Monthly Archives: 9月 2014

弘前・白神アップルマラソンで「サブ4」を目指すランナーのお手伝いをします。

このブログでも何度かそれらしいことを言い含めていましたが、私、今回の弘前・白神アップルマラソンでは、記録更新を目指しません。


…思えば昨年の今頃は、初めて走るフルマラソンというものが一体自分にどんな影響を与えるのか、戦々恐々と過ごしていました。
弘前公園ランニングクラブの仲間から色んな情報を得たり、市販の書籍を読み耽ったり、とにかく無事に完走できるように、そのことばかり考えていました。
初めてのフルマラソンの結果は、3時間34分50秒で完走。
周囲の人たちからは驚きをもって迎えられ、僕には「マラソンランナー」という一つの肩書きが増えました。
あの時、仲間に支えられて走ることがどんなに素晴らしいことか身をもって体感し、そしてゴール後に流した歓喜の涙には、そのことに対する感動というか感謝の念も込められていました。

…あれから約1年。相変わらず僕は走っています。
今年はゴールデンウィークの頃からペースを上げ、5月には花巻市において、ようやくハーフマラソンの自己ベストを更新。(実はハーフマラソンも、2年前の弘前・白神アップルマラソンで走ったのが初めての挑戦だったんですけどね。)

フルマラソンは、8月31日の北海道マラソン(3時間48分42秒)、そして9月21日の田沢湖マラソンと2度完走。陸連公認コースとして決して楽ではないと言われる田沢湖マラソンで、遂に3時間30分を切るタイム(3時間28分51秒)でゴールを果たし、いわゆる「サブ3.5ランナー」の仲間入りを果たしました。

28日は青森県つがる市のつがる地球村一周マラソン(10キロコース)で、3年ぶりに10キロのタイムも更新。

ハッキリ言って調子が良いです。ですから、迎える10月5日の弘前・白神アップルマラソンは、3時間10分台を狙いたいところもあります。しかしながら、まだ脚の回復具合は完璧でなく、筋肉にも張りが残っています。

ということで、これは田沢湖マラソンを走り終えた時から決めていたことなのですが、今回の弘前・白神アップルマラソンでは、大会非公認ながら「サブ4(4時間以内での完走)」を目指すランナーのお手伝いをさせて頂くべく、大会当日のぺーサーの役を買って出ることにしました。僕なりの感謝といいましょうか、県内外から弘前・白神アップルマラソンのためにやってくるランナーへの、おもてなしといいましょうか。

津軽富士と呼ばれる岩木山を間近に見ながら、たわわに実ったりんご畑の中を駆け抜け、世界自然遺産でもある白神山地の玄関口である西目屋村を折り返す青森県唯一のフルマラソン。

今回、弘前公園ランニングクラブからは、僕も含めた4人のぺーサーが皆さんのお手伝いに回る予定です。それぞれフルマラソンでサブ3.5を達成している人たちや、アイアンマン(スイム4.5km、バイク180km、ラン42.195kmを完遂した人)がその構成メンバーです。

ただ、サブ4と言っても4時間ギリギリで達成するのではなく、余裕を持って達成したいところもありますので、当日の作戦としては前半から飛ばすといった無謀なことはせず、キロ5分20秒前後(3キロ16分程度)のペースをキープして走っていきたいと考えています。(ちなみに先日の田沢湖マラソンの際は、30キロまで大体4分30秒~4分50秒で走っていたので、僕にとって5分20秒が決して無理なペースではないということはおわかり頂けるかと思います。)

ただし、フルマラソンというのは何が起きるか分かりません。
昨年の初マラソンでは、文字通り一度も歩くことなく「完走」しましたが、北海道マラソン、田沢湖マラソンともに35キロ付近で足が止まり、歩いたという苦い経験もあります。
3キロを16分で走り続けると、フルマラソンだと3時間45分前後でゴールできますが、どうしても後半(特に30キロ以降)は疲れが出るため、ペースが落ちても仕方がないと考えて下さい。(もちろんネガティヴスプリットを決めるようなランナーですと、後半のために余力を温存しています。しかし、少なくとも今の僕にはそんな余裕はありません。)
しかも我々もほとんどがぺーサー初体験。ということで、15分の余裕を持って走るのは、最後に力を出し切るための、言わば貯金です。

ですから、30~35キロまでは確実に4時間切りを達成できるペースで走り続けるつもりです。
ホントは30キロの壁も、35キロの壁もないんだから。そんな壁、みんなでぶち壊してしまいましょう!

マラソンは独りで走り続けなければなりませんが、決して孤独ではありません。
我々ぺーサーも、皆さんの目標が達成されるよう後押しさせて頂きますが、最後の最後は、是非お一人お一人の力でその栄光をつかみ取って下さい。

当日は、なるべく目立つところ(例えばキャップなど)に以下のゼッケンを掲示して走る予定です。フルマラソンのスタート時も、このゼッケンを背負った4人が固まって「目標:4時間以内」の辺りにいると思いますので、遠慮なくお声掛け下さい。
なお、ゼッケンには4:00と書かれていますが、キロ4分で走るぺーサーではありませんので、くれぐれもペースを煽ったりすることのないようにお願いします。

津軽の豊かな自然に接しながら自分と向き合う42.195キロのプチ旅行、是非一緒に楽しみながら走りましょう!

