日別アーカイブ: 2004-10-13

久保田利伸は(今度こそ)全米で成功を収めるか

この話はMusicblogに書くべきネタだと思うのですが、前編としてこちらに掲載したいと思います。後編は、ディスクレビューとしてMusicblogに寸評を掲載します(ただし、そのうち)。
これまでにも、多くのアーティストが全米デビューを果たしました。一番ヒットしたのは坂本九(「SUKIYAKI」)ということになってしまう(ちなみにこの曲は、iTunes Music Storeでも配信されているそうです)のですが、日本で相当の名声を得たアーティストであっても、米国では一アジア人。いわば何もないところからのスタートと言っていいでしょう。よって実際のところは、全米デビューを「華々しく果たした」というのは、日本に向けられた「表向きの」話題であり、チャートアクションを見ても、なかなか思うようなヒットに繋がっていないというのが現実ではないでしょうか。この一番の要因は、英語の発音にある、といいますが、本当のところはプロモーションの問題やいろんな要素があるんだと思います。
昨年は吉田兄弟、今年に入ってからはPuffyやLL Brothers(!!!)などが相次いで全米デビューを果たしていますが、そんな中、日本の音楽界にとっては全米への「最終兵器」でしょうか、宇多田ヒカル(Utada)が全米デビューを果たしました。彼女の場合、長い間アメリカに在住しているので、英語は堪能、そこそこヒットするのでは、という楽観した雰囲気があるようですが、結局のところ評論家の方々は、日本人の耳に馴染めるかどうか、という切り口だけで全米でヒットするしないを判断しているのではないか、という気がします。だから正直、例えば全米のヒットチャートで上位に入るということは、あり得ないんじゃないかな、という気がします。せいぜいクラブ・チャートの上位に食い込むのが精一杯ではないか、と(そう考えると、坂本九の「SUKIYAKI」はやはり凄いということに)。もっとも、日本と米国というお国柄の違いや国民性、さらには感覚の問題ですから何とも言えませんが、恐らく期待されたほどの結果には繋がらないのではないか、と思います。
そういう意味では、三味線で勝負に挑んだ吉田兄弟なんか、この先案外面白い結果を生み出しそうな気がします。
さて、米国に軸を移し、9月には全米で3作目を発表した久保田利伸ことTOSHI。これまでも、地道に活動を続け、それなりの成果は挙げているようですが、今回も米国の一部批評家からはウケがよかったらしく、この度「ソウル・トレイン」に出演することになったというのは結構話題となりました。何でも、番組プロデューサーが彼の作品を気に入ったらしく、そこからオファーが来たらしいです。いずれにせよ、この番組出演がきっかけとなって、ファン層が広がればいいと思うのですが…。
彼の場合、完全に「R&B」に的を絞っているのが功奏しているのではないかと思います。今作を端的に評価すれば、前作よりまたパワーアップしていると思われますし、かなりR&B色が濃いですね。ねっとりした雰囲気がまた、良くも悪くも彼の個性を出していると思いました。ただ、強いていえば、彼が全米で発売するアルバムは、どちらかといえばゲスト頼みの感があるので、より「TOSHI」としてのカラーを前面に打ち出せれば、面白い作品ができあがるような気がします。そういうことからも、知名度を高めるという意味で「ソウル・トレイン」に出演できるのは、ラッキーではないかと思います。
…と、ここまで書いてふと思いました。一体、何をもって「全米で成功を収めた」と判断するか。
僕の視点も、作品が売れるか売れないかをその指標に据えたような書き方をしてしまいました…。
そりゃ作品は売れるに超したことはないと思いますが、それ以上に大事なのは、聴き手のハートを掴むことができるか、ということでしょうか。何だか締まりのない結論ですが、後編は後日改めて、ということで。
それでは、札幌に行ってきます。