約10年前のことになるが、弘前市内のNPOやボランティア団体と行政との協働を考えるフォーラムに参加したことがある。ちょうどその頃僕は、大学院派遣研修ということで弘大大学院に在籍しており、県職員としての身分は置いたままではあったが、「大学院生」であることが「本業」となっていた。
会場には50人以上はいたのではないだろうか、NPOや住民団体関係者が多数集まっていたのだが、どうやら旧知の仲の方ばかりだったらしく、むしろ僕はその中にあっては明らかに浮いていた。
グループで討論を行うことになり、8人ぐらいのチームが編成され、それぞれ自己紹介。僕も大学院生の身分ではあるが、実は県の職員であること等を自己紹介した後、とある女性の番に回った時だった。
「蒔苗さんでしたっけ?貴方には申し訳ないけど、私、県とか市とか全然信用してないの。行政って、大嫌いなの!」
あまりにも突然すぎるその言葉に、ただただ唖然とするしかなかった。
この人は何を言っているんだ?
僕個人に敵対心を抱いているのではないことだけはわかった。ただ、行政に携わる者の一人としてノコノコとやってきたことが気に入らないのか、それとも、何か伏線があったのか…。とにかく、行政側の人間であるということだけで、露骨に嫌悪感をあらわにしていた。
さて、この後僕が取った行動はどれでしょう。
(1)その女性に対し、行政の何が悪いのか説明しろと詰問した。
(2)黙りを決め込み、その後一切発言しなかった。
(3)怒りの表情のまま、すぐ会場を後にした。
(4)徹底的にその人を無視してグループ討論を続けた。