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Yes,We Can! - 第10回つがる地球村一周マラソン

(すいません、今回は写真を撮るのをずーっと忘れてしまいました。)

弘前・白神アップルマラソンまで1週間。最後の調整というわけではありませんが、足馴らしということでレース感覚を養おうと思い、近隣で行われる大会がないかと物色していたところ、北海道函館市と青森県つがる市の大会に辿り着きました。

さすがに先週秋田県仙北市(田沢湖マラソン)に行ってきたばかりで、2週立て続けの県外遠征は叱られるな、と思い、つがる市で行われる「つがる地球村一周マラソン」にエントリー。

この大会、僕が所属している弘前公園ランニングクラブのメンバーがこれまでも何度か出場しており、10キロながらなかなか脚力を試されるコースだということを聞いていました。(弘前公園RCのメンバーは結局、函館ハーフマラソンとつがる地球村一周マラソンの二手に分かれて出場しました。)

僕自身、10キロの大会に出場するのは、3年前の弘前・白神アップルマラソン以来。あの頃は自己練習で知識も何もなく、怪我も恐れずただ漫然と走っていた時期。
それから約10ヶ月後、僕はTキャプテンに誘われて2年前の8月から弘前公園RCに参加、それ以来まるで何かに火が付いたように色んな大会に出場するようになりました。
ただし距離は、20キロ以上ばかり。
普段の練習でも10キロ以上走るようになってからは、10キロの大会は見向きもしないようになりました。

そんなこともあり、3年ぶりにエントリーした10キロ、正直言ってどうやってレースで走ればよいか思い出すことができず、自信がありませんでした。

目標タイムは44分に設定しましたが(ちなみに10キロのこれまでの自己ベストは、43分47秒)、正直それすらも怪しいと思っていました。

だって、聞いたところでは折り返しまでひたすら下りのコースで、折り返した後はその逆、つまりずーっと上り。先週の田沢湖マラソンでの激坂のことがふと頭をよぎりました。
あー…これって上りに対する苦手意識が芽生えているのかも?

会場に到着後受付を済ませ、約1時間前から軽めにアップ開始。
臨時駐車場から坂を上ってみるけど、ちょっと脚が重い感じ…。
で、そのままステージの方へと向かうと、主催者の挨拶が終わったところでした。(この大会、最初はファミリーマラソンから始まったんですって。)

すると、突如米国国歌が流れ始め、ちょうどこの日ゲストランナーとして招かれていたお笑いコンビのデンジャラスが登場、挨拶を兼ねたコントを展開していました。(もちろん、オバマに扮したノッチがYes,We Can!と叫んでました。)

で、僕はといえばそれを横目に見ながら、下半身を重点的にストレッチ。普段の練習の時も、ストレッチってあまりしないんですよね、実は。ハーフマラソンやフルマラソンの時なんて、最初の3キロぐらいがストレッチみたいなもんだ、と思い込んでいるので、全くやらないんですよ。

でも、今日これを怠ったがために怪我をしたとなれば、元の木阿弥。
ということで、いつもより入念にストレッチをしました。(ただし僕の場合、身体が硬いので、ストレッチになっていない、という話も…。)

スタートは9時30分ですが、9時過ぎにはスタート地点で待機。身体をほぐしながらその時間が来るのを待ちます。やがて、あちらこちらから人が集まり始めたのですが、その顔ぶれを見て戦々恐々。200名もいないこぢんまりとした雰囲気はあるものの、キロ4分前後で走る方がズラリ。つまり彼らも、アップルマラソン前の調整レースと位置づけて参加しているらしく、いやいや、これはエラいところに来てしまったかも知れないぞ?と思った次第。

9時30分のスタートと同時に、選手の皆さんが勢いよく飛び出します。1キロぐらいまでは緩い下り坂。既に集団はバラつき、弘前公園RCの面々も練習ではあり得ないようなペースで走り始めました。

今回の10キロで決めていたこと、3つ。
1.自分のペースで走る。
2.最後まで心折れない(自分にキレない)。
3.坂道をしっかり登り切る。

前述のとおりいきなり凄い勢いで飛び出したため、恐らくキロ4分を切りそうなペースだったと思うのですが、すぐに修正を図り、キロ4分15秒前後に抑えました。
普段の練習を考えると、これでも速過ぎるんですけどね…。
1キロを過ぎたダムの堤防、ちょうど平地になる辺り(実際は上りが始まっている)、この付近で既に呼吸の荒い方々が多数。
ほら…言わんこっちゃない。入りのペースが速過ぎなんだって。
そんな方々を横目に、2キロ通過。キロ4分15秒。まあ、今日はこのペースでも大丈夫かな。
2.5キロ付近で給水所が現れ、水を一口…のつもりが、あまりのぬるさに驚き、思わず吹き出す始末。まあ、これもある意味給水の練習なのだと考えるようにしました。
前を走るピンク色のTシャツを着た弘前公園RCの2名、そして赤いノースリーブの絶倫魂の2名は、一向にペースを落とす気配がなく、快調に飛ばしています。

