日別アーカイブ: 2015-06-01

【走れメロスマラソン】己の中の暴君ディオニス王をやっつけました。


五所川原市で行われた第4回「走れメロスマラソン」に出場。
五所川原市の立佞武多の館の前を出発し、「走れメロス」の作者、太宰治の故郷でもある五所川原市金木(旧金木町)を目指すハーフマラソンコース。昨年は体調が万全ではないことを仲間に隠して強行出場した結果、完走したあとが大変だったこの大会。
ハーフマラソン参戦4年目となる2015年、ホントは今季3レース目となるはずだったけれど、諸般の事情で2レース目の大会。約1ヶ月間実戦からは離れていたが、いろんな意味でいい休養となった。
5月の月間走行距離は大会出場前までで約140キロ。GWにほとんど走り込みができなかったことを考えれば、僕としてはまあ、平均的な走行距離なのだろうと割り切っていた。
さて大会当日の5月31日日曜日。金曜日からめまぐるしく天気予報が変わるという状況の中、奥羽線と五能線で五所川原へ向かった。五所川原から3つ手前の板柳駅を過ぎた当たりから、車窓に雨粒がこぼれ落ちているのが見えた。
五所川原駅に降り立つと、雨脚は更に増し、しかも強い西からの風が吹き始めた。風はある程度覚悟していたものの、スタート時まで何とか雨だけでも上がってくれないかと、空を睨んだ。

睨みが効いたのか、開会式の時間になると徐々に雨脚が弱くなっていた。
スタート前にクラブのメンバーで集合写真。ゲストランナーの谷川真理さんにも、輪の中に加わっていただいた。
0531start

9時前に、スタート地点に並び始める。公認コースではないため、陸連登録の前列整列などはなく、持ち時間による整列となった。最初は素直に「1時間30分~2時間」の輪の中にいたが、思うところがあってもう一つ前のブロックに並び直した。
Facebookでも表明したが、闇雲にPB(Private Best=自己記録)を目指すのではなく、むしろBP(Best Performance=最高の走り)を目指すことに重きを置くことにしたので、今日はどういった走りをするか、どういったレース展開に持ち込むか、というイメージを密かに描いていた。
雨は止んだが西風が強い。周囲のメンバーも、どういう走りに持ち込もうか、悩んでいるようだった。
正直、左脚にまだ多少の違和感が残っていたし、四十肩の痛みも全く取れていない。事実、出走直前に姿勢を崩し、左肩に激痛が走り悶絶していたことを、今だから明かそう。ということで、まだ本調子ではなかったが、自分を試す絶好の機会だと思った。心の準備はそれ相応にできていた。ということで僕が勝手に決めた今日のレース展望は次のとおり。

・キロ4分20秒(3キロ13分)のペースで刻む。(3キロ13分×7=21キロ91分)
・できればネガティヴスプリット(後半タイムを上げる走り)で。
・上半身を意識する(特に腕の振り)
・吹き付ける風は気にしない。向かい風も方向が変われば追い風になる。
・最初から慌てない。途中で焦らない。最後まで諦めない。

気がつくとスタート10秒前、あっという間に号砲が鳴らされ、いよいよ約21キロの旅がスタートした。
スタート直後は周囲にも流されるため(これは想定通り)、最初の1キロを4分5秒程度で駆け抜けたが、すぐに落ち着きを取り戻し、キロ4分20秒前後のペースに落ち着かせた。
程なく、ゴールする最後まで牽引してもらうこととなったTキャプテンと、並走するゲストランナー谷川真理さんのグループと合流。谷川さんとも言葉を交わす。

「今日はどれぐらいで走るの?」
「キロ4分20秒で考えてます。って今、速すぎですよね?」
「うん、速いよ!で、どこまで行ける?」
「いや、15キロぐらいまでは頑張ります…。」
「その後は?」
「へたれちゃうかも知れません(苦笑)」
「このコースって、折り返しとかあるんだっけ?」
「いや、ないです。ワンウェイです。風が結構大変だと思いますよ。」
「ふーん…そうなんだ。今、完全に追い風だもんね。」

そんな会話を谷川さんやTキャプテン、そして合流してきたSさん(2週間後に100キロマラソン出走予定)と交わしながら3キロを通過。
…ふと、「救護」のゼッケンを背負ったTキャプテンが前に出たのがわかった。でも、焦って追うことはしない。Tキャプテンの走力が爆発的に伸びたことを知っているから、無理にここで追ってしまうと返り討ちに遭うのがオチなのだ。
徐々に離れていくTキャプテンの背中を追いながら、Sさんと並走を続ける。徐々に口数が減り、呼吸が荒くなり始める。会話がなくなっていくのがわかる。
一部コースが変更となり、新しいコースを駆け抜けている。
沿道の大半は田んぼかため池といった状況の中、新しいコースでは集落の中を走るため、沿道の声援がそれなりにあるのだが、「あらあら、ホントにご苦労様です。」とみんなに声をかけるおばあちゃんとか、一つ一つ耳に届いてくる声援が面白い。

給水は約3キロ毎に設けられている。水、スポドリの他、スポンジも数カ所。
残り5キロを除いてほぼ全ての給水所を潰す。でも、実はこれが…。(この話はまた後半で。)
一定のペースを刻んでいたつもりではあったが、風の影響は結構大きかったらしく、あとで確認したら、かなりペースの上げ下げが激しかった。特に、西に向かって走る5キロ過ぎから8キロ手前、そして17キロ過ぎから19キロ過ぎまでが、かなり風の影響を受けていた。(次のテーマはこれかもね。)

