日別アーカイブ: 2015-12-21

「まわしよみ新聞」のこと

毎朝、職場で2つの新聞を読み漁り、業務に関連するような記事をピックアップする、という作業が私の日課となっています。
その日その日でたくさんの記事が掲載されていることがあれば、ほとんど掲載されていないということもあります。恐らく、3月11日が近づくにつれ、そのボリュームは増えていくことになるのでしょう…。

「まわしよみ新聞」というのを御存知でしょうか。もちろんこの記事にたどり着いた方の中には「そんなの知ってるよ」とか「やったことあるよ」とか、ひょっとしたら「何を今さら…」と思われる方もいらっしゃるかも知れません。

実は先日、この「まわしよみ新聞@青森」に参加してきまして、色々思うところがあったものですから、今日はそのことをネタにしようと思います。

まず、まわしよみ新聞が何なのかから説明しようと思いましたが、詳細に書かれた公式サイトがありますので、そちらをご覧ください。

うちらが学生だった頃は、雑誌「宝島」に「VOW」という読者投稿のコーナーがあって、それをまとめた書籍も販売されていました。(今はウェブサイトがあるみたいです)
その中で登場していたのがあり得ない新聞の誤植や変な新聞記事だったのですが、実は私、高校生の頃にそれを真似て新聞を切り取り、ありもしない記事や番組紹介を作り上げるという実にくだらないことを、ごくごく一部の仲間の間でやっていました。(…って私は一体、どんな高校生活を送っていたのでしょう。)

このまわしよみ新聞は、ネタを探すという点では共通していますが、自分が共感した記事や人に広めたいと思った記事を切り取るというものです。うちらがやっていたような、記事を捏造するものではありません。

何が凄いかといいますと、これ、「完全フリー&オープンソース」なんですね。つまり、別に許可なくとも誰でもやれるし、営利を目的としてやるんだったら御自由にどうぞ、ということ。

で、実際やってみるとホント楽しい。学校の教材なんかでも使えそうな感じ。切り取った記事を模造紙等に貼り付け、コメントや色んなことを書き添えていく。例えるならば、恐らく誰でも作ったことがあるであろう壁新聞、あれに近い感じでしょうかね。

年齢や性別にとらわれることなく、自由に参加することもできるし(実際、青森でのワークショップには小学5年の児童が参加、発表の際には自分の意見もしっかり述べていて、オジさんはちょっと感動してしまいました)、コミュニケーションツールにもなるわけです。

新聞

で、私が参画したグループは4人の構成だったのですが、年齢層がそれなりに近いということもあって、和気藹々とした雰囲気で進んでいきました。
机上に置かれたたくさんの新聞、これが地元紙のみでなく全国紙や業界紙など、いろんな種類の新聞があったり、昭和30年代の頃の新聞の写しがあったりと、ちょっとした新聞アーカイブスみたいな感じ。
多分、一般紙だけじゃなくスポーツ紙とか駅売りされているちょっと変わった新聞があっても、楽しいんだろうな、と新聞を切り取りながら考えていました。

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ちなみに私がチョイスした記事は、東京鉄鋼販売業連合会という団体が挑戦し、ギネス記録を達成した「手でハート型を作って繋がった人の最も長いチェーン」(1936人参加)という日刊鉄鋼新聞の記事と、さいたま市にある鉄道博物館に展示されている蒸気機関車C57が転車台に移動したという記事(日刊工業新聞)と、地元東奥日報に掲載されていた「過去10年間の今年の10大ニュース」という記事でした。

何でこれをチョイスしたのかというと、前者二つはいわゆる業界紙の記事で、恐らく一般紙ではあまり見かけないちょっとマニアックな記事だったということ、地元紙の記事は、そういうことを語る季節なんだなあ、ということを感じさせたという安易な思考からでした。

他の方は古い新聞を切り抜いたり、掲載されている広告そのものを切り抜いたりしていましたが、その方々の言わば「センス」や「着眼点」を垣間見ることができますし、自分に置き換えたときに、果たしてそういう記事や広告を切り取るだろうか、という振り返り(言わば自分の着眼点の振り幅がどの程度なのか、という確認)をすることもできます。

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ただ、ちょっと怖いな、と思ったのが、一歩間違えると自分の嗜好や見識の押しつけになる可能性も秘めているということ。そのことを否定するつもりはないのですが、裏を返せば自分やその方の思想をさらけ出すという恐ろしさもありますし、ちょっと特異な考えの持ち主なのだろうか、という誤解を与えることにもなりかねません。

まあそれも、気になれば気になるのでしょうし、気にしなければいいといえばそれまで。ワークショップの基本である、「他人を否定しない、卑下しない、反論しない」ことを意識さえすれば、きっと「ああ、世の中には色んな思考の持ち主がいるものなのだなあ(棒読み)」という視点に立つこともできると思います。

今回は置かれていた新聞をぞれぞれ無造作にチョイスし、そこから記事を拾うという作業でしたが、例えば(あまり偏りすぎない程度の)何らかのお題を与える、といったやり方も「アリ」かも知れませんね。

色んな業界紙が存在しますので、異業種異文化の業界紙を持ち寄ってワークショップを繰り広げる、なーんていうまわしよみ新聞も楽しそうです。

いずれにせよ、最低限のやり方さえ踏襲すれば、「これは絶対」ということはありませんし、作成された新聞をどう活用するのかも、そのシチュエーションによって異なると思うので、さまざまな応用ができそうなツールだと思いました。