そして、4キロ付近から一気に下る坂が現れます。
つまりこれは復路の上り坂になるわけね…。

あまり勢いに乗ってスピードが上がらないよう、多少抑えながら坂を下ります。4.5キロ付近で再び給水。
いつもより速いペースだし、ここでも練習と捉え、給水をしっかり取ります。この辺りで、絶倫魂1名を捕捉。(おっ!来たなぁ?と声を掛けて下さったのは先日行われた佐渡島でのトライアスロンに挑戦したばかりのHさん。)
続く折り返し地点では、弘前公園RCの1名が離脱。(相当具合が悪かったらしく。)
そこで、更に先を走る二人をペースメーカーと位置づけて歩を進め、いよいよ復路の上り坂。
この上り坂で垂らし始めた人も多かったみたいで、その方々をグイグイと追い抜いていきます。やがて、弘前公園RCのSさんを捕捉。直後に、Sさんが僕の背後にピタリと付いたのが分かりましたが、自分のペースが落ちていたのも分かっていたので、さほど気にすることもせず、淡々と走り続けました。
8キロ付近で、ようやく絶倫魂のKさんの背中がハッキリと分かるところまで迫ってきました。
実は4キロ付近の下り坂以降、全くといっていいほど時計を見ていなかったので、自分がどれぐらいのペースで走っているのかわからぬまま、ただひたすら先を目指して走っていました。(結局ゴールするまで時計は見ませんでした。)
なので、僕のペースが上がっているのか、Kさんのペースが落ちているのかは分かりませんでした。
そして遂に8.5キロでKさんに追いつき、並走。
「さあKさん、来ましたよ!行きますよ!」
「おう!さあ、引っ張っていってケロ!」

確かそんなやりとりがあったと思いますが、この辺りからラストスパートのことを考えていましたので、気合一発「よっしゃ!」と叫び、一気にペースアップ。
先方に目をやると、病み上がりで久しぶりにレースに参加しているNくんの姿が。
彼に追いつくことは無理でも、少しでも彼の姿に近づきたい…。そう思いながら、ペースを上げました。

背後から「ちょ、ちょ!速いって!」というKさんの声が聞こえました。
残り1キロ。ここから緩い上りが続きますが、この日はどうしたことか、いつになく気合いが入っていました。
つがる地球村のゴールに向かう右折地点、前方に三脚とカメラを発見。何を思ったのか、笑顔を浮かべ、手を挙げました。

そうだよ!これ、忘れてたよ。笑わなきゃ。

先ほどのアップで脚の重さを感じた上り坂。
声援を送るたくさんの人が見えますが、相変わらず目もくれずゴールの方向だけを見ています。
「蒔苗さん、ラストラスト!」
そう声を掛けてくれたのは、5キロを走り終えた後のTさん(だったはず)。でも、目もくれず軽く手を挙げるだけでそちらに顔を向ける余裕もありませんでした。(ちなみにこの辺りではキロ4分を切るペースで走っていました。)

そしてゴールラインを切った瞬間、思わず時計に目を向けました。41分49秒!
何と、自己ベストを2分近く更新!

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先着した病み上がりのNくんが「お疲れした!」と座り込んでいました。
「お疲れさま!ナイスラン!」と声を掛けてNくんと握手。
程なく背後から、「ずるいじゃ~」と苦笑いしながら絶倫魂のKさんがゴール。
その後も上り坂で僕の背中についたSさんや、絶倫魂のHさんなど、続々とゴールを果たします。

終わってみるとあっという間の10キロ。さすがにゴールした後は息を切らしましたが、当初の3つの課題は無事クリア。やりたいこと確認したかったことは、ほぼ全部できたかな。

まあ、給水だけは課題が残ったけれど、途中でそれなりの駆け引きも楽しめたし、フォームを確認しつつ最後までしっかりと走ることができたし、たまに本気で10キロを走ってみるのも、いいかも知れない…と思った次第。
でも実はこのコース、150メートルほど距離が短いんですよねぇ。10キロじゃなくて、9.85キロ。あと150メートル距離が伸びたら、42分は切れないだろうなあ。

…で、所用を思い出したため最後表彰式を見ることなく帰って来たんですが、お楽しみ抽選会の予備抽選でパンの詰め合わせが当たっていました。
あんパン、クリームパン、ジャムパン、メロンパンなどの詰め合わせ。参加賞も食パンだったので、帰宅すると「秋のパンまつり」と笑われました。

まあ、この調子だと、10月5日に行われる弘前・白神アップルマラソンでも好走できそうな気がしないわけではありませんが、先日の田沢湖、そして今回のつがる地球村で今の実力を確認することができましたし、昨年より自分が進化していることを実感することができました。つまり、今年の目標は達成しつつある、ということに。
何より、初めてのフルマラソンとなった昨年の弘前・白神アップルマラソンで充分楽しく気持ちよい思いをさせてもらいましたので、今年は僕と同じような気分になってもらいたく、他の皆さんに楽しんで頂く方に回れればと考えています。

筋金入りの運動音痴だったこの僕でもできるんだから、きっとみんなもできる!サブ4を目指す皆さん、是非狙って行きましょう!

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サブ3.5は、通過点。 - 第29回田沢湖マラソン

毎週土曜日の早朝5時、弘前市内やその周辺地域から弘前市役所前にランナーが集合、弘前公園ランニングクラブの練習が行われている。(ランナーのレベルは千差万別で、自由気ままにただ走る、会費も何もない、緩ーい集まりですので、興味のある方、たまたま弘前市にいらした方も、是非いらして下さい。)

20日(土)の練習は、田沢湖マラソンを翌日に控えていたので、僕は軽めの調整にとどめた。
2度目のフルマラソンにして辛酸を舐めることとなった北海道マラソンから中2週。既に足は完全に回復していたが、この間、相変わらず自分に妥協してばかりの練習で、距離も質も全然足りていないことだけが気がかりだった。

