Daily Archives: 2012-07-25

ハナの脱走顛末記

うちのハナ。12歳のメス犬。
顔はそれなりに可愛いのだが、性格が最悪。いわゆる性悪女。人間だったら、絶対に付き合いたくないタイプだ(笑)。
そのハナが、この5日間にわたって脱走劇を繰り広げた。
これまでも幾度となく脱走を繰り返してはいたものの、これだけ長期間に及ぶ脱走は初めてだった。

事の発端は20日金曜日の朝。母を訪れた人が玄関を開けた隙に、ハナはこっそりと脱走したらしい。

僕が金曜日の夜に帰宅した際、家の外をうろつくハナを発見、「あ!脱走したな。」とすぐ気づいたが、まさかこんなに長期間にわたって戻ってこないとは、思いもしなかった。

脱走の伏線はあった。旅行だ結婚式だ天気が悪いだと、まともに散歩すらさせてもらえず、家から出ることのできないハナのストレスも相当溜まっていたことだろう。しかも、妹の結婚式の時は家人に構ってもらえないためかそれとも自分より目下を発見したか、犬嫌いの親戚にすり寄るという悪態をついて更にみんなから怒られ、時期同じくしてチョコが血生臭くなった(=生理期間突入)ことで、すっかり興奮してしまい、昼夜問わず落ち着かない素振りを見せる日々が続いていた。いわゆる「サカリがついた」状態だったのだ。

そういう意味においては、全面的にハナを責めるわけにはいかず、むしろ家人それぞれが自責の念に駆られていたわけで…。

21日土曜日(2日目)。
朝。いつもならとっくに帰って来て寝ているはずのハナの姿がない。これは、ひょっとしてまずいかも…と思い、Facebookを通じて公開捜査開始(皆様、本当にありがとうございます。)。

ハナのいない散歩。リードを持ち歩きながら「ハナ!ハナ!」と呼びかけてみるも、一向に気配がない。

これは相当遠くまで行ってしまったのではないか…保健所にも届けた方がいいのではないか。新聞に迷子犬の捜索願か。…いや、川に落ちた?車にはねられた?誰かが預かっている?

…色んなことが頭の中をグルグル駆け巡りながらも、用事を済ませて昼過ぎに妻と帰宅すると、何と家の前をハナがうろついていた。

「いた!よかった~!さぁ、ハナ、家に入ろう!」

妻が玄関を開けると、ハナはダラリとしっぽを下げ、家の前を素通りし、またそのまま脱走。

「もう!何なのさ!」
怒る妻。仕方ない、しばらく放って置くしかない…。

午後2時頃になると、疲れているのかそれとも日陰を欲しているのか、家の物干し台の下でハナが爆睡しているのを確認。
実は僕は、この時一番近くまでハナに接近したのだが、ここまで来ているのであればすぐに家に戻ってくるのだろうと勝手に思い込み、ハナを捕まえなかった。
これが、失敗だった…。

その後2度3度と場所を変えて昼寝をするハナ。心なしか少しずつ家から距離を取り始めている。家の周りにいることはわかったのだが、なかなか家に戻ろうとしない。
結局またしても姿が見えなくなり、脱走から二日目の夜を迎えてしまった…。

22日日曜日(3日目)。
朝から母がラジオを流しながら庭で草むしりをしている。こうなるとハナはきっと現れないだろう。
予想通り、日中の間ハナはまるっきり姿を見せなかった。
夕方になり、近所をジョギング。吐く息は「ハッハッ」ではなく、「ハナッハナッ」。
散歩コースを中心にくまなく6キロを走るが、ハナとは出くわすこともなく、結局家に戻ってきた。
身体を洗い流し、1本目のビールを飲んでいたところに、車のクラクションの音が鳴り響いた。
ん?ひょっとして!?
隣宅の広い駐車場の向こうを見ると、歩道のない狭い市道をテクテクと歩く1匹の犬。…そう、ハナだった。

思わず声が出る。
「ハナ!おいで!」

するとハナは立ち止まり、声のするこちらを見やる。しかし、声の主が僕だとわかったのだろう、再びしっぽをダラリと下げて逃走開始。その後、出かけていた妻も帰りがけに、近くでハナの姿を見かけたらしいのだが、妻の呼びかけにも応じることなくハナはまたしても逃走、結局この日も帰ってこなかった。

23日月曜日(4日目)。
留守中、先日嫁に行った妹がわざわざ自宅にやって来て、ハナが家の周りにいないか探したところ…
AM:隣宅の広い広い駐車場で、ハナがおしっこしているのを確認。「ハナ!」と名前を呼んだら、妹の顔を確認してから逃げたそうな。どうやらまだ走る元気はある。飢えてはいないらしい。
PM:またしても家の物干し台のそばで昼寝。そっと近づいたらすぐに感づいて、またしても逃げられたそうな。

そして夜22時近く。僕が帰宅すると、2軒隣の家の前、それも比較的車通りのある県道を、帰るあてもなく歩くハナの姿を発見。思わず車を停めて「ハナ!帰るよ!」と声を掛けると、またしてもこちらの顔を確認するなり逃げやがった…。

24日火曜日(5日目)。
天気予報に雨マーク。
一番恐れていた事態が遂にやってきた。ハナの大嫌いな雨。これで雷が鳴ろうものなら、もう最悪。きっとハナは見境なく駆け出し、家の場所がわからなくなるどころか、車にだって撥ねられてしまうかも知れない。
青森市内は午前中から雨が降り出した。ザーッという、通り雨のようなものだったが、それでも雨脚はそれなりに強かった。弘前市の状況が気になっていたが、やはり同じような雨が降ったようだ。

結局21時30分過ぎに帰宅したが、この日は誰もハナの姿を目撃しなかった。

母が呟く。「今日、ハナ見なかったね…。」

その夜。
午前2時頃だったと思うが、強い雨音で目が覚めた。
この雨を避けるため、ハナが軒下にいるかも知れない。…玄関をそっと開けてみると、ハナは目の前にある手入れのされていない藤棚の下で、必死に雨宿りをしようとしていた。

思わず声が出る。
「ハナ!もう帰ろう!」

ところが、また例のごとく僕を嘲笑うかのように、雨脚の強くなった暗闇に向かって駆け出してしまった。
でも、ひょっとしたら…。

僕の勘なんていうのはまるでアテにならないのだが、この調子だとハナは帰ってくるんじゃないかと思い、玄関を少しだけ開けたままにした。そして、普段よく眠っている仏壇の前の座布団、ここにたどり着けるように、動線を確保しておいた。
雨脚は弱まったり強まったり。ハナの気配は感じられないのだが、雨脚が強くなるたびにハッと目が覚める。

そんな感じで満足に睡眠を取れぬまま、気がつくと朝の5時を過ぎていた。
いつも通りシャワーを浴びて、玄