日別アーカイブ: 2004-07-29

二人旅

今日はらーめん考を休ませていただき、ちょっと違うお話を。
夏休みに入って約1週間。最近、電車の中でリュックサックを背負った小学生の子供を見かけるようになりました。そのほとんどは、親御さんに伴われた子供たちですが…。
昨晩、20時25分青森発普通電車。ほろ酔い加減の私の向かいに、小学生の兄妹と思しき2人がリュックサックを抱えて座っていました。おじいちゃんかおばあちゃんのところに遊びに行くのかな。その光景が何とも微笑ましく、ふと自分のことを思い出したのです…。
私は、小学1年生の頃から一人で隣県の祖母の家に「汽車」で遊びに行ってました。駅の中を鳩が飛び交っていた当時は、切符の自販機など存在しませんでした。切符を販売する窓口に向かって「○○まで子供一枚」とお金を差し出すと、「え?ボクちゃん、一人で○○まで行くのか!?」と驚かれたものでした。当時は実にのんびりしていて、「列車交換のため」と5分ほどの停車は当たり前で、大きな駅に着くと15分や20分くらいは停車していたものでした。弘前から約2時間ほどかけて乗換駅まで乗車、そこから反対側のホームで待つローカル線に乗り換え、約20分ほどで祖母の住む町に到着します。今は特急でちょうど1時間ですので、当時の「汽車」がいかにのんびりしていたか、何となく想像して頂けるのではないでしょうか。
妹を連れ、2人で汽車に乗って祖母の家を訪れたのは、多分小学4年の頃ではなかったでしょうか。その頃には既に「慣れっこ」になっていましたので、父母も安心して我々を送り出してくれました。
そんな二人は一度だけ、物凄い恐怖に襲われたことがあります。それは、いつものように祖母の家に向かう汽車の途中。大館駅から乗車してきた「酔っぱらい」のオッチャンでした。「汽車」ですので、今のようなベンチ型のシートではなく、いわゆるボックス型のシートに二人で座っていたのですが、オッチャンはその席に我々の姿を見つけるや、興味深そうに話しかけてきたのです。「どっから来たのゲ?どごサいぐスカ?何年生?」呂律の回らない言葉で、我々にしつこく話しかけてきます。小声で答えるも、妹は見ず知らずの大人、それも酔っぱらいがいきなり話しかけてきたことに明らかに怯えていました。そこから目的地までは非常に遠く感じられ、早く乗換駅に到着することだけを祈っていました。約30分後、ようやく乗換駅に到着。我々はダッシュで反対側のホームで待つ汽車に飛び乗ります。ちょうど高校生の帰宅時間とぶつかり、車内は混んでいたのですが、二人が座れるボックス席のスペースを発見、ホッと一息…と思った瞬間、何とそのオッチャンも同じ汽車に乗車してきたのです。妹は更に怯え始めたので、合図を送って二人でシートに身を深く沈めました。私は帽子を深く被り、女子高生の陰に。妹も同じような格好で身を隠します。今で言うストーカー?いやいや、たまたま方向が一緒だけだったというお話。そのオッチャンがどこへ向かったかは知りませんが、祖母が待つ目的地の駅に着いたときには、心身共に恐怖でクタクタだった、そんな旅路でした…。
そんなことを思いながら、ふと向かいに座る女の子を見ると、ちょうど目が合いました。すると!私の顔が相当悪人に見えたかどうかは定かではありませんが、サッと目をそらしお兄ちゃんに身を寄せたのです。あ、申し訳ないことをしたな…と思い、以降弘前に着くまでそちらに目を配ることはしませんでした。ひょっとしたらあの女の子には、私があの日感じた状況に似た恐怖を与えてしまったのかも知れません。そんなに酔っていた訳じゃないんだけど…(泣)
予告。明日はらーめん考(その3)。テーマは「スープ」ということで。