北海道マラソンは、自分にとって初の陸連公認大会ということで、どこか気合ばかりが空回りして、ちょっと意識過剰になりすぎていたな、と感じたところだった。
田沢湖マラソンは昨年20キロにエントリー、90分を切るという(自分の中では)好走のできた大会。
そんなこともあって、ひょっとしたら記録を狙えるのではないか、という密かな期待を抱いていた。
弘前公園RCの朝練の時には「3時間40分以内」を公言したけれど、もちろん今年の目標であるサブ3.5(3時間30分以内でのゴール)を達成できれば、というのが本望だった。

いろんなことに過敏になりすぎた北海道マラソンの時とは違い、いつも通りの日々を過ごしながら、徐々にカフェインを抜いていったり、アルコールを抜いていったり。でも、極端な食事制限はしなかった。

この日の夕方から北秋田市にある母の実家に移動。従姉が秋田名物の「きりたんぽ」を用意してくれていた。
前回も頂いたこの名物で、僕は好走できたと信じていた。比内地鶏から出る脂がちょっと気になるところではあったが、カーボローディングを取り入れるのであれば、絶好の食事だと思ったからだ。
結局2杯おかわりして、21時過ぎに就寝。
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大会当日。北秋田市から田沢湖を目指す。
途中で立ち寄った「道の駅あに」では、気温が6度前後まで下がっていた。でも、いい天気に恵まれそうだ。

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車で約1時間40分、6時前に田沢湖畔に到着。車で仮眠を取る。
昨年もそうだったが、6時頃には受付(ゴール地点)に近い場所の駐車場からどんどん車で埋まっていく。(早朝6時なのに、ちょっとした渋滞も起こる。)
しかも、帰路は15時頃まで時計回りの一方通行となるため、駐車場所を間違えると、とんでもない遠回りを強いられる。実は、レース後の復路は八幡平経由で鹿角八幡平ICから東北自動車道に乗るつもりだったのだが、駐車場所の選択を誤ったため、結局往路と同じルートを辿ることとなり、国道105号を北上、北秋田市から国道7号に抜ける道を走らざるを得なかった。会場から離れた臨時駐車場に車を停めてシャトルバスを利用するという選択肢もあるけれど、万が一忘れ物をしてしまった場合やその他のことを考えると、やはりゴールに近い場所に停めるのが賢明なのかと思ってしまった。

さて、この日のスタートは10時。時間はたっぷりあるのだが、意外とあれやこれやとやっていると、あっという間に時間は過ぎるものだ。念には念を入れてトイレには3度足を運び、北海道マラソンで失速の原因の一つとなった足裏にしっかりとワセリンを塗り込む。受付開始時刻の7時には、ゼッケンナンバーとTシャツを受け取る。今年のTシャツは、コースの高低図が描かれている。昨年物議を醸した「一心不Running」の文字もなく、ちょっとセンスがいいぞ。

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豆大福を3つ、バナナを1本、肉まんとピザまんを1つずつ貪りながら、OS-1を500ミリリットル飲み干す。受付を済ませた後に改めて見たゴール地点にはどれぐらいで帰って来られるだろうか、我々はこれから田沢湖周辺を駆けずり回るというのに、この秋田犬はずっと檻の中でかわいそうだな、なんてことを思いながら。

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9時40分。スタート地点へ移動。この日弘前公園RCからエントリーしていたのはフルマラソンに8名、20キロに1名であったが、フルマラソンにエントリーしていた2名が怪我やその他の事情でDNSとなった。
もちろんスタートできなかった人たちの思いを胸に秘めていたが、僕は、先日緊急手術をした我が家の老犬、モモのことを考えていた。14歳になってなお手術に耐えたモモの姿に、どこか感化されたところがあったらしく、ヤツが頑張ったのに自分で頑張らないでどうする、と一人で勝手に鼓舞していた。
そして僕だけではなく、他のメンバーも何か内に秘めた闘志を燃やしている空気が、何となく感じられた。

田沢湖マラソンは、全種目がそれぞれ異なる場所から10時に一斉にスタートとなる。
僕らは陸連登録していたため、ほぼ最前列に近い場所からスタートとなった。

午前10時。気温16度湿度55%風速0という絶好のコンディションの中、スタートの号砲とともに勢いよく飛び出していったのは、A先生とYさんだった。スタート直後は、長い下り坂となる。もちろんまだ始まったばかり、ここで他のランナーのペースに巻き込まれてはならない。
それでも、最初の1キロは4分ちょうどで入っていた。

Tキャプテンや、岩木山ヒルクライムの実行委員長であるKさんから言われた言葉やアドバイスをふと思い出す。
「最初から飛ばさなきゃ、ダメだ。」「考えるな、感じろ。」

直前にNさんからアドバイスがあったとおり、35キロまでは、キロ4分30秒から50秒で走る、自分のペースを刻む作戦だった。35キロ過ぎに現れる急激なアップダウンを考えると、それまでの貯金がサブ3.5を達成できるかどうかの鍵を握ると考えたからだ。

途中若干のムラはあったが、20キロまではほぼ順調にペースを刻んでいた。ずっと前を走っていたYさんを捕捉したのは、14キロ辺りだったろうか。(Yさん、今日は自分でもペースが速い、行けるところまでこの調子で行こうかと思っている、と言っていたような、いなかったような。)

北海道マラソンでは見つけられなかったペースメーカー的存在も、今回は早い段階から見つけることができたし(実はYさんもその一人だった。Aさんは、結局最後まで姿を見つけることができなかったけど。)、思い通り…いや、それ以上のレース展開、といっても過言ではなかった。

