The Street Sliders 40th Anniversary Special GIG 「enjoy the moment」 at 日比谷野外大音楽堂

2024/04/06 14:30
10時前に新青森駅を出発した東北新幹線は、13時過ぎに東京駅到着。その足で皇居へ向かった。ジョギングでもして少し身体をほぐしておこうと思ったが、皇居周辺は春うららかな陽気に誘われて散策する人が多く、とてもジョギングなんて状況ではなかった。そこで急遽コースを変更し、日比谷公園へ。夕方からライブが開催される日比谷野音の場所を確認しようと思ったのだ。会場近くまでやって来ると、既に長蛇の列ができている。先行のグッズ販売に並ぶ人たちだった。しまった!と思ったが後の祭り。着替えを終えて会場に到着すると、ちょうど先行販売が終了したところだった。

日比谷野音は「日比谷野外大音楽堂」が正式名称です。

2024/04/06 17:00
16時30分過ぎに開場。気付くと開演30分前。徐々に観客で席が埋まっていく。僕の席はかなり後方だが、ステージは充分見渡せる。雰囲気を楽しむという点では絶好のポジションかも知れない。黙して語らず、開演をじっと待ち続ける。ステージの背後に立つビルがまた、なんとも言えぬ異空間的な雰囲気を醸し出している。右手には霞が関の省庁が立ち並ぶ。土曜日の夕方にもかかわらずいくつかの部屋に明かりが灯っているのは、どこの行政機関も変わらない光景。日が傾き始めると、ちょっとだけ寒くなってきた。雨が降らなければいいのだが。

申し訳なさそうに置かれた祝花

2023/05/05 17:00
二度と見ることはできないだろうと思っていたThe Street Slidersが、デビュー40周年を迎えてまさかの再結成。あの日、日本武道館に足を運んだ時の何とも言えぬ高揚感と緊張感、そして終演後の何とも言えぬ虚脱感。てっきり一夜限りの特別なライブだと思っていたのに、全国ツアーやるゼ、って…何だよそれ。しかし、これも一期一会なのだと自分に言い聞かせ、40周年ツアーに足を運ぶことは諦めた。

2024/04/06 17:10
ところが、40周年ツアーの一環として特別公演を日比谷野音で行うと聞き、我慢できなくなった。
「enjoy the moment」というタイトルもそそられた。まんまとやられたな、と思いつつもチケットをゲットすることができた。ただし今回は独りで足を運ぶと決めていた。人生初めての野音が、一生に一度でいいから野音で観たいと思っているエレカシではなく、スライダーズというのも何かいいじゃない。

開演前、ステージの至近距離まで近づくことができた。感動…。

2024/04/06 17:35
いよいよ開演の火蓋が切られた。
JAMES、ZUZUが登場。続いてHARRY、蘭丸が登場。恐らくここに集まった人で今回が初めてのThe Street Slidersだという人は、数えるぐらいしかいないだろう。そういう意味ではステージに登場した4人を、熱く、しかし温かく迎え入れる、といった感じだった。
客層は男女まんべんなく、自分と同年代かそれ以上。あとで知ったのだが、前半のセットリストはどうやらツアーの内容がメインとなっていたらしい。

しかし、2曲目が始まった辺りから、HARRYの喉の具合というか、声の様子が明らかに変だと気付いた。スピーカーを通して聞こえてくるHARRYの声が非常に聞き取りにくいというか擦れたような「音」なのだ。これは、外で聴いているからなのか?風が作用してスピーカーが不協和音を起こしているのか?(ちなみに無風)

本人はそんなそぶりも見せなかったが、観客からは「頑張れー!」と声援が飛んでいたぐらいなので、恐らく同じように感じた人は僕だけじゃなかったのだろう。
そこからしばらくは気が気でなくなり、HARRYの状況だけを祈るように注視することとなってしまった。このままライブが中断されたらどうしよう、最悪、中止なんてことになったらどうしよう、と、ネガティヴな思考が先行することに。

しかし、結果的にそれは杞憂だった。耳が慣れてきたのかそれともHARRYの力技なのか、しゃがれた声ですら聴き慣れてきた。他のメンバーは、何事もないかの如くそれぞれの演奏を披露している。
「それじゃ、新しい曲を一つ、二つ」と言って始まったJOY-POPS(HARRYと蘭丸のユニット)の2曲。「曇った空に光放ち」「ミッドナイト・アワー」、どちらも武道館で聞いた時に全く同じ印象を受けたが、2人で奏でるのと4人で演奏するのとでは、まるで聞こえ方が違う。ZUZUとJAMESのドラムとベースが加わることにより、音の厚みが全く異なるのだ。
そして、JAMESが唄う「ROCK ON」の前奏部。ZUZUのドラムによって力強く放たれる重低音がメチャメチャ格好良く、腹にズンズンと響いてくるのが実に心地よかった。
相変わらずMCはほとんどなく、HARRYと蘭丸がギターを交換する際に一瞬会場が静寂に包まれる。
そんな中、パッとステージが暗転し、再び明かりがともった瞬間、どよめきが起きた。ステージの左袖に3名のホーンセクションが陣取っていたのだ。

