日別アーカイブ: 2013-09-02

第23回啄木の里ふれあいマラソン大会2013

2013年9月1日(日)。今年3レース目となる大会(リレーマラソンを除く)に参加してきた。
盛岡市玉山区で行われた「第23回啄木の里ふれあいマラソン大会」。

昨年参加した方から聞いた話では、例年非常に暑い中での大会となり、また、コースの起伏も思った以上にあることから、タイムは期待できない、とのこと。

それでも、今年はどうも今ひとつ昨年のような走りができていない(というか昨年から何も変わっていない)ような気がしていて、全然練習の成果が出ていない。なので、この辺りでそろそろ一発、自分でも満足できるようなレース展開を繰り広げてみたい、というのが本音だった。

そこでエントリーした本大会。
スタート時間が1時間繰り上がり、今年は9時30分スタートとのこと。これだけでも多少暑さはしのげるんじゃないかと、淡い期待を寄せる。

しかし、青森県内は前日の土曜日から激しい雨に見舞われ、暑さどころか雨の心配をしなければならなくなってしまった。
天気予報では日曜日は曇りとのことであるが、未明まで降り続いた雨が気になって、正直あまり眠れなかった。
日曜日は朝5時に起床。いつも一緒に練習しているメンバーでこの大会にエントリーしたのは僕ともう一人しかいなかったことを前日に知ったのだが、一人で向かうのも何か心細いので、無理矢理走ることには全く興味のない妻を同行させた。

7時45分頃に会場に到着すると、既に近くの駐車場は満車となっていた。妻は「こんな時間から混雑するはずがない」と言っていたのだが、その混雑ぶりを見て、ちょっと驚いていた。
エントリーを済ませ、妻を残して一人軽めのウォームアップ(ちなみに妻は、啄木記念館を見学する、と張り切っていた)。

9時前にはいよいよスタート付近に到着し、入念に硬い身体をストレッチ。
10分前にはいよいよスタート地点に人が集まりはじめ、僕もその中に混じった。

「蒔苗さん!」

ふと見ると、昨日一緒に練習をしていたK子さんの姿が。K子さんは10キロへのエントリーで、我々がスタートした10分後のスタートとなる。
「お互い頑張りましょう!」とガッチリ握手を交わし、いよいよスタート時間が来るのを待つ。

9時30分。号砲一発、選手が一斉にスタート。
これまでの反省を踏まえ、まずは最初から突っ込まないように慎重に走り始める。道幅がそれほど広くなく、前に行こうにも進めないので、まずは当初の目的は果たせた。
徐々にペースを落ち着かせ、大体キロ4分30分ぐらいにとどめて呼吸を整えた。

…うん、このペースなら大丈夫そうだ。あとは、事前にリサーチしておいた5キロから8キロにかけての上り坂、折り返した後の14キロ前後の上り坂さえクリアできれば、それなりのタイムは出るだろう、と踏んでいた。
目標タイムは1時間35分を切る!と言いたいところだったが、せめて37分台、できれば今年のベストタイムでゴールできれば本望、というのが本心だった。

しかし、この日は雨上がりの後で風がなく、何よりも時折照りつける日差しが強い。
9時時点での気温が27度を超え、湿度は60%台だというのだから、走りやすい、という気候ではない。
ただ、比較的短い間隔で給水ポイントが設けられていて、喉の渇きに悩まされることはなかった。
中心部を抜け、あっという間に郊外に入ると、ここからいよいよダラダラと上り坂が続く。
この上り坂で息が上がる人もたくさん見かけたが、僕はさほど苦しいとは思わずに8キロ手前のてっぺんを通過。あとは下りで加速せず、脚力を温存。

とはいえ10キロ通過が47分。決して速い方ではない。このペースだと、1時間40分も切れるか危うくなってきた。

それにしても、折り返しとなる11キロ付近まで、ダラダラと上り坂が続く。5キロから先は平坦なところが一つもない。まあ、折り返した後は一度上ればあとは下りが続くし、最後は平坦なので、何とかなるだろう、と踏んでいたのだが、実はこれが大きな誤算だった。

折り返し地点ではアク○リアスのハンディパックが手渡される。坂を上り終えたあとの嬉しいご褒美だ。
少しずつチュウチュウ吸いながら、ちょっとペースを上げる。とはいえまだ難関が待っているので、ここでの過度のペースアップは禁物。
…実は5キロ付近から、二人で走る男性陣のスピードがちょうど良いことに気がつき、ずーっと彼らの背中について行った(もちろん悟られないように)。
一度14~15キロの上りで離されるも、再び背後に付け、この時点で大体キロ4分30分のペースで走行。しかし、この辺りから徐々にペースが落ち始めているのがわかった。