田沢湖駅周辺の中心部を駆け抜け、田沢湖畔に出た後の残り20キロは、田沢湖をぐるりと一周する。
ハーフの通過タイムは1時間37分を切っていた。予定よりも6分も早く通過している。
いや、でもあの35キロの後に現れる激坂を考えると、これでもまだ足りないかも知れないと思ったが、ここで焦ってはならないと努めて自分のペースを保っていた。

24キロ過ぎから、少しペースが落ちたのが分かった。ペースメーカー的存在のペースが落ちてきたのだ。申し訳ないがその方には心の中で別れを告げ、次の新しいペースメーカーを探さないと、と走り続けるも、なかなか格好のペースメーカーが見つからない。(実際この頃から走りに少しずつ迷いが生じ始める。)
30キロ通過。ふと時計を見る。2時間20分30秒。残り12キロと考えると、サブ3.5の達成はほぼ確実になりそうだ。
…いや、これってひょっとしたら3時間10分台も狙える?

しかし、世の中そんなに甘く事が進むはずがない。
好事魔多しとは、まさにこのことを言うのだろう。

変な欲を出した途端、今思うと明らかに走りにブレが生じ始めていた。
そして現れた35キロ過ぎの上り坂。Tキャプテンから「小股でしっかりと。」と言われていたのに、大股のまま上りに差し掛かってしまった。結果、100メートルほど進んだところで、走っている足が止まった。

嗚呼、またやってしまった。先週の岩木山ヒルクライムランや北海道マラソンでの反省が、まるで役に立っていないじゃないか…。結局しばらく歩いたまま、先を目指す。
坂道がようやくなだらかになり、再び走り始める。そして、下り坂。僕の横を凄い勢いで駆けていく人たち。
もしもし、そんな勢いで走っていたら、この後の細かなアップダウンで堪えますよ…。
しばらく下っていると、先に37.5キロのスポンジポイントが見えてみた。やっと下り坂も終わる…と思ったその時。

ピキーン!!
うぐっ!うえっ!?ぐわっ!?な、なに?

何と、突如左足が攣ったのだ!
うわっ!何じゃこりゃ!
と思ったら右足も痙攣!

歩くとか走るとか、そういう問題ではない。前に進むどころか、立っていることもままならない状態なのだ。
初めての経験に、どう対処してよいか分からず、その場に立ち止まり、半分パニック状態になる。落ち着け、まずは落ち着け!
脇を通り過ぎるランナーが「ガンバ!」「ファイト!」と声を掛けてくれるが、答える余裕などまるでない。声を掛けるより、手を貸してくれ!と思ったが、みんなが勝負師。そんな人がいるはずもなく。
坂道の途中だったこともあり、後ろ向きになってみたり、色々やってみるが、両足は攣ったまま。ヤバい…と思い、一度その場にへたり込み、脚をゆっくり伸ばす。

初めて「リタイア」の文字が頭をよぎる。
あともう少しでゴールなのに?サブ3.5も狙えるのに?
今回の大会に参加できなかったOさんやN先生の顔が浮かぶ。
これでリタイアでは、顔向けできないぞ…。

落ち着け、まずは落ち着こう。必死に自分をなだめながら、ゆっくりと呼吸を整える。
…大した時間ではなかったようだが、自分の中ではその場に10分以上いたような気分だった。
静かに立ち上がり、再び歩き出す。とりあえず、あのスポンジコーナーまで行こう。
何とか37.5キロ地点に到着。ふと、軽トラの荷台にコールドスプレーを発見し、「すいません借ります!」と有無も言わさず両足に噴射。これで一気に落ち着きを取り戻した。

ひとまず何とかなりそうな感じだ。恐る恐る時計を見る。3時間を少し回っている。残り約5キロ弱、キロ6分を切るペースで進めば、サブ3.5は達成できそうだ。

ここからは完全に気力だけで走っていた。途中何度か脚が攣りそうになって歩いたが、周りの風景とか声援とか、全然目にも耳にも入ってこなかった。文字通り、無心。(逆に、この辺りで撮影されていた画像を早く見たいと思う。)
そしていよいよ42キロを通過。残り200メートルを切り、下りの砂場とゴールゲートが見え始める。時計はもう、見えていない。

「ノリノリ!ラスト!行ける行ける!」

ふと左側を見ると、先着していたA先生と、20キロを走り終えたS先生の姿。ハッと我に返り、二人の声援に手を挙げて応えながら、最後の疾走。電光掲示板には3時間28分の文字が…。

やった!と叫びながらガッツポーズをかざし、ゴール!

3時間28分51秒、サブ3.5達成!

