2023年1月に仙台サンプラザホールで、約29年ぶりに、吉川晃司のソロコンサートを観た。2011年に東日本大震災の復興支援として開催されたCOMPLEXの「日本一心」は2日続けて観たのに、なぜか吉川晃司本人のライブにはなかなか足を運ぶことができなかった。僕自身も50代半ばに差し掛かり、いつどうなるかわからない。なので、観たいと思った時がタイミング。秋田で彼のコンサートが開催されることを知り、再び足を運ぶことにした。
2023年の仙台公演は、色んな意味で忘れることのできないものとなった。今回は何事もなければいいのだけれど…と思いながら迎えたライブ当日。雪が積もったので、秋田に向かう奥羽線の運行状況を確認して愕然とした。なんと、青森と秋田の県境付近で架線に支障物がある(恐らく雪の積もった枝か何かが倒れ掛かったのだろう)とのことで、始発から運転見合わせ。運行再開予定が9時になるという。しかし、全くこの予定はアテにならない。下手をすれば午後までずれこむのではないか。となると、この日の行動計画がすべて水の泡となり、ライブの開催に間に合うかさえも怪しい。ううむ。こうなったら少し早めに秋田に向かうことにするか。
しかし、9時30分過ぎに弘前を出発する特急が運休になったことを知る。ええっ?何で?
嫌な予感は的中し、9時の運行再開予定が12時へと変更になっていた。やっぱり…。
かといって車で向かう選択肢は考えられず、新幹線を乗り継いで向かうべきか。いや、ひとまず予定通り11時30分過ぎに弘前を出発する電車に乗り、あとは運行再開を待つことにしよう。
どうもケチがつくなあ、と思いながら11時過ぎに弘前駅へ。秋田方面に向かう電車はしばらく運転を見合わせる、とアナウンスされている。
ところが、神様はまだ見放していなかった。青森から電車が到着するタイミングで、事態が好転。なんと、電車は時間どおりに運行するという。おお…運が残っていたぁ。
結局秋田駅には10分ほど遅れて到着。終演後に駅ビルの3階で一献興じることを決めていたので、会場までの距離感を掴もうと、徒歩で会場を目指す。
10分ちょっとで会場に到着すると、ちょうどグッズの先行販売が行われていたようで、思わず列に並び、グッズ数点を購入した。
開演15分前に会場に入る。前から14列目の左端という座席。ステージがバッチリ見える。前回の仙台公演での重複発券が頭をよぎるが、今回は大丈夫だったようだ。同年代かそれ以上、そして男女満遍なく会場を埋め尽くしている。僕みたいな「おひとり様」での参加も結構いるようだ。
17時過ぎ、いよいよ客電が落ち、ライブが始まった。
【以下、多少ネタバレがあります。】
ツアーの最中なので何を演奏したのかはここでは明かさないが、40周年だからといってヒット曲のオンパレードというわけではなく、むしろ「えっ?その曲をやるの?」みたいな、結構マニアックで通好みとも言えばいいのだろうか、そんな選曲だった(30年、35年のアニバーサリーツアーではヒット曲メインの選曲だったので、今回はちょっと指向を変えたようなことを本人もMCで語っていた。)。同じアルバムから複数の曲が演奏される一方、全く演奏しないアルバムも結構あって、個人的にはその選から漏れたアルバムの楽曲が披露されるのを期待していたんだよなぁ、と終演後にちょっとだけ感じた。
喉に相当気を遣っているのだろう、加湿器と思われるものがステージ上に多く設置されていて、かなり水を飲んでいたのが印象的だった。
何より驚いたのが、秋田での公演が35年振りだったということ。青森公演も30年以上遠ざかっているので、機会があったら是非青森でも公演を開催してください。関係者の皆さま、お願いします。
そんなわけで、MCは秋田に対するこれまでの想いがたくさん溢れていた。秋田県民ですら知らないようなマニアックな食ネタ(稲庭うどんより能代うどんが好き)とか、公演前日、秋田市北部の土崎地区へ電車で移動(!)したところ、海の近くなのに「熊に注意」の張り紙があってビビった(熊が立てこもったスーパーがある地区なのだ)とか、本人が出演したドラマで、能代市内(JAXAの燃焼試験場がある)での撮影が計画されたけど立ち消えになった、とか。
本人の不安をよそに、会場のボルテージは開演の時から最高潮に達しており、それがステージ上の本人やメンバーにもいい影響を与えたようで、会場との掛け合いも楽しみつつ、本人もメンバーもとてもリラックスしている雰囲気だった。
そんなわけで、本編だけで約2時間。
アンコールでは、アコースティックな曲調にアレンジされたあの曲、そして、聴きたいと思っていたあの曲、締めはもちろんあの曲。
約2時間30分にわたる公演の最後、「秋田、ホントに凄いね。何だかこっちが感動しました。」と語ってくれたのには、何だか胸が熱くなった。
ツアーは2月の日本武道館まで続くとのこと。御年59歳。来年は還暦を迎える。狭心症、白内障など、色々「敵」とも戦いながら、今もなお第一線で活躍しているが、MCでも垣間見えたとおり、ホントはとっても度量の深い、良い人なのだろうと思う。
まずはツアー完走を祈るとともに、もう一度言わせてもらおう。
近い将来、是非とも青森での公演をお願いします!