日別アーカイブ: 2017-10-12

ようやく日の目、しかし…。 – Listen Without Prejudice + MTV Unplugged / George Michael #georgemichael #listenwithoutprejudice

今も昔も青森県という「ド田舎」に住んでいる私、とりわけ若かりし頃は強烈なぐらい都会への憧憬というものを抱いておりました。

青森県を「ド田舎」…と揶揄しましたが、未だに「左遷されたところ」として取り上げられたり「日本語が通じない」と言われたり、最近は「地下がない」と嘲笑されたり…って、お前ら、青森に来たことないだろう!!

こんな感じで忸怩たる思いも幾度となく味わうこととなりましたが、住めば都といいましょうか、今となってはむしろ、青森で良かったという優越感を抱くようになっているぐらいでございまして、ハイ。だって、仕事でホタル見たり、雨上がりの歩道を飛び跳ねる小さな小さなアオガエルの一団に遭遇したり。ド田舎なんじゃなくて、天然の自然を満喫できるんだからね!

ちなみに、若かりし頃に抱いていた都会への憧憬、僕の中では「タワレコ」「地下鉄」「東急ハンズ」が、いわば「三大巨頭」みたいなものでした。

初めてタワレコを訪れたのは高校1年、京都への修学旅行の時でした。

自由行動のついでに畏友ダッチと二人で別行動、タワレコでDaryl HallとRobbie Nevilのアルバム(レコード)を2枚購入。(ちなみにダッチはSheila EのCDを購入。)

ちなみにそのダッチは、札幌市でソムリエとして店を一軒構えています。

おかげさまで」というお店、もし良かったら行ってみてください。

それはともかく、あのロゴの入った黄色の袋を抱えて地元弘前に帰ったことに、変な優越感みたいなものが湧いていたのは、今となっては何だったんでしょうね。

輸入盤独特の香り、そして国内盤より低廉な価格も、魅力だったのかも知れません。その後も仙台や東京を訪れた際には必ず「タワレコ」を訪れ、国内では入手し辛い色んなアイテムなんぞを物色していたのですが、時代の変遷とともに、足繁く通うこともなくなっていきました。…青森県内にもタワレコができたし、東急ハンズはトラックストアが展開されたし。…地下鉄はないけどね。

学生時代、秋田市内のPARCOにタワレコがあることを知ったときは、衝撃を受けました。ああ、青森は完全に置き去りだ、と…。

北秋田市に住む従姉が秋田市内に行く機会があることを知り、わざわざCDを購入するようお願いしたこともありました、そういえば。

ちなみにお願いしたのは、偶然にもGeorge Michaelの「FAITH」と、PWLの申し子といわれたRick Astleyのデビュー作でした。懐かしい。(ちなみにRick Astleyは先に聴いた従姉がとても気に入ってしまったことを覚えています。まあ、もう忘れていると思うけど。)

さて、George Michaelの「LISTEN WITHOUT PREJUDICE vol.1」。

これも、たまたま上京した際にタワレコで購入した一枚。衝撃的なソロデビューを飾った「FAITH」の次の作品ということで、店頭に並んでいるのを発見したときは、そりゃもう嬉々として手に取り、喜び勇んでレジへ。確か、発売されてすぐだったのかな。まだ国内盤が店に並んでいなかったハズです。

早速聴いてみると…。

…?

…あ、あれ?

な、なんか思っていた内容と違うぞ?

僕はてっきり「FAITH」の路線を踏襲したようなアルバムをイメージしていたために、肩透かしを食らったような、そんな印象を抱いてしまったのであります。

という記事をこのブログで掲載したのが昨年11月。この「LISTEN WITHOUT PREJUDICE vol.1」の25周年記念盤が発売されますよ、というアナウンスを受けて投稿したものでした。

ところが、暮れも押し迫った年末、世界中がクリスマスに浮かれる12月25日、突然の訃報が飛び込み、当初今年1月に発売が予定されていた記念盤も「発売日未定」となってしまいました。

突然の訃報に接したこと自体がかなり衝撃的だったのに、この25周年記念盤の発売日が未定になったことは、僕からすれば傷に塩を盛られたようなものでした。

ここに来て、お蔵入りになってしまうんだろうか。青春の一ページに思いを馳せることも許されないのだろうか。

発売日未定となった作品の予約をキャンセルすべきか逡巡したまま、季節も巡っていきました。

そんな中、9月上旬に突如発表された「Fantasy Feat. Nile Rodgers」 。

「Listen Without Prejudice vol.1」に収録されなかったこの曲は、実は25年前にアルバムの先行トラックとしてシングル化の構想があったようなのですが、いずれも実現せぬまま、後にカップリング曲として発表されることとなりました。

しかしながら、今回発表される25周年記念盤の発売に合わせ、ナイル・ロジャースにこの楽曲のリテイクを依頼し、この楽曲の発表をもってキック・オフとする予定だったのだそうです。

にもかかわらず、本人の急逝と作品の発売延期により、またしてもお蔵入りか…と思ったところへの発売決定の知らせ。ただし、「Listen Without Prejudice Vol.1」の25周年記念盤としてではなく、「Listen Without Prejudice + MTV Unplugged」というちょっと形を変えての発売。そしてそれに合わせ、この「Fantasy Feat. Nile Rodgers」も発表された、という。

そしてその直後に「発売日決定」のアナウンス。予約キャンセルしないで、本当に良かった!