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足が攣ったダメージもあったらしく、膝がガクガクしてきちんと歩けない。足裏に痛みはないが、右足の親指に、水ぶくれか血豆ができていることだろう。

這うような気分でA先生とS先生のもとに辿り着く。

「やりました…!ありがとうございました!」

まだ足がガクガク震えている。脚が攣りそうな感じも残っている。
その姿に見かねたS先生が、芍薬甘草湯を渡してくれた。

沸き上がる達成感と満足感と悔しさと腹立たしさ。
色んなものが交錯して、胸の中で攪拌が始まった。
その途端に、何かがグッとこみ上げてきた。
嬉しいのか悔しいのかもわからない。わからないんだけど、目からポロポロと涙が溢れてきた。
僕はその場で、人目も憚らず涙を流した。
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その後他のメンバーも続々とゴールし、スタートから4時間10分後には、全員完走を果たした。
結果として、A先生と僕は念願のサブ3.5、OくんとNさんはサブ4達成で、それぞれ自己ベストを更新となった。

今回は、非常に走りやすい気候に恵まれたということもあっただろう。

それを差し引いても、これまで出場したフルマラソン3大会連続でサブ4を達成し、更に今回、途中アクシデントに見舞われながらもサブ3.5を達成できたことは、僕にとってちょっとした自信になった。(でも、身体に塩が無数にへばりついているのを見ると、相当汗もかいていたらしい。足が攣った原因の一つとして、水分不足を指摘されたけど、多分塩も足りてなかった。)


次は中1週でいよいよ「弘前・白神アップルマラソン」が行われる。
ダメージはそれほどでもないので、また頑張ろうという気にもなっているが、埼玉県の公務員ランナーのようにストイックになる必要もないかな、と思い、地元の大会を盛り上げる、参加した方々に楽しんで頂く、というスタイルで今回は走ろうかな、と考えている。

今年最大の目標を達成したことで、僕なりの恩返し、おもてなしをしようかと。

改めて振り返ると、正直、ひょっとしたらもう少し行けるのではないか、と思ったのも事実。今年最大の目標であった公認大会でのサブ3.5は達成したが、結果にもレース展開にも満足はしていない。ネガティヴスプリットが決められなかったし、昨年は難なく登った坂で脚が止まったし、下り坂では脚が攣ったし。
まあでも、反省の中に自分なりに色々得たものも多い、実りある大会だった。

敢えて一つだけ言うとするならば、マラソンは無欲で臨むのが好結果を残すかも知れない。
昨年生まれて初めてフルマラソンを走った時の弘前・白神アップルマラソンは、完走することしか考えてなくて、欲なんか出す余裕がなかったのに、最初の大会でかなりいいタイムで完走したがため、変に欲を出すようになってしまったのが、多分最大の敗因。
今回然り北海道然りで、下手に欲を出すと、ガツンとやられますな。特に後半の色気、欲は禁物。とことん禁欲ランナーに徹するべきだと、強く思った次第。
とはいえ人間だもの、欲を封じて何かに徹するって、簡単なことじゃない。辛い時だからこそ気を紛らわすために色気や欲のことも考えるだろうし…。
一番いいのは、多分何も考えず無心になることなのかも。実際今回は、ラスト2キロから完全に無心になり、ひたすらゴールを目指していたわけで…。でも、毎回そんなうまくいくはずもなく、己の中にある欲を断ち、自分に打ち勝つって難しい。そう考えると、マラソンって本当に奥が深いスポーツですね。

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岩木山にはやはり畏怖の念を抱かざるを得ない。

今日は、「チャレンジヒルクライム岩木山ランニング大会2014」に参加してきました。
毎年6月に青森県の名峰岩木山で行われる自転車レース「チャレンジヒルクライム岩木山」。
昨年はプレイベントとして自転車だけではなくランニングも開催されたのですが、今年はそのランニングが正式開催となりました。

115名の男女から参加申込みがあり、今日早朝から100名を超える人たちが、普段は歩行者の通行が認められていない岩木山スカイラインを駆け抜けました。

…いや、駆け抜けたというよりは、這い上がった、といった方がいいのかな、特に僕の場合は。

スタートの標高は450m。フィニッシュ地点の標高は1247m。高低差は何と、797m。あのドMマラソンと呼んでいる平川市の「たけのこマラソン」ですらアップダウンで総標高差400mちょっとなのに、こちらはひたすら上って上って上り続けて約800mという、超ドMマラソン!

早朝3時50分。岩木山スカイラインを目指して自宅を出発!月明かりが眩しい代わりに、人影も車もほとんどおらず…。
岩木山の方角を見ると、雲がかかっているのか、朧気ながらの姿しか見えないという状態。

いつもならばランニングで走っている道路を、車で走り抜ける何とも言えぬ違和感を感じながら、いよいよ岩木山神社が近づいてきた時、パラパラと雨が零れてきました。しかし、百沢地区を抜け、受付のある嶽温泉郷が近づくにつれ、どんどん雨脚が強くなっていきます。

ムムム…この雨、やれんのか?

4時20分頃、スカイライン入り口隣にある駐車場に到着。既にたくさんの車が停まっていますが、運転席にいる方々は、僕と一緒で降り止まない雨の気配を憂いているのがわかりました。
スマートホンを取り出し、降雨レーダーを見ると…

どうやら通り雨のような雨雲がちょうど通過しているらしく、4時40分以降は全く雲のない状態となる予想図となっていました。もう少し待てば雨も上がると踏み、しばらく車内でボーッとしていると、次第に雨脚が弱まり、程なく、ほとんど雨が止んだのがわかりました。

今だ。行ける。
車から降り、約1キロ離れた嶽温泉郷へ。もちろん周囲はまだ真っ暗ですが、これもウォーミングアップと考えたら、気になることはありませんでした。

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受付会場に到着すると、そこには見慣れた顔がたくさんいました。モヒカン兄貴ことHさんや委員長のKSKさんの他、弘前公園RCのメンバーや絶倫魂のメンバーがスタッフとして参加していました。
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受付を済ませ、車に手荷物を預けます。小さなデイパックの中にパンパンに詰め込んだのは、防寒着をはじめとする着替え。AくんOさん、よろしくお願いします。

