日別アーカイブ: 2004-10-06

「林業」と自己評価

先月28日の続きみたいな内容かも知れません。お許し下さい。
ご存じの方も多いと思いますが、私は青森県の農林水産業に携わる仕事をしています。今更のカミングアウトではありますが、青森県の職員として、主として林業に携わる仕事をしています。
青森県では、「攻めの農林水産業」を掲げ、総合的な販売戦略や青森ブランドの確立、地産地消の推進などに対する積極的な取組が始まっています。首都圏での青森県産品の販売などは、まさにその戦略の一環ではありますが、一過性のものにならぬよう、継続的に忍耐強く取組むことこそが結果を生み出すのではないかと考えています。
さて、一言で「農林水産業」と言ってみたものの、その言葉には様々な要素が含有されています。主な基幹産業として「農業」「林業」「水産業」という第一次産業があり、そこから枝葉のように多種多様な分野、形態の産業が広がっています。一次産業そのものが低迷あるいは衰退の途にある一方で、人間が生活していくための根幹、いわば「食」を支える産業であることからも、低迷を黙認できないというのも事実ではないかと考えます。
しかし、その「食」とはあまり関係がないと思われるのが「林業」です。しいたけやきのこの栽培は「林業」に含まれているのですが、やはり「素材生産」と呼ばれる植林や造林が主体となっています。
今年は、国内各地で台風や大雨などの被害に見舞われました。河川の決壊や土砂崩れなども発生しましたが、まず取り上げられるのは人的な被害、公共物(道路や河川)への被害、そして農作物の被害、水産物への影響ですが、林産物の被害というのはほとんど聞こえてきません。なぜでしょう。ある人に言わせると「林産物に被害が出るくらいなら、農水産物は壊滅的な被害を受けているからだ」というのです。
これは実話なのですが、大雨による農作物の被害に見舞われた方が、農作物の処分や後片付けを終え、約半年してから自己所有の山林に向かったところ、見るも無惨なほど木々がなぎ倒されていた、ということがあったそうです。
このことが表すとおり、「農林水産業」の中でも、極めてマイノリティ的要素を含んだのが「林業」であると言えるでしょう。養生に手間がかかること、生育に時間(50〜80年と言われる)が掛かること、その割には費用対効果が見込まれないこと、最近は価格が低迷しているため、販売したとしても経費分さえも確保することが難しいこと、が、その主たる要因として考えられます。林業は、決して明るい未来の開かれた業種ではありません。林業単独で経営を営む人たちは、林産物の価格低迷も影響し、必ずしも安定した経営状態にあるとは言えない状況にあります。よって、多くは農業との並立で取り組んでいるケースが多いようです。そのことが、「林業は二の次」という意識を生み出していると思われます。
このことは、農林水産業関連の業務に対する我々各人の思い入れにも反映されているような気がします。1に農業、2に水産業、3-4はなくて5以降に林業。これが現実ではないかと考えます。もっとも私の場合、今の仕事に対して別に悲観的になっているというわけでもなく、むしろその方が気楽でいいと考えています。ただし、時々猛烈な閉塞感に襲われることも…。また、農業、水産業の業務に携わる人からは恨み節を買うこともありました。特に今回の台風や大雨被害にあっては、私はカヤの外のような状態でしたから…。
別に自分から選んだ業務ではないにせよ、与えられた仕事に対する責任感や使命感を持てなくなってしまうと、自分から腐ってしまうような気がします。それは、第一次産業、とりわけ林業に携わる人に関しても同じではないかと思います。これまで、約20人近くの林業経営体の方とお会いしましたが、そういう意識の有無が、業績にも繋がっているのではないか。そういう思いに駆られたこともあります。
人事評価制度の自己評価締め切りを明日に控え、客観的な視点で自己の業務環境を分析してみました。
うーん…何書こうかな…。自分を評価するって、一番難しい作業のような気がします。