山下達郎 PERFORMANCE 2022 盛岡公演(R5.2.16)

新型コロナウイルス感染症の影響でアーティストの公演が相次いで中止、延期、開催見送りとなった2020年から2021年。音楽好き、コンサート好きの自分としては何とも歯がゆい日々が続いた。

2022年に入り、少しずつコンサートツアーやライブが再開されるようになり、意を決して東京スカパラダイスオーケストラの青森公演、そして森山直太朗の弘前公演に足を運んだ。

マスク着用、声援なしのコンサートは一種異様な雰囲気でもあったが、これもまた新しい楽しみ方なのかもしれないと思うようになった。

最近では吉川晃司の仙台公演に足を運んだことをこのブログでも紹介したが、全国ツアーの再開を心待ちにしていたアーティストが一人いた。

山下達郎。2009年のライブに足を運んで以来、何度観に行ったのかわからないが、青森公演はほぼ外すことなく、毎回足を運んでいる。

そんな彼が2022年に入り、全国ツアーを再開すると発表。また青森での公演を楽しみにしていたのだが、よりによって東北6県では唯一青森県だけが公演なし!

青森、また嫌われた!

東北新幹線が新青森まで延伸した際は、多くのアーティストが「青森が近くなった」と公演にやってきたと記憶しているが、最近はどうも「通過点」と化しているようだ。まあ、来ないというなら仕方がない。かといってまだ新型コロナウイルス感染症が完全に収まったわけではないので、近県の公演に狙いを定めることにした。仕事のスケジュールも睨みつつ、岩手、宮城、山形公演の抽選に臨んだ。

しかし、結果としてゲットできたのは岩手のチケットのみ。2022年7月29日(金)、盛岡市にある岩手県民会館での公演を観に行くこととなった。ところが、不運は重なるもので、早々に夏季休暇を充てるつもりで予定を組んでいたところ、何と山下達郎本人が新型コロナウイルス感染症に感染、公演が延期となってしまった。

その後に発表された振替公演の日程は、2023年2月16日(木)。

夏ではなく冬、しかも年度末も迫る微妙な時期。ううむ、行けるだろうかと不安がよぎる。

でも、悩む必要はない。万障繰り合わせ、この日の午後から移動を開始、翌朝青森に戻り、午後から出勤するという計画を組んだ。

…ところが、天はすんなりと行かせてくれないようだ。2月16日朝、弘前市はとんでもない大雪に見舞われた。12時間の降雪量は39センチ。通勤で利用している奥羽線は青森~弘前間で除雪作業のため昼まで運転を見合わせることを決定。仕方なく、自家用車で青森市の職場に向かった。

朝6時半過ぎに嵌る渋滞も辛い。

早朝からの雪片付けに加え、久し振りの車通勤。心身の疲労も蓄積しており、これ、夜まで持ち堪えられるのかな、といった不安が頭をよぎった。

この日やらなければならないことを午前中で済ませ、午後から盛岡へ移動開始。約1時間後、朝の弘前市とは別世界のような盛岡に到着。ホテルでのチェックインを済ませ、しばし休息。約2時間後に遅れてやってきた妻と合流し、会場へ向かった。

僕は初めて訪れる会場だったが、座席が3階で、高い位置からステージを見下ろしような感じだった。2000人近く入る会場は、開演時間が迫るにつれ、ほぼ埋め尽くされた。

18時35分、開演。2022年6月に11年ぶりのオリジナルアルバム「SOFTLY」を発表しているが、今回のツアーはこのアルバム発売とは全く連動していないため、既にシングルとして発表されていた曲以外のアルバム収録曲は演奏されなかった。正直、名手だらけのバンドメンバーが奏でる新しい曲も聴いてみたかったが、それは次回の公演のお楽しみにしておこう。

入場時に配布されていたのは、CDとレコードの紹介チラシ。

今のバンドメンバーで演奏できる楽曲が140曲程度あるらしいが、この日演奏した多くは、過去の公演でも披露された楽曲がメインだった。もっとも、この人の公演は最初と最後がほとんどパッケージ化されているし、クリスマスになると流れる定番曲は、季節問わず絶対演奏されるし、そういう意味では、定型化された公演の中に、異なるパーツ、エッセンス(楽曲群)が盛り込まれる、といった感じだろうか。

実は妻はこの会場で山下達郎の公演を一度観ており、それが「Gの音が出ない」と言って途中で打ち切られた公演の振替公演。ちなみにその時は、アンコールで竹内まりやがコーラスとして飛び入り参加したそうだ。


今回も振替公演。しかも盟友・大瀧詠一の出身地。更に、自分のルーツを辿ったら岩手県に縁があることがわかった、とか、今日はいいお客さんだ、なんてことを途中のMCで語るものだから、少しだけ期待をしてしまったが、まあ、そう思い通りに事が運ぶわけがなく(というより、この日は朝から全く思い通りではなかったのだった)、飛び入りでコーラスが一人増えるということもなく、約3時間に及ぶ公演が終了した。


しかし、2月4日に御年70歳を迎えたというが、声量、テクニックともに相変わらず圧巻。更に脇を固めるバンドのメンバーの安定感といったらもう、凄い!の一言なのである。周りを見渡しても明らかに自分より年上の人ばかり、中には山下達郎より年上なのではないかと思われる人の姿も多く見られたが、終盤には多くの人が立ち上がり、そしてステージに向けて拍手を送り続けていた。

70歳になっても全く衰えを感じさせないパフォーマンス(MCやアンコールがあるとはいえ、3時間って凄くないですか。)に、大いに刺激を受けたまま、翌朝帰路に就いたという次第。(結果、午後からの出勤予定が、午前10時半には業務を開始していたという。)

僕自身もこの年齢になって色々思うところ、感じるところがある今日この頃ではあるが、正直、山下達郎だってこの先あと何度パフォーマンスを観ることができるのかはわからないし、誰のコンサート、ライブも同じだけれど、観たいと思った時がそのタイミング。

タイミングを逃して後で後悔しないようにしたいですね。