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5時になると徐々に周囲も明るくなってきました。選手が一堂に会してミーティングスタート。Hさんの挨拶、そしてKSK実行委員長からの注意事項伝達、蛮カラ応援団Sさんから選手へのエールが送られ、ミーティング終了。もう、雨の心配は全く必要ないみたいです。

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どこがスタート地点なのかハッキリとはよくわからないのですが、選手の方々が嶽温泉郷公衆トイレの前に集まり始めました。

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「スタート10分前」のアナウンス。
そんなに緊張感はないのですが、この先に待ち受ける69のカーブをどれだけ走りきることができるのか、かなり不安が高まってきました。
足の疲れは残っていませんでしたが、まだ完全に風邪が抜けきった状態ではありません。しかも昨晩、ちょっとした事情であまり眠れなかったという…。
まあ、記録会じゃないし、とりあえず無事8合目まで着けばいいかな、とその時は思っていたのですが…。
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(偶然にも背後に、後にゴールまで抜きつ抜かれつ並走するMさんとYさんが。入賞おめでとう!)

「スタート20秒前」
心なしか急に緊張感が高まります。練習の延長と割り切れば良かったのに、この時ばかりはなぜか違うことを考えていました。

「スタート!」
軽トラックが先導し、一斉に選手が走り出します。
…とここで、僕は致命的なミスを犯します。
嶽温泉郷からスカイライン入り口あたりまでは、緩やかな下りがしばらく続くのですが、何を思ったのか僕は、ここでスピードを上げてしまったのです。(あとで確認したら、キロ4分15秒から30秒台で走っていたらしく。)

下りのあとに待ち受ける緩い上り坂。そこを右折すると、いよいよ岩木山スカイラインがスタート。
前方には、遙か遠くを走る軽トラックと、それに続くランナーの列。そして、長く先の見えない上り坂…。
まるで迷宮への入り口のように、岩木山が口を開けて待っている、そんな雰囲気。
ふと見上げると、果てしなく上まで続く山肌に、昇り龍が這うようなスカイラインのカーブがへばりついています。

嗚呼、やっちまった!と思った時には既に時遅し。
徐々にペースを抑えにかかった時点で、急に足腰に錘をぶら下げたような怠さを感じました。

この調子で69のカーブを上り切るのは、絶対に無理だな…。
約2キロ地点で、料金所を通過。カーブはまだ始まったばかりです。
当たり前のことだけど、ずっと上り坂。平坦なところは一つもなし!
やがて重力に逆らい続けて上り続けていたことで、腰とケツに違和感を覚え始めます。

来た来た…前回の北海道もそうやって理由を付けて歩いたんだよね。全然変わってないじゃん。何やってんの?何のためにこの大会にエントリーしたの?

自分自身を罵倒しながら鼓舞しますが、鼓動は激しくなるわ腰がどんどん重くなるわ、早くも最初の限界(それも低い低い限界)に到達したらしく、遂に19個目のカーブのあたりで一度歩くことにしました。

まあ、歩いてもゴールには着くだろうな。でも、この腰どうする?歩きながら背中や腰を伸ばしているうちに、背後から声が聞こえてきました。

Tキャプテンと、今日も魚の被り物をしたIくんでした。

「どうした?大丈夫?」
「…ちょっと、腰のあたりが…。」
「そうか、無理するなよ。」
「うん…」

小さく返事をして二人の背中を見つめます。
するとTキャプテンがキッとこちらを見て言い放ちました。
「勇気ある棄権も、アリだぞ。」

この言葉に、ハッとさせられました。何を俺は一人で弛んでいるんだ?苦しいのは他の人も一緒なのに?
急に足腰の錘が外れたかのように、足が前に出るようになりました。

そうだ、これでいいんだ。しばらく二人を追走していたら、給水所までやってきました。

いい。ここまで足を運べたことでも充分。徐々に遠くなる二人の背中を見ていると、今度は背後から女性参加者であるMさんが登場。
力強い走りをしていますが、やはりかなり足に来ているようで、僕に声を掛けて追い越したあと、その走りが歩みに変わりました。すると今度はもう一人の女性参加者、Yさんも登場。結局彼女たちを鼓舞し、彼女たちに鼓舞されながら、歩いては走り、歩いては走り…をずーっと繰り返します。

49カーブ目を通過。
「あと20。歩いて走って繰り返せば、ゴールに着く!」
自分に言い聞かせるように、大声を上げます。
そういえば給水所のあたりで、遠くから男の人の声が聞こえたような気がしたのですが、どうやらそれは気のせいではなく、ゴール付近から選手たちを鼓舞し、声援を送る声だったようで、その声が徐々に近づいてきているのがわかりました。
時折見える眼下の世界が、僕らがこれまで上ってきた高さがどれぐらいであるかを物語っていました。
考えてみるとこの高低差って、スカイツリーより高いんだよね。それを上ってるんだもんね。
気がつくとカーブも60を超えており、いよいよカウントダウンのところまでやってきました。

「あと2つ、カーブ2つだぞ!」

ふと上を見上げると、こちらに向かって声援を送るスタッフの姿が。

最後ぐらい、笑ってゴールしよう!KSK委員長も話していたこの言葉を思い出し、ふっと口元を緩めたら、何とかゴールできる嬉しさがふつふつとこみ上げてきました。

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(Hさん、ありがとうございます!)

