日別アーカイブ: 2011-12-12

【読了】心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣 / 長谷部誠



サッカー日本代表キャプテンを務め、現在はドイツのブンデスリーガ・ヴォルフスブルク所属のMF長谷部誠による著書。
テレビやマスコミなどでも大々的に取り上げられ、Amazonやその他の書評でも軒並み星が並ぶ良書。
東日本大震災に見舞われ、心のバランスを崩す人も多いと聞くが、そういった中で「心を整える」という言葉が、何か人々を惹きつけるものがあったのだろう、書店で平積みされると軒並み完売となったという。どれだけ素晴らしい書籍なのかと期待しながら手にしてみたが、読み終えるまでかかった期間は何と5か月…。
理由は、いろいろあるのだが、正直言うと途中で読み飽きてしまったのだ。
まず、この書籍は指南書ではない。それだけは断言しよう。こうあるべき、こうするべき…といった「べき」論を述べているのではなく、「私ならこうする」といった長谷部流のメンタル処方箋であり、その内容はむしろ「自伝」に限りなく近い内容だ。
彼の人となり、というか彼が真面目でいろんなことに真摯に取り組んでいることは、本書を読んでいくうちに十分伝わってきた。
が、本書に書かれていること全てに賛同できたかと言えば、残念ながらそういうわけではなかった。なぜならそれは、前述の通り著者が「私ならばこうする」と述べているだけであって、全ての人に当てはまる内容ではないからだ。
つまり、サッカーという競技の中で、ストイックさを求めるのであれば、これぐらいの指南書があってもいいのかも知れないが、じゃあ全ての人にこれがそのまんま当てはまるかと言えば、そうじゃないよな、ということだ。
最初は「ふむふむ」、中盤辺りから「ん?」、後半に入ると「うーん…」、最後は「…。(ペラペラ)←本をめくる音」、こんな感じ。
少なくとも、1年後2年後もう一度読み返したときに参考になるかと言えば、参考になる部分もあるかも知れないが、大概は「そんなことわかっとるわい!」ということになっちゃうかも知れない。
後半で触れられていた「長谷部かっ!」というオチは、笑うに笑えない。真面目すぎるがゆえにネタにされてしまっている著者。裏を返せば、自分にも厳しいが、他人にも厳し過ぎるということ。サッカーをこよなく愛し、サッカー一筋で過ごしてきた27年間、サッカーに人生を掛け、真摯に取り組む姿勢はわからないわけでもないが、どうも私生活を見ていても、いわゆる「遊び」の部分がほとんどないようで、隙がないというかつまらないというか。
まあ、そういうことからも途中で好きなミスチルの曲ベスト15を挟んでみたり(これだってあと2年もすればどうなっているかわからない、というか、著者自身が「しょっちゅう変わる」と言っているようでは参考にもならないのだが)、何となくおちゃらけてみようとする努力は汲む。が、それ以上のものは正直伝わってこなかった。
まあ、かなり話題になったのでこれからこの書籍を手に取る人は少ないのかも知れないが、あくまで長谷部誠というサッカー選手の「持論」であり、「自己啓発」といいながらもその主軸にある「自己」とは、長谷部自身であるということを念頭に、過度な期待はせずに読んだ方がよいかもしれない。
特筆すべきは、この書籍によって得られた印税を全て東日本大震災に寄附する、ということ。正直、その男気は素晴らしいなと思った。