「後編待ってます!」というお声を幾つか頂きました。本当にありがとうございます。
でも、ごめん!今日は「中篇」です(笑)。
スタート直後は予定調和のような混雑。隙を縫うように前へ前へと歩を進めます。不思議なぐらい気負いがない代わり、頭の中ではまだ不測の事態のことを考えていました。早くゴールして上司からの連絡を確認しないと…。
3キロを過ぎた辺りで既にかなり発汗していることを悟りました。この汗は、何?暑いだけ?それとも、焦りの汗?これは給水と塩分の補給をしっかりやらないと、また途中で足が痙ってしまうかも…。
最初の5キロは25分近くを要しましたが、なかなか思うように先に進めないのは想定の範囲内。
南下を終え、走路が北上に変わった途端、多少風が吹いてくるのがわかりました。
ああ、気持ちいいなあ…これ、25キロ以降は追い風になることを確信。ちなみに気象状況、風向などは頭の中に折込済み。ただ、思った以上に太陽が雲に隠れるのは、いい意味で想定外でした。
しばらく緩い下り基調となるため、ペースが上がるのは当然のことと割り切ります。
スタート直前までは、気持ちも頭の中もゴチャゴチャしていましたが、妙に冷静に走っている自分が何だかおかしくもあり…。
とはいえ8キロ付近、創成トンネルに入る辺りから一気にペースが上がってしまったらしく、10キロまでの5キロを21分16秒と、ほぼサブ3ペースで走っていたようです。大体こういう暴走が後の大失速に繋がるのですが、なぜかこの日は走りも気持ちもしっかりコントロールすることができた…ような気がします。気負いも気張りもなかったし。
6キロ付近で、後に差しつ差されつを繰り返すこととなるナオキ君に追いつき、「オレ、少しペース速すぎるかもね」と一言残して先行。
10キロ付近ではカズヤさんに追いつき、しばし並走。
「まだ先は長いので、あまり無理して飛ばさないように。」と助言を頂きます。
カズヤさんの助言を受け、一旦落ち着かせるために4分25秒前後までペースを落とし、塩分を補給しながらそのまましばらくペース走を続けます。といってもその都度時計を見て確認したわけではなく、あくまでも自分の感覚だけで走っていましたし、実際に走っている途中で自分の時計に目をやったのは、3度だけでした。
やがて見えてきた「新川」の文字にも動揺することなく、15キロを通過。ここで最初の補給食を投入。5キロ毎の通過地点には時間を示す電光掲示板も設置されていましたが、それには視線を送ることもなく、ひたすら走ることだけに集中していました。
「難所」といわれる新川通が徐々に近づいて来ました。この間も、ずっとペースを保ったまま、無心で黙々と走り続けます。
そしていよいよ、片道6キロ以上の直線が続く新川通へ。これまでは鉄塔や建物を目印にしながら走っていたところ、今回はそれすら忘れて、ただ前だけを見て走っていました。前述の通り、強い太陽の日差しは雲に遮られ、確かに暑さはあったものの、個人的には非常に走りやすい環境だと感じていました。時折北西方向から強い風が吹いてきますが、練習の時に何度も受けた向かい風に比べたら、全然大したことないと言い聞かせながら走ります。
20キロ付近、足裏に違和感を感じるようになりました。少しペースが落ちかけますが、「我慢、我慢」と言い聞かせながら、意識の集中を、脚でも脳でもなく、腹部に置いてやり過ごします。
中間地点付近で、「弘前公園RC」の幟とサトコさんの姿を発見!思わず手を挙げ声援に応えます。
しかし…キツいと思う絶妙なポイントで声援を送ってくださるんですよね。本当にありがたい。
とはいえこれで足裏の痛みは消えたわけではありませんでした。ただし、落ちかけたペースを再び元に戻したという感覚はハッキリとわかりました。
「いいペース刻んでますね。」
突如後ろから話しかけてきたのは、6キロ付近で追い抜いたはずのナオキ君。どうやらずっと僕の背後を走ってきたらしく、ここで再び前に出るナオキ君に視線を送りつつ、折り返しを終えてやってくる仲間のランナーに声を掛けます。
…何だ自分、声を掛けられるだけまだ余裕あるじゃん。
しかし、この日は足の運び、そして腕振りと、今までで一番「走ること」に集中できていたかも知れません。この区間は私設エイドがたくさん設置されており、コーラをはじめ、ランナーが欲するような飲食物を提供しています。しかし、それには全く目をくれることもなく、ずっと先だけを見て走っていました。
中間地点通過。ここで初めて電光掲示板に視線を送ります。1時間35分。ひとまず目標としていた時間ちょうどで通過することができました。
単純計算だと2倍で3時間10分。今後の落ち込みを考えれば、3時間10分を切るのは難しいと考えましたが、それはそれ。予想タイムを気にしすぎてここでムダに計算することは走りを狂わせることになるだけなので、考えないことにしました。
25キロを過ぎ、新川通の折り返しを通過し、残り17キロ。
しかも折り返した途端、予想通り風向きが追い風に。自然とペースが上がります。
しかしここからがいよいよレースの後半、まさに我慢のしどころへと進んで行きます。
折り返した後も、後続の仲間たちからたくさん声を掛けてもらいました。
「行けるいける!」「マカナエ!頑張れ!」「のんべ!頑張れ!」
…これ、涙が出そうになるぐらいホントにありがたかったです。
ところが、間もなく新川通も終わろうとする辺りから再びペースが落ちてきたことがわかりました。
右ふくらはぎがピクピク疼き始めたのです。足の痙る前兆が現れてきました。
まあ、想定していたことだけど、またここで現れますか。
もはや万事休す…か。
…いや、まだまだだろ?ここからが本番だろ?
ここで心折れたら、職場に顔向けできないぞ!
(つづく)