日別アーカイブ: 2016-10-17

記憶と記録が刻まれた日 -第22回きみまち二ツ井マラソン-


4月の「イーハトーブ花巻ハーフマラソン」から始まった今年のジャパンツアーも、残すところあと2レースとなりました。
気がつくとラン歴も今年で7年。さらなる高みを目指したい、昨年より進化したいという欲を引っ込めることができず、今年は4月にハーフマラソンでいきなり90分切りを達成、9月にはフルマラソンで念願の200分切りを達成と、今年に入ってから着実に記録を縮めてきました。

今年の最終レースは11月に開催される「さいたま国際マラソン」。一応ターゲットはここに絞っているとはいうものの、既に今年の目標を達成しただけに、何となくモチベーションを維持できているのかな?という不安がありました。
そんな中、秋田県能代市(旧二ツ井町)で開催された「第22回きみまち二ツ井マラソン」に出場してきました。実はこの大会、うちの母親の実家から車で約15分という至近距離で開催されるにもかかわらず、これまで一度も出場したことがありませんでした。

…前日の弘前公園ランニングクラブの朝練後、こんな会話が交わされていました。
「マカナエさん、明日のハーフはどれぐらいで走るの?」
「うーん、キロ4分15秒から20秒、ペース走ができればいいですかねえ。」
「…明日、引っ張ってよ。」
「あ、いいですよ。大体1時間33分前後を目安に。でも、コースわからないからなあ…。」
「ほぼフラットだから。結構記録が出やすいと思うよ。」

…今回のレースはあくまで練習の一環という位置づけであったため、記録を狙うつもりはありませんでした。公認コースではないということも、その要因の一つであったことは否定しません。

大会当日、会場までは約1時間40分かけて独り自家用車で向かいました。大会終了後に母の実家へ立ち寄って、お盆に手向けられなかった非礼を詫びるためです。(実はもう一つ用事があったのですが、それは改めて。)
ハーフマラソンのスタート時刻は11時。にもかかわらず、当日エントリーのために9時30分まで会場入りしなければならず、しかも周辺駐車場が結構混雑するという話を直前になって耳にしていたので、8時30分過ぎに会場に到着。受付を済ませて体育館に行くと、既に弘前公園RCの仲間たちが場所を確保していました。

ここでも昨日と全く同じ会話。
・今日は4分15秒から20秒のペース走を狙う。
・ターゲットは、1時間33分前後。

今日出場するメンバーは、比較的持ちタイムが近いメンバー。スタートした後はそれぞれが引っ張り合いながらも、ひとまず淡々とペースを刻んで行けばいいのかな、と考えていたのですが…。

退屈な時間を過ごすはずだったのが、仲間のみんながいたおかげであっという間に時間が過ぎ、いよいよスタート時刻が迫ってきました。体育館の外に出ると、うわっ!寒っ!一帯を包んでいた霧が晴れ、青空と雲が空一面に広がっているものの、気温は全く上がっていない感じでした。午前10時の時点で気温は11度だったそうです。
しかし、この状態に騙されてはいけない、と。経験上、大体この天気は気温が一気に上がることが多いからです。

kimimachi_start02

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(IさんのiPhoneで撮影。実は走り出すまで足が痛かったのを隠した。)

ハーフマラソンの参加者は350名ぐらいだったようです。狭い路地にスタート地点がありますが、スタート直後にばらけそうな雰囲気なので、スタート時のストレスはなさそうです。先日、二ツ井町商工会と青森県の横浜町商工会が姉妹商工会の提携を結んだとのこと、そのご縁なのでしょう、この日のスターターは青森県横浜町の町長でした。

