日別アーカイブ: 2006-02-07

リア王と晴子

先週から高村薫の『新リア王(上)』を読み始めています。
この作品は、青森県を舞台に繰り広げられる政治小説です。政治家として青森県内で絶大なる勢力を誇った福澤家の父・榮から、仏道の道を究めようとする妾腹との(榮の兄の妻であった晴子との間に出来た)息子・彰之に語られる保守王国の崩壊劇は、フィクションでありながら同じ青森県に生活する者にとって魂を研ぎ澄まされるような思いに駆られます。そしてそれは、福澤榮という実在の政治家がいてもおかしくないような、非常に現実味を帯びた展開が繰り広げられていて、陰で囁かれている「モデルの存在」というのもあながちウソでないような、そんな気分にさせられます。
ご存じの方も多いと思いますが、この作品は日経紙朝刊(いわゆる「愛ルケ」の前)に連載されていた内容に大幅加筆されたものです。挿絵の著作権の問題やらなにやら色んな事情があって、突如連載打ち切りとなってしまったのですが、待ちに待ったこの本の出版にどれだけ心躍らされたことでしょう…。

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