17キロを過ぎ、市街地ではなく水田地帯のある方へ右折。そういえばそうだった。市街地に戻るコースではなかったのだ。ところがここがまたくせのあるイヤらしいコースで、決して急でもないし長いわけでもない細かなアップダウンが、疲労の蓄積しはじめた足を虐める。しかも、17キロ付近からは右足底に痛みを感じ始め、気が散漫になってきた。

もはや自己新なんて望めるわけもなく、こうなると1時間40分を切るか切らないかのせめぎ合い。あとは、完全に自分との勝負。

20キロの最後の給水。
残り1100mと言い聞かせるも、足が前に進んでいかない。もう、歩きたい。そんな思いに駆られる。前方を走っていた例の二人組は18キロ付近で抜いたけれど、そのうちの一人がラストスパートをかけたらしく、軽い足取りで僕の横をサッと通り過ぎていく。

自分の不甲斐なさがグッとこみ上げてきて、ここからまたペースを上げる。もう、倒れてもいいぐらいの気力を振り絞ってみろ!
残り500m。女性カメラマンの方が「No Apple!頑張って下さい!もう少しです!」
初めて声援を受けて力が入る。
残り300m。これで最後だと思ったら、またペースが上がった。右手には、先にゴールしていたK子さんが声援を送る姿が見える。
文字通り息も絶え絶えの姿で、応える気力もない。完全に腰が下がり、足に疲れがどんどん蓄積しているのがわかる。でも、最後は絶対笑顔でゴールするんだ!
残り100m。幸か不幸か僕の前には誰もいない。ゴールゲートに向かって左折すると、ゴールテープを手にする係の方が見えた。
その時僕は、何を思ったか胸に描かれた「No Life,No Apple」のロゴを両手で誇示し、そのまま笑顔で両手を突き上げてゴール。

1時間39分11秒。昨年初めて走ったアップルマラソンのハーフ時の時間より3分遅く、今年の春に大館市で行われた山田記念を走った時より2分遅かった。

初めて走った公認コースは、何ともほろ苦い感が尾を引いた。
ゴール後の給水ブースで3杯もドリンクを飲み、重い足を引きずりながら完走証を受け取りに行く。

程なく、K子さんが僕の姿を見つけて駆けつけてくれた。
「お疲れさまでした!どうでしたか?」
「いや…何とも微妙なタイムだったんですけど…K子さんはどうでしたか?」
「私、15位でした!でも、暑かったしずっと上りだったし、きつかったです。」

…15位って…凄いじゃないですか!
お互いの健闘をたたえ合い、K子さんと別れた。

参加者には昼食としておにぎり2つとゆで卵が2つと豚汁が提供された。
無心で豚汁を貪り食う。太陽の日差しが照りつけているが、全く気にならない。

…嗚呼、そういえば碇ヶ関のたけのこマラソンの時も、走り終えたあとにタケノコ汁を貪り喰ったな…。

豚汁を食べ終え、おもむろに妻が待つ車へと向かう。
どうだ?自分の走りに満足したか?
ずっと自問自答を繰り返す。

後悔はしていない。けど、自分の走力のなさにちょっと辟易した。今日の大会は、水分も塩分も充分補給できたし、体調だって、完璧ではなかったけれど、かなり良い方だった。正直、満足行くレベルまで届かなかったけれど、1時間40分を切れたことはヨシとしよう。でも、練習の中身を見直さないと、10月のフルマラソンでサブ4を狙うのは、かなり厳しいんじゃないかな…。
そんな現実を突きつけられた今回の大会。でも、体調管理や天候、その他諸々を勘案しても、結局のところこれが今の実力ってことなんだよね。

ふと、大好きな村上春樹氏の著書「走ることに語るときに僕の語ること」の第1章にこんな記述があることを思い出し、帰宅後に読み返した。「走り終えて自分に誇り(あるいは誇りに似たもの)が持てるかどうか、それが長距離ランナーにとっての大事な基準になる。」…うーん、ちょっと記録更新に固執し過ぎて、完走する楽しみや喜び、誇りを忘れていたかも。

15日の田沢湖マラソンも公認コース(フルマラソンは公認を外れたけれど、20キロは公認コースのままらしい)だけれど、自分の力量を過信することなく、あまり気負わず走ることにします。