11時、号砲。一斉にランナーが飛び出します。予想通り、スタート時のストレスはほとんどなし。綺麗にばらけたと思ったら、いきなり左折、右折と二ツ井町内を駆け回る感じ。北寄りの風がちょっと気になったものの、入りの1キロは4分15秒。うん、ほぼ設定通り。
…がしかし、昨日「引っ張って。」と言っていたSさん。当の本人が、僕よりずっと前を走っているではありませんか(苦笑)。
いや、いいんです。だからといって別に自分のペースを乱す必要はないのです。
何だかクネクネと左折右折を繰り返したような気がしますが、程なく米代川の河川堤防に出ました。どうやらここでしばらく直線になるようです。ふと、僕の横についたのはKさん。
呼吸を落ち着かせながら2キロを通過した際、キロ4分5秒までペースが上がっていました。
「ちょっとペースが速すぎますね。」
気持ちちょっと、ほんの少しだけペースを落とす感覚で。

kimimachi_2km

(Nさん撮影。Kさんと3キロ手前あたり。脇が甘いし腕がダラリ。)

SさんとSさんの二人は相変わらず100メートル以上先を併走しています。
やがて4キロを過ぎて米代川の橋を渡り、今度は対岸へ。
「コースはほぼフラット」と聞いていましたが、この辺りから緩ーい上り基調が続きます。
3キロから8キロ辺りまでは、4分12秒から4分16秒の間で、予定通りほぼイーブンのペースで刻んでいたようです。しかし、3キロ以降は時計を見るのをやめました。身体でタイムを意識する感覚を身につけようと思ったのです。ただし、頭を使うと糖分を無駄に消費してしまうので、あまり考えずに黙々と走っていました。やがてSさんとSさんも離れはじめましたが、徐々に先行するSさんに追いつき、声を掛けます。
「何か緩い上りですね。無理できないっすね。」

水しかない、と聞いていた給水所には、スポーツドリンクとスポンジも置かれていました。ただし、間隔はかなりバラバラでしたが…。そして、8キロ辺りで折り返しを終えた選手がやってきます。速いです。さすがです。程なく9キロを過ぎて折り返し。…あれ?となると、そんなに先頭と差が開いているわけじゃないんだな。ここで僕は二人のSさんの間に前後で挟まれる形で走っていました。折り返した後は下り基調になりますから、当然ペースが上がる可能性があります。ここで脚を使ってしまうと、町内に入ってから最後の直線まで脚力を維持できなくなると思い、不用意にペースを上げることはしませんでしたが、11キロから再び橋を渡る15キロまでは、4分5秒から4分12秒と、ペースが上がっていたようです。ずっと併走していたSさんも、12キロ前後で息遣いと足音が聞こえなくなっていきました。
多分きつくなるのはこの辺からだな、と思っていましたが、後になって確認すると、想定タイムより10秒も速く走っていたわけで…。
17キロを過ぎ、ようやく町内へ。ここから旧国道7号を延々と走るルートが続きます。そしてこの辺りから、駆け引きに巻き込まれることに。

僕は全くペースを変えている意識はないし、そもそも周囲の選手の走りはほとんど気にしていませんでした。が、実は11キロぐらいからずーっと僕(たち)をマークして走っているランナーが一人いることに気づいていました。ちょうどいいペースランナーだと思ったんでしょうね。16キロを過ぎた辺りから、僕が前に出るとそのランナーが前に出てきて、また僕が前に出ると…ということを延々と繰り返してくるのです。

風はほとんど気にならなくなったものの、正直、このランナーの存在が18キロ過ぎからちょっと目障りになってきました。横で前後されるのが何となくうっとうしいというか、何というか。(表現下手ですいません。)

先方も同じことを思っているのかも知れませんが、色々無駄なエネルギーを使うので、こういう駆け引きは正直したくないのです。しかしながら結果的に、18キロ過ぎまではその人を引っ張り、逆に引っ張られる形で4分10秒を切るペースで押していくこととなり、この直線だけで10人近いランナーを抜いたと記憶しています。

やがて、二人の間に割って入ってきたもう一人のランナーにその人がついて行ったため、最後はこのランナーの後塵を拝することになってしまいましたが、この駆け引き(?)により、ペースを落とすことなくゴールまで走ることとなりました。それはそれで、結果として良かったのかな。