ただですね…ホント何をやってるんだ!の4枚組デラックス・エディションの国内盤。

こういうことをするからアーティストと喧嘩になるんじゃないんですか?と思うような内容。これってアーティストじゃなくとも怒りたくなりますよ。

何で怒っているかといいますと…。

公式ホームページでは次のようなアナウンスがされています。

【デラックス・エディション収録内容】

DISC1(CD)|オリジナル・アルバム:2015年デジタル・リマスター <BSCD2仕様>

DISC2(CD)|MTVアンプラグド 公式初CD化:2015年デジタル・リマスター <BSCD2仕様>

DISC3(CD)|レア・トラックス:2015年デジタル・リマスター <BSCD2仕様>

DISC4(DVD)|ドキュメンタリー&ミュージック・ビデオ<日本語字幕付>

DVDに字幕が付くのはありがたい一方、何と肝心の「Fantasy Feat. Nile Rodgers」が収録されていないのだそうです!(ダウンロードコードが封入。)

そして、この曲の代わりにDISC2「MTV Unplugged」の11曲目に収録されているのは、Elton Johnとのデュエットナンバー「Don’t Let The Sun Go Down On Me」。

11.僕の瞳に小さな太陽(with エルトン・ジョン)※from the Elton John Album『Duets』 日本盤ボーナス・トラック

ちなみに2枚組のスタンダードエディションには、DISC2の11曲目に「Fantasy Feat. Nile Rodgers」が収録されているのだそう。この差異は、一体何?

そもそもElton Johnとのデュエットナンバーって、このアルバムとは全く関係ない曲ですよね。「日本盤ボーナス・トラック」という触れ込みになっていますが、全然ボーナスなんかじゃないし、むしろ邪魔なぐらいなんですけど!

しかし、何でこの曲を収録したんだろう?まさか、「MTV Unplugged」だからライブ音源も収録しちゃえ、ってこと?それとも…。

本来収録されるべき曲ではないこの曲が収録されたことによって、作品そのものがまるっきり別のものとなり、他方、本来収録されるべき曲が収録されていないことで、作品の質や価値が評価に値しなくなる可能性があるということを、レコード会社は理解しているのでしょうか…。

日本盤って、こういうのが多いですよね。「日本盤のみボーナス・トラック!」という触れ込みを掲げ、蛇足とも言えそうなボーナス・トラックを収録したせいで、アルバムの雰囲気がガラリと変わってしまったり、アルバムのトータルバランスを崩したり、アルバムそのものの質を下げてしまうことが。確かに昔はこれが「いい!」と思っていました。「日本盤のみのボーナス・トラック」を収録することで、何となくお得感を出すというか、海外盤との差別化を図るというか、色々理由や事情はあるのでしょうけれど、この曲って本当に必要なんだろうか、ということもしばしばあります。

極端な話をするならば封入された「解説」だって、もしかしたらいらないんじゃないか、と思うこともあるぐらい。だって、とことん解説に徹しているのならばともかく、作品に対する感想なんていうのは結局のところ、筆者の主観じゃないですか。直接制作に携わった人やアーティストの言葉なら話は別ですが。

有識者や音楽評論家の解説なんていうのは、このご時世、ブログで充分だと思うんですけれどね。(あ、このブログはそういう類ではありません、念のため。そもそも私、評論家でもなければそういう深い知識も見聞も持ち合わせていませんので。)

これもこの作品に限ったことではないのでしょうけれど、DISC 3の内容も「レア・トラックス」と謳っている割には結構寄せ集めっぽい感じが否めず、実際、既に他のアルバムに収録され、発表されている楽曲が多数収録されています。少なくとも未発表曲に関しては、収録されていません。

ちなみに今回新たに発表されたテイクは別として、「Fantasy」に関しては発表された当時の楽曲が既に「FAITH」のコレクターズ・エディションにも収録されているという。

それが今回また収録されるのも「?」ですし、そもそもそれで「レア・トラックス」って、一体どうなっているんでしょう。

まあ、確かに今となっては手に入れにくい音源が多数なので、「レア」であることには違いないのでしょうけれど、このDISC 3自体がデラックス・エディションのボーナス盤みたいなものと考えれば、致し方ないことなのかな。

だとしても、折角のコンセプトをムダにするような余計なボーナス・トラックは、正直言って本編には収録して欲しくないですね。

ということで、4枚組デラックス・エディションに関しては、何だかちょっと残念な作品になってしまったなあ、というぐらい衝撃的な内容。だって、本作品最大のハイライトが削がれているわけですからね。

そういうことじゃないんだよな…と、草葉の陰で歯軋りしながら地団駄を踏んでいるジョージの姿が目に浮かぶようです。さて、それはともかくこの作品、無事に手許に届くのでしょうか。そっちの方が心配です。