そして、既にゴールしていたTキャプテンとIくんの姿が目に入ってきました。
「ありがとう!」と声を掛けてハイタッチ。
結局先行するMさんを追いかけ、後方から追いかけてくるYさんに押し上げられるように、「71番!」と自分のゼッケン番号を叫びながらようやくゴール!
1時間11分42秒、61位という微妙というか散々というか、何とも言えない結果ではありましたが、帰りのバスの車中から外を眺めながら、ここを自分の足で走って歩いて上りきったことに今日の意義はあるんだ…と自分に言い聞かせてました。

本当に、恐らく今までで辛く苦しいコースでした。でも、途中で緑を見て、そして風の音を聞いて癒されたり、急に冷たくなった8合目付近で驚いたり、苦しい中にも楽しい大会でした。

何よりも、沿道の声援がほとんどない中で、スタッフの皆さんが声を掛けてくれたり、選手同士で鼓舞し合ったり、何かこう、うまく言えないんですけど、8合目を目指すという一体感というか、やり遂げたあとの達成感というか、そういった感動が実は結構ハンパなく押し寄せて来まして、あ…きっとまた来年も来るんだろうな、と思った次第です。

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選手の皆さん、お疲れさまでした。スタッフの皆さん、本当にありがとうございました。

この足跡は、ある意味今年一番の宝物になりそうです。

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「北海道マラソン」の反省をどう活かすか。

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昨年の自分より進化することを目標に掲げ、人生2度目となるフルマラソンの挑戦となった北海道マラソン。
32キロぐらいまでは、サブ3.5は無理だったにせよ、初めて走った弘前・白神アップルマラソンの時のタイムを上回ることもできるんじゃないか、というペースで走っていたのに、25キロ付近で足裏に水ぶくれができたことに気づき、33キロ付近でその痛みに耐えられなくなり、急に失速してしまった。

30キロの壁、35キロの壁なんて言葉を耳にするけど、ホントは壁なんてものは存在しない。壁を作っているのは自分自身。そちらの方に意識が向かないように走り続けていたのに、歯車が一つずれた途端、心身全ての歯車が完全に狂ってしまい、結果として壁というよりも、鍵のかかった開かずの扉の前に立たされたような感じだった。何のために僕は走っているのだろう。何が楽しくてこんなに苦しい思いをしなければならないのだろう。いっそのこと、ここでリタイアすればいいのだろうか。そんなことばかり考えていた。

<反省>
・切り餅7個、大福1個、バナナ1本。エネルギーは足りていたのかも知れないが、スタミナが足りなかった。…いや、そもそもフルマラソンを走りきるだけの身体ができあがっていなかった。
・そういえば昨年は上り坂を意識して練習していたのに、今年は平坦なコースを走る機会ばかりを増やしていた。
・ついでに言うならば、昨年の練習では25キロ、30キロ走(LSD)も挟んでいたのに、今年は20キロに満たない距離しか走っていなかった。
・走っている途中、熱中症を恐れ、やたらと水を被りすぎた。多分、巷で話題になった氷水を被らなくてもいいぐらい、水を被った。そして結果として、風邪をひいた。
・周囲を見る余裕が全くといっていいほどなかった。結果的に、ペースメーカーを見つけることすらできなかった。

…とにかく、中身重視で練習するつもりが、中身を軽視していた。付け刃だけでフルマラソンを完走できるほど、フルマラソンは甘いものではないということを改めて思い知らされた。

2週間後の9月21日、秋田県仙北市で「田沢湖マラソン」が行われる。
昨年は20キロにエントリーしたが、今年はフルにエントリーしている。人生3度目のフルマラソンだ。35キロ付近に立ちはだかる、車のエンジンが唸るほどのあの山を攻略できるかどうか、正直自信を失いつつある。

更には「田沢湖マラソン」から2週間後、「弘前・白神アップルマラソン」が待ち受ける。

反省するフリならば、猿でもできる。
今回の北海道マラソンで舐めさせられた辛酸をどのように払拭し、次に繋げていくか。
次回に向けて修正しなければならないと感じた点は次のとおり。

<課題>
・暑さ
→暑さ慣れするためにも、涼しい朝夕だけではなく暑い時間にもっと走るべき。
・ハンガーノック
→補食のタイミングをメモして持っていたはずなのに、今回まるで役に立たなかった。
・スタミナ切れ
→ハンガーノックにも繋がることだけど、足が痛かったとはいえ、33キロからしばらく歩行したのは猛省しなければならない。トータル的にみて、フルマラソンを走りきれる身体ではなかったということ。
・時間配分
→そもそも最初の5キロで28分も要したことで、焦りを覚えた。自分のペースというものをすっかり忘れて走っていた。
・シューズとソックスの相性
→これは軽視できない問題。走っていると足がむくむとは言え、シューズのサイズが大きすぎるのかも知れない。
・給水の失敗
→あれほど注意されたのに、シューズに水がかかりすぎた。おかげでソックスがシューズの中で泳ぎ、左足裏に水ぶくれができる羽目になった。
・気持ちの問題
→北海道マラソンは、僕にとって初めての公認レース。そして、サブ3.5を狙ったレースだった。でも、レースの失敗を恐れて勝負できなかった。暑さや人の数に臆病になりすぎて、フルマラソンを絶対に走りきるんだ、という気持ちが弱すぎた。で、結果的に失敗した。

昨年のタイムから4分51秒縮めれば、それで今年最大の目標はひとまず達成される。しかし、これから先の大会に向け、その4分51秒を縮めるだけの力量をどうやって身につけるか、これが喫緊の課題になりそうだ。