そして20キロ過ぎ、勢いのままに僕がスゥッと抜こうとしたランナー。この人も、先ほどと全く同じ走りをしてきました。僕が前に出た途端、その人は「ハァッ!」と大きな声を発しながら僕を追い抜き、またその人が落ちてきて僕が前に出ると、「ハァッ!」…という繰り返しをはじめたのです。「またか…」と思いましたが、最後はこの人より先着する自信がありました。なのでここは、一体何回同じことを繰り返すか見てみよう、と。何回も言いますが、僕はペースをほとんど乱していません。この人が勝手にペースを上げて僕を抜いたと思ったらまたすぐに落ちてくる、それだけの話です。結局同じことを4回やられましたが、最後落ちてきたところを、一気に突き離す感覚でこちらがペースアップ。そんな感じで、気がついたらゴールのゲートが目の前にありました。

kimimachi_goal

(再びNさん撮影、ゴール手前20メートルのシーン。更に脇が甘くなっていたみたいですね。)
タイムは1時間28分21秒。これまでのベストタイムを約1分30秒縮めました。でも、今までとは違って嬉しさはあまり沸いて来ず、むしろ走り通したという疲労感の方が大きかったです。気温はそれほど高いと感じませんでしたが、文字通りボタボタと大量の汗を垂らしながら、仲間のゴールを待ち構えます。
程なく、他の仲間も続々とゴールし、自己ベストを大幅に更新した人もいたようです。
お互いに握手やハイタッチを交わしながら、談笑。
「90分切った?」
「はい、なんとか!28分でした。」
「お!…そのタイムなら、入賞しているんじゃない?」
「いやいや、まさか。そんなわけない…」
…その時です。思わず自分の耳を疑いました。会場内に流れていた放送で、自分の名前とタイムが読み上げられたのです。
「ほら!やっぱり!」
「…!?」
何が起こったか一瞬事情が飲み込めず、まだゴールしていないメンバーも数名いたのですが、一目散に完走証をもらいに行きました。
受け取った完走証に書かれていたのは、「種目順位 6位」の文字。そんなバカな。何かの間違いでは?この僕が、入賞?

result

運動会の徒競走ではいつもビリ、運動は何をやっても全然ダメ、そんな僕がマラソンを始めたことを知り、失笑した親戚がいるぐらい僕の運動音痴っぷりは筋金入り。運動で表彰なんて一生無縁だと思っていた僕が入賞って、誰かなんか騙そうとしているんでしょ?

狐につままれるとは、まさにこのこと。
そんなことがあるわけない。意味がわからず、記録速報が貼り出しされている掲示板に急ぐと、1位から6位までの入賞者が別紙で貼り出され、40歳から49歳までの部、その一番下に僕の名前がありました。し、信じられない。思わず感極まってその場で泣きそうになりました。

といっても実は、これにはからくりがあって、総合順位では355人中40位。そして、参加者が多かった50歳代の部だと、6位の人でも1時間25分台で、僕の記録では入賞圏外。もっともこの日は、青森県内や秋田県内でヒルクライム関係の大会があちらこちらで開催されており、その影響もあって、僕より速い皆さんがこの大会に参加されなかったという強運にも恵まれました。
まさに棚からぼた餅が落ちてきた、そんな感じです。

当初13時30分からと聞いていた表彰式は、14時前からようやくスタート。種目毎に登壇し、賞状を受け取ります。

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こういう結果になったのも、みんなのおかげ。本当にありがとうございました。そう思いながら、ステージ上の僕を見る仲間の顔を、ニヤニヤしながら見渡す僕。しかし、賞状に「ふりがな」が振っていなかったため、授与者が名前を読むことができず、自分の名前を自分で読み上げて賞状を受け取るという、ちょっと奇妙な表彰式となりましたが、頂けるのであれば頂きます。

award

僕にとってこれは、本当に大事件なのです。あまりにも残念すぎる運動音痴として親戚中に知られていたこの僕が、運動で表彰され、賞状を頂いた…。何だかこれで、人生の運を全て使い果たしたような気分です。

なので、タイムを88分台まで乗せることができたことよりも、今回は表彰されたということの方が嬉しくもあり、驚愕でもあったのです。
皆さん、本当にありがとうございました。
運を使い果たした以上、これからは毎日、心して生活したいと思います。