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2014.10.19 佐野元春 2014秋ツアー 青森公演

【久しぶりにネタバレなしのライブ評をしようと思います。】

デビュー35周年を来年に控え、佐野元春の秋のツアーでの青森公演が発表されたのは、暑い夏を迎える直前のことだった。4年ぶりとなる青森公演。会場は、前回と同じく青森市のライブハウス「クォーター」。オールスタンディングで200人を越えると、結構ギュウギュウ詰めとなるハコだ。

前回同様、畏友ザワ氏とともに会場を訪れると、既に入り口の前には開演を待つ行列ができていた。
整理番号が振られているので、慌てる必要はない。歩道に伸びた列がB-151番以降。50番毎に区切られている。僕らの番号がB-5とB-6であることを考えると、かなりいいポジションを確保できるのではないかと期待が高まった。

元春

ちょうど17時から入場が始まった。Aから始まる方々は、ファンクラブの方々なのだろうか。Aの50番まで行かないうちに、Bの入場が始まった。
B-5,6ということで、あっという間に会場に入ることができたが、ステージ左側に背の高い方々が並んでいるのを見て、これは好都合とばかり中央からやや右寄りに陣取った。数えてみると前から4列目。手の届きそうなところにステージがある。
所狭しとばかりに機材が詰め込まれたステージ。あっという間に観客が会場を埋め尽くしているのが、賑やかな背後の声を聞いていてもわかる。
ステージ左側に目をやると、袖の辺りにギターがズラリと並べられていて、スタッフの方はチューニングに余念がない。徐々に高まる緊張感…。
ちなみに、今回事前に得ている情報は3つだけ。
一つは、今のバンド(ザ・コヨーテ・バンド)と制作した2枚のアルバムが中心になること、もう一つは、新曲を演奏すること。そしてもう一つは、来年アルバムを発表することをアナウンスすること。
あとは、事前のライブ情報収集などを一切行わず、先入観なくしてライブを楽しもうと決めていた。

17時30分。いよいよ開演時間となったが、まだ始まる気配はない。前回はアンコールを含めて1時間30分という非常に短い時間でも、充分満足することができたのだが、今回は果たして…。

17時35分、客電が消え、ステージがライトで照らされる。一気に観客のボルテージが上がり、いよいよライブの幕が切って下ろされた!そして、バンドのメンバーそして佐野元春が登場!
客層の平均年齢からすると、僕より上の年代が多いような感じだったし、実際薄毛の人や僕みたいな白髪の人もたくさんいた。お世辞にも黄色いとは言えないちょっと濁った黄色い声が、あちこちからステージに向けて発せられる。

1曲目はいきなり意外なナンバーからスタート!元春もメンバーも、かなりノリノリで演奏している。そして、ステージの上のメンバーも観客も、みんなニコニコしている!
何よりも、前回はあまり感じられなかったリラックスした雰囲気が、観客にもきっと伝わっていたことだろう。
2曲目はこれまた驚きの曲が!
観客は既に大合唱!(もちろん私もですが…。)

もう、いきなりアクセル全開フルスロットルの状態に、これはこの先一体どうなるんだ!!と、既に興奮のるつぼに突入!
で、このあとのセットリストも、秘密。

そのあとは、直近2枚のアルバム、つまりザ・コヨーテ・バンドとともに作り上げたアルバムの中からの楽曲が続いた。

あ、そうそう。私事ながら実はこの日、午前10時前から約22キロのランニングを敢行しまして、それも久しぶりに音楽を聴きながらランニングしていたんですけどね、もちろんずっと佐野元春の曲、それも、この2枚のアルバムの曲を中心に聴きながら走っていたわけですよ。

道中、岩木山を眺めながら、稲刈りの終わった田んぼを眺めながら、赤く色づいたりんごを眺めながら、雲の浮かぶ青空を眺めながら、ああ、これもライブで聴きたいなあ、これも聴きたいなあ…と思っていた曲、みんな演奏してくれたんですよ!

もう、これだけでも十分感動に値するわけで。
しかし、観客のレスポンスもさることながら、ホントにリラックスした雰囲気の中でのライブだったので、MCもとびきり楽しかった!
その中で語られたのが、来年迎えるデビュー35周年の話。そして、アルバム制作の話。さらに、また青森に来たい(そしてできれば青森市以外の街でもやりたい、という話!まぁ、描いているのは弘前のことじゃないんでしょうけど…)、という話。(でも、前回も同じようなことを話して結局4年待たされたので、これだけは期待していませんが。)
その流れで新曲(それも2曲)を演奏してくれた元春&ザ・コヨーテ・バンド。

正直、元春とはジェネレーションギャップがあってもおかしくないというか、かなり若いメンバーでバンドが構成されているんだけど、前回観た時はどこかぎこちないというか、元春という存在自体に萎縮恐縮しているという雰囲気もあったのに、今回はそういうことを微塵も感じなかった。
元春自身が「最高のバンド」というのも頷けるぐらい、すっかり安定したバンドに成長したなあ、と。

まあ、あの感動は、あの場にいた人でしか味わうことのできないものだということで、あまり色々書くのはやめておこう。

で、アンコールを含めて正味2時間弱、楽しかったステージも19時30分には終演を迎えてしまったワケ。
これは勝手な想像だけど、この日のうちに東京に戻らなきゃならん、ということで、きっと最終の飛行機の時間に合わせたのかな、とか思ったり。

でも、それでもいいんです。本人もメンバーも観客も、ホントに幸せそうな顔してた。終わった後もみんな本当にニコニコしてるの。ああ、こういうのを「至福の時」って言うんだろうな、って思ってしまった。

来年再び青森にやってくることは正直あまり期待していませんが、新しいアルバムは、かなり期待しても良さそうですな!
ホントに素晴らしいライブでした!

The Coyote Band
Vo. & G.:佐野元春 Dr.:小松シゲル G.:深沼元昭 G.:藤田顕 B.:高桑圭 Key.:渡辺シュンスケ