刊されるということになります(実際は14日から発売されていますが)。
しかしたったこの半年で、悲しみに暮れるファンがチームを結成し、英知を出し合い、こんな内容の濃い重厚な書籍を発刊するなんて、誰が想像していたでしょうか。

著者は「New Breed with Takki」。
Takkiさんといえば、プリンスファンの間で知らない人はいないぐらい有名な方。国内外でのプリンスのライブを数多くご覧になっているほか、訃報の直後にいち早くミネアポリスへ渡航するなどの行動力に溢れ、また、数多くの海外アーティストが来日した際のツアードクターを長年務めるなど、関係者はもちろんファンからも絶大な信頼を寄せられている方です。実は私も2002年の仙台公演の際に、Takkiさんと初めてお目にかかっています。でもその時は、Takkiさんの凄さを全く知らなかったという…。

そして、そのTakkiさんが中心となり、さまざまな分野で活躍されている方々で構成されたチーム「New Breed」による一つの結晶が、まさにこの作品。ただし、単なるファンによるファンのための…的な内容になっていないのが本書の特徴で、さまざまなアプローチからプリンスの多彩な人物像を引き出し、プリンスの素晴らしさを今のこの時代、いや、後世に伝えていく内容となっています。
本書の構成や内容は、プリンスのことを本当に愛してやまないファンの方々が結集したからこそできた業だと思いますし、それは決して内輪向けの同人誌のような内容だとか、単なる自画自賛にとどまるものではありません。
そこには、プリンスファンによるプリンスの再評価ということだけではなく、プリンスを知らない、あるいは聞いたことがないという皆さんに是非プリンスを知って頂きたい、そんな願いが込められています。
…といいつつ、実は僕もまだざっくりとしか拝読していないのですが、とにかく皆さんにいち早くこの書籍を紹介したい、という思いに強く駆られ、今日の投稿に至っています。その点は何とぞご了承ください。

そして、実は僭越ながら私も、このチームに参加させて頂きました。…が、蓋を開けてみると、自分がいかに薄っぺらなファンであるかをつぶさに知ることとなり、かなり自己嫌悪に陥ったという…(苦笑)。
でも、そんな自分を発見する機会を頂いたのも、そして、チームの皆さんのやりとりによって僕がこれまで知らなかったたくさんのプリンスを知ることができたのも、このチームに参加したからこそ。

チーム結成から書籍という形になってこの世に出るまで、本当にあっという間でした。この間のTakkiさんの精力的過ぎる動きがあまりにも速すぎて、正直言って追いかけることすらできませんでした。でも、こういうスピード感が大切なんだと思いますし、その中にあっての張り詰めたような緊張感といったら…。とりわけ、中心となって作業された皆さんが酷使したエネルギーを思うと、もう…。

今回の発刊に当たって、僕は100のうち0.01もお役に立つことができませんでしたが、こんな僕を最後まで見捨てずにチームに加えて頂き、かつ書籍に名前まで掲載してくださったTakkiさんには、全く頭が上がりません。
二重作さん、本当にお疲れ様でした。僕もこのチームに加えて頂いて、ありがとうございました。この場をお借りして、深く深く感謝申し上げます。

…ということで、皆さんにもお願いがあります。書店に行ってこの書籍を見かけたら、是非手に取ってご覧ください。願わくば、財布の中身と相談しながらそのままご購入頂ければ、これ幸いです。

そしてもう一つ。なんと言ってもこの書籍は、装丁・カバーが秀逸です。何となくかわいらしいですし、色合いも目を引きます。CDのジャケットが素晴らしく思わず衝動買いしてしまうことを「ジャケ買い」と言いますが、そういう点ではこの書籍、「カバー買い」するに充分なぐらいの外見、内容となっています。

ですから書店で「カバーおかけしますか?」と聞かれても、「いや、結構です。」と丁重にお断りください。そして、書籍を大事にしたいという思いも充分理解できるのですが、できれば皆さんがお持ちのブックカバーも掛けないでご覧になってください。

できれば、公衆の面前…例えば電車内、あるいはカフェ、ちょっとした待合場所や公園のベンチでもいいでしょう。雨に濡れない場所で、正々堂々とご覧になってください。読書の秋にぴったりの一冊となることでしょう。

Amazonの売れ筋ランキングでは、発売直後から10月18日現在において「海外のロック・ポップス」部門で、ボブ・ディランに関する書籍を抑えて堂々の1位を獲得。

プリンスは過去の人なんかじゃないんです。今もなお時代を駆け巡る、トップアーティストなのです。
見た目だけで評価されることが多く、いわゆる「食わず嫌い」の方も多いプリンスですが、この書籍を通じて是非その内面や多彩かつ繊細な一面に触れ、彼に対する興味を抱いて頂ければ、ファンの一人としてとても嬉しいです。
特に、プリンスというだけで嫌悪感を示す人たちや、プリンスといえば「パープル・レイン」、という印象を未だに抱いている方々には、是非とも手に取って頂きたいと思います。プリンスに対する印象が、180度とは言わなくとも、135度ぐらいは変わるかも知れませんよ。

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