2024/04/06 14:25
人の波をかき分けて皇居を1周した後、日比谷公園の辺りに到達。野音はどこだ?と思った時、遠くからギターの音が聞こえた。その方向を目指していくと、今度はサックスの音が聞こえてきた。
公園の中に足を踏み入れた。程なく聞こえてきたのは、Wham!の「Careless Whisper」。
これは…何か他の演奏会でもやっているのかな、と思ったが、聞こえてきたのは紛れもなく日比谷野音からだった。これは一体、何の伏線だろう?

2024/04/06 18:55
ホーンセクションが揃って始まったのは、「Oh!神様」。もちろんライブでは初めて聴く曲だ。今回のライブ、前回の武道館では皆無だったアルバム『SCRWEDRIVER』からの楽曲がたくさん披露されていて、ちょっと嬉しい。ホーンセクションを携えたまま、「BADな女」と続く。ライブで一度聴いてみたいと思っていた曲が続いて、思わず身震いする。

さて、そんな楽しい時間もそろそろ終盤に近づいている。
HARRYが呟く。「じゃあ、ラスト。」「ええ~!」
ホーンが加わった「Back To Back」はとにかく格好いい!会場全体がスウィングしている感じ。
この日のライブはWOWOWで生中継されており、録画もしたけれど、早く家に帰って見返したいぞ。

2024/04/06 19:10
メンバーがステージから下がり、アンコールの拍手が鳴り響く。この会場に足を運ぶこと自体、恐らく最初で最後になりそうな気がしている。ちなみにこの会場は近々改修工事に入る予定とのこと。公園全体のあり方が問われているらしい。
おっと。メンバーが再び現れた。
アンコール1曲目は「いつかみたかげろう」
なぜだかわからないけれど、胸がグッと熱くなった。
「じゃあ最後に、風の街…」と呟いたHARRY。
「風の街に生まれ」が披露された。うわわわ涙腺緩みそうですよ。

2024/04/06 19:25
結局最後まで、雨は降らなかった。全ての演奏が終わると、観客に手を振りながらZUZUとJAMESがゆっくりとステージの横へと消えていく。蘭丸はHARRYに寄り添い、HARRYは客席を確認するかのように何度も指を差しながら、ステージから立ち去った。
それと同時に会場内の明かりが点り、終演のアナウンス。
ああ、終わった。終わってしまった…。

1987/XX/XX → 2024/04/06 19:30
アルバム『天使たち』を初めて聴いたときの衝撃から35年以上が経った。
高校時代から密かに思いを馳せていた伝説的バンドのステージを初めて観たのは、大学1年の時だった。あり得ないと思っていたまさかの再結成。そしてライブの開催。おそらく僕自身にとってThe Street Slidersのライブは、今回で見納めになるだろう。

しかし、このタイミングでこの会場でのライブを堪能できたこと、いろんな巡り合わせに感謝しなければならない。一生観ることはないだろうと思っていたThe Street Slidersのライブを、1年に2度も観られるなんて。

テレビでよく見たステージとビルが共存する異空間。

「enjoy the moment」の名に偽りはなかったし、あっという間の2時間は本当に楽しい時間だった。1年前に観た日本武道館の時とは異なる多幸感に包まれていた。至福のひととき、とはまさにこういう時間を言うのだろう。わずか1年の間に、日本武道館と日比谷野音という全く異なるステージを観ることができて、つくづく幸せだと思った。今はただ、感謝という言葉しか浮かんでこない。本当にありがとうございました。

2024/04/06 The Street Sliders 40th Anniversary Final Special GIG 「enjoy the moment」

01 SLIDER
02 おかかえ運転手にはなりたくない
03 Angel Duster
04 Let’s go down the street
05 のら犬にさえなれない
06 Dancin’ Doll
07 すれちがい
08 ありったけのコイン
09 曇った空に光放ち
10 ミッドナイト・アワー
11 カメレオン
12 Rock On
13 ROCKN’ROLL SISTER
14 Oh! 神様
15 BADな女
16 Back To Back

(アンコール)
17 いつか見たかげろう
18 風の街に生まれ