2020年師走、「走る」ことに少しだけ思いを馳せて

ここ数か月、備忘録のように綴っていたこのブログの更新が滞っている。とはいえ、何かネタにするものがあるかと言われると、ほとんどないのも事実。新型コロナウイルス感染症に翻弄され続けた今年は、恐らく今まで生きてきた中で、最も空虚で退屈な1年となってしまった。もっともこれは、決して僕に限ったことではないと思うが。

青森県内で最初の感染事例が確認されたのが3月末。異動の時期と重なったこともあり、ワケがわからぬままの新年度突入となってしまった。

同じ課内での異動とはいえ、在籍4年目に突入。職責も変わり、4月以降は土日に関係なく対応、調整に当たることとなった。結果、プライベートなことは後回し。仕事も大事だが私事はもっと大事だと自負していた自分にとって、これはなかなか衝撃的だった。全国の感染状況に鑑み、毎年恒例の南の島への渡航は早々に見切りをつけたまではよかったが、仕事メインの生活に一気にシフトした。

土日祝日といった暦の色分けがほとんどなくなる中、自分の置かれている立ち位置、周囲との接し方がこれでいいのか、不安ばかり増幅する日々が続き、やがてそれは、今ここで言葉に表すことも憚られるぐらい色々な心境の混乱へと繋がっていった。

とりわけその中で、最も影響が大きかったのが「生活の一部」だと思っていたランニングだった。

平日は5時に起床し、6時半には家を出る。この生活習慣はこれまでと一緒。ただ、帰宅するのは早くても21時頃、22時を過ぎることもざらだったし、文字通り最終電車に飛び乗り、家に着いたのが0時を回っていたこともあった。
しかも、帰宅してから軽めの夜食にありつき、睡眠を取る。
とりわけ多忙を極めていた4月~5月は、布団に横になった瞬間、眠りに就くということは当たり前だったし、そもそも「走る」ということにエネルギーを割くこと自体が惜しまれることだった。

まあ、それぐらい心身ともに疲弊していったということなのだろう。しばらくは曜日に関係なく似たような状況が続き、限られた時間の中で休息を取ることに努める日々が続いた。

結果として、ワークライフバランスなんぞどこ吹く風、全くワクワクできないワークに次ぐワークに追われ、走ることなんてもっての外となった。

未だに未開封、未着用のランニングギアが数点ある中、毎月定期的に送られていた雑誌の購読も、仕事帰りにたまに立ち寄っていたジムもやめた。

そういえば数年前は「50歳までにフルマラソンで3時間を切りたい!」などと目論んだこともあったが、今は昔の今昔物語。

その50歳を迎えるまで残り50日を切った。3時間どころか今は、フルマラソンを完走できる自信すらない。

大体にして、たまに走ることができても、せいぜい長くて10キロ、それもゆっくりとしたペースでジョギングする程度。走っている途中でメールや電話が入り、職場に向かうなり上席への情報展開に追われるといったことがざらにあるからだ。

こんな状況では、フルマラソンどころか今はハーフマラソンすら完走できないのは明白。

月間の走行距離で見ると、100キロを越えることが稀になった。しかし、今はそれすらも気にならない。つまり、それぐらい走ることに対するモチベーションも脚力も落ちてしまった、ということだろう。

こうして僕は、趣味の一つと公言し、生活の一部だと思っていたランニングを、いつの間にか生活の外へと追いやってしまったのだ。

ちなみにこの間、各地で開催されていた大会は軒並み中止となり、今はバーチャルやオンラインでの大会も開催されているとのこと。いろいろ試行錯誤しながら、どうしたらこの環境の中でマラソン大会を開催できるか、主催者側も探っているのだろう。

「新しい生活様式」が叫ばれるようになった今日、かつてのような生活習慣や社会を取り戻すことはもはや困難となってしまった。走ることが当たり前、大会に参加するため遠出することも厭わなかったあの頃には、きっとしばらく戻ることができないのだ。

僕なんかは、ソーシャル・ディスタンスの名のもと、今は誰に会うことなくひっそりと独走している方が遥かに楽のような気もする。もちろん、仲間と走る日が再び訪れることを望まずにはいられないけれど、今のこの職責を考えると、感染リスクを高めることは絶対にできない。

…さて、今回はいつも以上にネガティヴな内容となったが、そもそも僕が走ることを始めたきっかけは、「健康を取り戻したい」ということだった。それが今年、久しぶりに「要精検」のレッテルを貼られた。走り始めたことで解消された一切のあれやこれやが、以前の廃人間近の状態、数値に戻ってしまったのだ。

人間は学習をし、それを覚える一方で、覚えたことを都合のいいように忘れてしまう習性もあると思う。これは、今の職務に携わっているからこそ感じることだ。そうは言いながら、自分も都合のいいように、色んなことを忘却の彼方に葬り去ってしまったことを、今更ながら後悔しまくっている。

原点回帰といえばいいのだろうか、走ることについては健康を取り戻すために機会を再開する予定だ。ただ、現状の生活環境下でそれを望むのは、なかなか厳しい、といったところ。なかなか先の見えない厳しい時間が続くが、マスクなしで街中を走れる日が、また訪れることを心待ちにしよう。

もうすぐ幕を閉じる2020年。サンタクロースが「今年のことは全部嘘だよ~ん!」と高笑いしながら登場することを期待しつつ。