マラソン大会に出場する際のマイルール。
「仕事には穴を空けない。」
要するに日曜日の大会に出場しても、月曜日は何食わぬ顔で出勤する、ということ。よほどの事情がない限り、金曜日や月曜日は休まない、という趣旨なのですが、今回は予期せぬ事案の発生で思い切り穴を空けてしまい、皆さんにご迷惑をお掛けすることとなってしまいました…。
4度目となった北海道マラソン、今回のテーマは「底上げと我慢」。
そして目標は、最低限でも3時間30分を切ること、あわよくば3時間10分を切ること。
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26日の午後に札幌入りし、エントリーの手続きを済ませ、ホテルへ。
朝に少し走ったし、日中もかなり歩いたということもあって、若干足に疲労感がありました。
更に、くるぶしの辺りには痛みも。
ただ、これも考えるとキリがないし、それを言い訳にもしたくないな、と思い、ひとまず湯船に浸かって疲れを癒やし、18時30分頃から20時30分まで、ゆっくり時間をかけて夕食。買い込んできたおにぎり×3個、肉まん1個、ニラまんじゅう3つ。更には、うどん。これをノンアルコールビールで流し込みます。
夜21時には就寝できる体制を整え、ベッドへ。…zzz
…深夜1時30分、職場携帯のメール着信音で目が覚めました。
不吉な予感を感じながら、メールの内容を見て茫然自失。
不測の事態が発生し、深夜にもかかわらず数名が出勤しているとのこと。
なんてことだ…今年の北海道マラソンが、こんな形で終わるなんて。
憤りと虚しさが激しく渦を巻きながら、胸の鼓動をどんどん高めていきます。
スマートフォンを片手に、航空会社のサイトをチェック。
27日の飛行機は…全部満席。
つまり、青森に戻るとなると、JRしかないということに。
でも、どんなに早くても、13時前でなければ青森に到着できないという。海を挟んだお隣なのに、近くて遠い北海道。嗚呼…。
さて、一体僕はどうしたらいいんだろう。
悶々としながら刻一刻と時間だけが過ぎていく中、僕はおもむろに帰りの身支度を始めていました。
…ちょっと待て。
僕が青森に戻ったところで何が変わるんだろうか。
真夜中の迷いと葛藤。
今ここで独りで考えても仕方がない。ひとまず寝よう…。
再び眠りに就いたのが2時30分過ぎ。1時間半も経たない4時に目が覚めましたが、まるで寝た心地がしませんでした。
熱いシャワーを浴び、頭の中をリセット。帰る準備をしていた荷物をもう一度ほどきます。
5時過ぎ、上司にメール。
内容は、今、札幌にいること、自分の帰る便は今日の最終便だが、その前の青森へ向かう便が全て満席であること、鉄路で向かった場合、青森到着が13時頃になってしまうこと…。
暗に、職場に向かえないことの許しを請うような内容でした。
程なく、上司からの返信を受信。
「現状人員で対応可能。無理して帰ってこなくてもいいから。」
泣きそうになりながら、誰も出ていない携帯電話に向かって、「すいません、本当にすいません」と呟いていました。
迷いと雑念を振り払いたい一心に駆られ、札幌市内をジョグ。しかし、メールの内容ばかりが頭をよぎり、全く気分は晴れませんでした。
ということで、正直言って走る気分はほとんど消えていたのですが、折角頂いた機会を大事にしようと気持ちを切り替え、おもむろに準備を始めながら、いつものように餅を貪りはじめます。
今回は切り餅5個。これにカロリーメイト2本、焼き菓子1個、豆乳1本。更にはオレンジジュースにエナジーゼリーを1パック。って、食べ過ぎですかね?
8時前、経口補水液を片手にスタート地点へと向かいますが、気分を切り替えたとはいえ、依然としてテンションは下がったまま。
本当に出場していいのだろうかという葛藤を燻らせたまま、集合写真を撮影した後、少しでも気分を昂揚させようと仲間たちと談笑します。
気温は既に23度。このことも、気分を下げる一つの要因となっていました。
しかしもうここまで来てしまった以上、走るしかないでしょう。ここは開き直って、今まで取り組んで来た練習の成果を出してみよう。ま、やめたければやめればいいんだし。
今年もCブロックからのスタート。なかなか届きそうで届かないBブロック。
その差は恐らく僅かなんでしょうけれど、僕には大きな溝があるように思えてなりません。
大通公園のテレビ塔が、いよいよカウントダウンをスタート。にもかかわらず、いつになく緊張感のない自分が、そこにいました。途中で口にしようと思っていた経口補水液は既に空っぽに。
午前9時、スタートの号砲。50秒後にはスタートラインを踏み、とうとう42.195キロの旅が始まりました…。
(つづく)