#久保田利伸 concert tour 2019-2020 “Beautiful People” 青森公演

久保田利伸。一度でいいから観てみたいと思っていたアーティスト。
これまで目まぐるしく変化を遂げてきた髪型とは裏腹に、ずっと変わらぬままなのがその歌声。その歌声に、ずっと魅了されてきた。

彼が一躍注目を浴びることとなったのが、田原俊彦に提供した「It’s BAD」という曲だった。
今でこそ日本の音楽界においてもひとつのジャンルとして確立したR&Bも、この人がその礎を築いた、といっても過言ではないだろう。日本人離れしたリズム感とその顔立ちから、当初はハーフだと勘違いされたことがあったと記憶している。

最近ではあまりテレビ番組に出演することもなく、アルバムのブランクも空いていたので、あまり動向を気にはしていなかったのだが、一度でいいからライブを観てみたいアーティストの一人、いやその筆頭だったと断言してもよい。

昨年、ひょんなことから全国ツアーを始めること、そしてその中に青森も含まれていることを知った。そういえばこれまで何度も青森に来ているはずなのに、告知をほとんど見たことがない。
裏を返せばそれだけ今も絶大な人気を誇り、そしてチケットが入手しづらいアーティストなのだろう。
何とか足を運ぶことはできないだろうか、と招聘元のウェブサイトを見たら、何と絶賛先行予約中。これはもう、今しかない。ダメ元でもいいから申し込んでみようと、衝動的に予約を申し込んだら、どうやら先着順だったらしく、数日後にチケットが送られてきた。

かくして、デビューしてから30年以上が経ち、ようやく彼のライブに初めて足を運ぶという念願がかなった、という次第。折しも11月下旬にアルバムが発売されることになっており、いわばそのお披露目ツアーということなのだろう。

(ちなみにジャケットには、全裸の久保田利伸が…)

何気にこの新作、名盤。


【以下、少しネタばらしあり。】

2020年1月19日、青森公演の会場は、リンクステーションホール青森(青森市文化会館)。
開催が日曜日ということもあってなのか、開場が16時、開演は17時となっていた。
この時期のコンサートは大雪にぶつかることも多いのだが、今年は暖冬少雪ということもあり、弘前市から車で約1時間で青森市に到着、会場から少しだけ離れた駐車場に車を停め、いそいそと会場へ向かう。

16時40分、会場着。多くの人が既に入場を済ませたようだが、会場前に置かれたパネルの前では、女性ファンの皆さんがこぞってパネルの前で撮影に勤しんでいた。
(僕には「何でやねん」と突っ込んでいるようにしか見えず、ダブルでツッコミを入れ会うか、少しのけぞりながらうろたえる、という構図ばかり浮かんできた。すいません。)

座席は2階のやや前方、ほぼ真ん中の位置。周囲を見渡すと、女子率がかなり高い。年齢層はかなり幅広い感じ。かなりご高齢とおぼしきお父さんや、学生さんかしら?という若年層の姿も見受けられる。観客席にすわると、ピンク色に照らされたミラーボールがステージ天井から吊るされており、DJが忙しく指を動かしているのが遠目でもわかった。それに合わせて立ち上がり、踊り始める1階席。いやいや、まだちょっと早くないですか?

結局そのDJショーは、開演時刻を5分ほど過ぎる辺りまで続けられ、そのまま本編へとなだれ込んだ。
舞台には円形のステージがある以外に特段大掛かりなセットはないが、照明がかなり凝られているといった印象。
ダンサー3名、コーラス3名、キーボード2名、その他ギター、ベース、ドラム、前述のDJに本人を入れると総勢13名という構成。以下、初の久保田利伸を体験して良かった点、気になった点。

良かった点

  • 57歳とは思えない清んだ声に圧倒された。
  • コーラスの人たちが上手。津軽海峡冬景色に心揺さぶられた。
  • バンドメンバーはもっと凄い。R&Bだけではなく、ジャズの演奏もバッチリ。
  • ステージの装飾がシンプルなので、ステージに集中できた。
  • 照明を駆使したステージ展開が素敵だった。

気になった点

  • ダンサーの動きが歌に集中したいときの妨げとなった場面あり。
  • ステージ全体の構成が、ちょっと…。立ったり座ったりが慌ただし過ぎる。
  • MC。演奏に合わせたアドリブ調のヤツは良かったけど、特にあの下宿のおじさんのくだりは…。

何を演奏したのかは敢えて触れないけれど、基本的には11月に発表されたアルバム「Beautiful People」がメインになる、と思いきや意外とそうでもなく、アルバムから演奏しなかった曲も複数あり。他方、新旧織り交ぜた楽曲、聴きたかった曲に思わずウルッとし、聴けなかった曲に地団駄を踏み、といった感じ。

17時過ぎに始まった公演は、アンコール1回(おまけの1曲+2曲披露)を終えて19時20分頃終演。
いやあ、もう少し色んな曲を聴きたかったなあ、と少々消化不良気味となってしまった。ざっと見てみたら、20曲も演奏していないようだが、あれとかあれ、定番のあれに思いがけずあの曲も聴けたから、許す。

しかし、アルバムのタイトルが「Beautiful People」だけれど、MCでも掛け合いでも曲の中でもずっとビューティフォーピーポー、パーティーピーポー、ファンキーピーポーを連呼しておりまして。

終わった頃には頭の中がすっかりピーポーピーポーだったわけだが、そういえば公演日は1月19日。これって、救急車のピーポーピーポーか、と思ったら、「119番の日」は11月9日だった、というオチ。締まりが悪くてすいません。