日別アーカイブ: 2004-09-24

先行き不透明のプロ野球


いつものことながら、居酒屋で出された干涸らびたお通しのような、面白みも旨味もない話を。
というか、いつか書こうと思っていたが、この件に関してはようやく一段落しそうなので、一気に書き殴らせて頂く。
プロ野球選手会と日本プロ野球組織(NPB)との間で一定の合意に達したということで、今週末のスト回避、そしてようやく収束に向かいそうな気配のプロ野球問題。一部新聞では、古田選手会長が勝った、みたいなことを書いている記事もあったが、それはちょっと違うのではないか、という気がする。そもそもの発端は、急に持ち上がったオリックスと近鉄の合併問題であり、結局この点に関しては、凍結あるいは延期という回答を得ることができず、来季から近鉄という球団は消滅するという現実を突きつけられた。これまでの協議の過程、スポークスマンそして協議の調整役としての古田会長は、見る者に「かわいそうだ」という印象を与え、株が上がった。しかし、昨日の古田会長は明らかにホッとした表情で記者会見に臨んでいた。が、その横ではオリックス・三輪選手会長そして近鉄・礒部選手会長が、目を真っ赤にし、涙ながらにファンに謝罪した。これが今回の騒動の全てを物語っているのではないだろうか。
もっともこの点に関しては、球団合併を認める代わりに、来季からの新規球団の参入を検討するということで、問題解決の方向に向かっているようにも見えるが、新規球団の参入に関しては、今後の紆余曲折が予想される。
名乗りを挙げているのは、ご存じ「livedoor」と「楽天」。「シダックス」の名前も挙がったが、恐らくこちらの参入の可能性は低いだろう。正直、livedoorであれ楽天であれシダックスであれ、いずれの企業が参入しようが別に興味はない。というか、単なる「数あわせ」のための参入を認めるくらいなら、最初から新規参入など認めない方がいいのだ。
なぜここまで僕が不快感を覚えるかというと、まずはlivedoorのこれまでの経過に疑問を感じるということ。そして、あからさまな楽天の参入表明。
というのも、当初livedoorは「本社を大阪に移転してでもプロ野球に参加したい」と言っていたのだ。それが今はどうだろう。大阪府知事に「そこまで言うなら先に本社移転するくらいの気概を見せろ」と言われ萎縮、結局いつの間にか大阪での新球団設立構想は立ち消えしてしまった。「野茂の所有球団の話」はどうなったのか。はて…と思っていたところに今度は「楽天」参入表明のニュース。既にヴィッセル神戸を所有していることから、球団を所有することも難ではないという見方がされる一方で、今回の参入表明はlivedoorに対する当てつけ、という私見を感じざるを得ない。
それが顕著に現れたのが、両者がぶちまけた「仙台本拠地」構想。かつてロッテが仙台に拠点を構えていたことがあったが、以降東北に拠点を置く球団は存在しなかった。そういう空白地を埋めるために仙台…かといえば、そうではないようだ。livedoorの社員が話していたが、彼らは単に新球団の「目玉」として、東北高校のダルビッシュ投手を獲得したいという。この点、どうも短絡的というか安直というか、結局目先のことしか考えてないんだなぁという気がする。「ファンありき」が心底伝わってこないのだ。
それは、楽天も同じ。なぜ急に仙台本拠地構想を掲げたのか、真意を測りかねる。ここまでくると、単なるlivedoorに対する嫌がらせだろうとしか思えない。
マスコミの間では、どちらかといえばlivedoorが不利、楽天有利とも言われているようだが、これは要するに「根回し」の巧い下手の問題であり、(世論に多大なる影響を与えるマスコミを含め)誰を味方につけるのか、ということだけで球団設立に動いているようにも見える。
さて、思うままに好き勝手ここまで書いてきたが、これまでの経緯と問題点を整理したい。
1.NPBと選手会は一定の合意に達し、今後のストは回避された。
2.新球団の参入は来季から認められそうだが、近鉄とオリックスの合併も決定した。
3.減る球団は1チーム、参入表明した球団は2チーム。
4.NPBの瀬戸山委員長はマスコミやファンの矢面に立っているが、彼はロッテの球団代表であり、いわば仲介役のような存在。
5.中日の選手会は、昨日の会議途中で退席、「あと15分ほどでまとまる」と言ったが、結論が出たのは6時間後だった。
6.近鉄とオリックスは、やる気が失せたのか既にパ・リーグの5位と6位が確定している。
7.合併問題然り、スト問題然りで、いずれのケースも結局ファンの声が届くことはなかった。
8.新球団設立を表明した2社は、いずれも仙台本拠地を希望。
9.仙台・宮城球場は老朽化が進んでおり、仮にフランチャイズが決定した場合、改修は必至。
こうやってみると、各球団の思惑や選手会、NPBそれぞれの意識に温度差があるようにも思われる(もちろんそれは、年齢的な問題もあるだろう)。急に本拠地構想をぶつけられた宮城県知事や仙台市長も困惑しているようだが、下手をすると「二兎を追う者は一兎をも得ず」ということにもなりかねないとして、事態の推移を静観する構えのようだが、正しい選択だろう。こういう場に、政治的介入はあってはならない。また、楽天は「うちの球団に優先的に球場を使わせてくれたら、球場の改修費用を出す」とのことだが、これではエビでタイを釣るようなもの。また金が物言う事態になってしまうのではないだろうか。
「収束だ」とは言いながら、これから解決しなければならない問題は山積しているのも事実であり、再びNPBと選手会が衝突、ということだってあり得ないとも言えないだろう。
何より皮肉だったのは、それまで客の入りが悪かったのに、ストを決行した直後の試合は、どの球場も軒並み満員に近い状態だったということ。これなら、客の入りが悪くなったらストを起こせばいい、なんて声も聞こえてきそう。
そうは言ってもやはり気になるのは今後の展開。NPB側は公平かつ透明性の高い審査を行うとしているが、結果的にlivedoorと楽天の参入も認める一方で、宙に浮いているもう一つの合併も進めたい、そんな急転直下の事態だけは避けて欲しい。そして、ここまで来たのであれば、livedoorも楽天も、とことん争って欲しい。
「うちはやっぱりやめます」こそが、野球ファンに対する冒涜とも言える行為だから。

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