10キロを過ぎる。ふと時計に目をやると、44分を切るぐらいのタイム。調子は悪くない。程なく中間地点のマーク。…ん?10キロから中間地点までの間が狭すぎるんじゃないか?Sさんは相変わらず僕の後ろを並走しているようだが、どこで仕掛けられるか内心ビクビクで、後ろを振り返ることができなかった。

13キロ付近でようやく「救護」の背中が見えてきた。Tキャプテンに追いついたのだ。この頃から、時計に目をやるのをやめた。肩の痛みも足の違和感も、忘れていた。そして程なく、サブ3ランナーのSさんの姿を捉える。どうやら足の痛みを再発したらしい。
「無理しちゃダメですよ!」「そうですよ!」
「おう!頑張れ!」
「うわ!のんべ、いたのか!」
「笑」

14キロ付近では、膝に故障を抱えていたNさんを捉える。
「ここで無理しちゃダメだ!」「まだこれから先は長いんだから!」
「あざっす!」

Tキャプテンがつぶやく。
「あれ?前走っているのって、NさんとAさんじゃねえ?」

同じピンク色のTシャツを着たランナーが二人。確かにNさんとAさんだ。「絶倫絶命」の黄色いシャツを着たKさんの姿も見える。
15キロの給水ポイント。ここでTキャプテンがグッと前に出た。というか、ものすごい勢いで給水して立ち去ったのだ。キャプテンの給水の巧さは、昨年のメロスマラソンの模様がニュースで放映されたときに見ていただけに、それを目の当たりにして、食らいつくというかペースを上げようにも、Tキャプテンの瞬発力が遙かに上回っていた。
あとになって話になったのは、Tキャプテンはこの給水で仕掛けたらしく、給水でのロスタイムが結果としてTキャプテンとの14秒の差に繋がっていったことは間違いなかった。確かに僕の場合、給水ポイントの手前でペースがダウンする。この給水をいかにスマートに行うか。これも一つの課題だな、と話を聞いて思った。ただ漫然と勢いだけで走っているだけではなく、マラソンとは奥が深いスポーツなのだ。


そして18キロ過ぎ。強烈な向かい風が吹き付ける中、AさんとNさん、更にはKさんも巻き込んでの駆け引きが始まった。先行するNさん。それを追い越すTキャプテンと僕。地力に勝るNさんが僕らを抜き返す。Kさんの背中、そしてAさんの背中を相次いで捉える。Nさんはまるであざ笑うかのようにペースを落とさず走り続ける。

19キロ手前、誰もいない沿道で、そんな駆け引きの模様を見ながら声援を送っていたのは、Bさん。
その駆け引きの中に自分がいるのが何か楽しくて、風は強く辛いんだけど、思わず笑ってしまった。
19k
(19キロ手前を駆け抜けるTキャプテンと私。なぜか笑っています。)

右折すると、風の影響がなくなった。と同時に、僕のペースも一気に加速した。AさんとKさんをここで引き離し、ひたすら前進あるのみ。残り1,200メートル。残り600メートルでNさんの背中に追いつく。(どうやらこの時、Nさんの足にも異変が起きていたらしく…。)

気がついたら約21キロの旅もそろそろおしまい。終わってみると、何かあっという間だった。左側には「弘前公園RC」の幟を掲げるSさんらの姿が見える。サングラスを外し、笑顔でゴール。先着したばかりのTキャプテンと握手を交わす。
直後にコースに向かい、キャップを脱いで深々と頭を下げた。

我々がゴールして程なく、ゲストランナー谷川真理さんもゴール。もちろん彼女が本気で走れば、こんなものではないのだろうけれど、やはり速い!
…で、実はこのあと谷川さんから色々とお話しを聞かせていただいたのだが、どうも「救護」のゼッケンと「キロ4分20秒」を豪語した輩達の背中をマークしていたらしく…。(要するに我々がペースランナーになっていたらしい。)

その後もゴールに続々とやってきたクラブのメンバーと、お互いの健闘を称え握手を交わす。
決して好条件とは言えない中、心折れずに最後まで走り切れたことができた。自分の思い通りのレース展開に持ち込むことができたという点においては、多分、昨年そして今年の中で一番の走り(BP)ができたのではないかと思う。当たり前のことなのかも知れないけれど、記録を追わずとも、自分の走りがちゃんとできれば、結果はあとからついてくるのだ。(まあ、その「自分の走り」をする、というのが一番大変ではありますが。)

1時間30分46秒は、自己ベスト。約2分短縮した。ただし、皆さんがおっしゃるとおり、距離が400~500メートル足りないと思われます。
0531goal
(僕より14秒先にゴール、ともに自己ベストを更新したTキャプテンと。)

他の選手が続々とゴールする頃には、青空が広がり始めていた。
さあ、ここまで来れば次の目標は決まった。給水、腕振り、雨風にも動じない精神力の鍛錬、そして、47秒…。(1キロ当たりで2.3秒縮めれば、何とかなるんだけどね…。その2.3秒がね…。)

あとは、距離の件だけを次回までに何とかご検討いただければと思う。
帰りは芦野公園駅から津軽鉄道に乗って五所川原まで。この列車の名称が「走れメロス」号だったというのも、また洒落ているよね。

hashiremerostrain