記録的少雪と、記録的大雪と。


今年の冬は記録的な少雪、暖冬と言われている。実際のところ、今季の冬は雪片付けをした回数が数えるほどしかなく、路面が見えている状態で年末年始を迎えたのは、本当に久し振りのことだったし、そもそも2月に入ってから普通のランニングシューズで弘前市内を走ることができるなんて、考えもしないことだった。



(2020年1月25日付の地元紙の見出し)

雪が降らない冬は、確かに楽だ。夜の気象情報に目を凝らし、明朝はまた4時に起きなきゃダメか、と溜め息吐息で床に就く、ということがないから。

しかしその一方で、山間部に積もった雪融け水が里の田畑に潤いと恵みを与え、そして我々の生活用水としても貴重な役割を果たすということを考えると、手放しでこの状況を喜ぶ訳にも行かなかった。

2月になるといよいよ少雪も異常事態となり、青森市や弘前市で積雪が0㎝になってしまった。春の訪れが早いのではないか、さくらの開花が記録的に早くなるのではないか。更には猛暑に見舞われるのではないか、といったことにまで独りで勝手に懸念を抱き始めた。

雪の積もっていない弘前公園での雪灯籠まつり。果たしてこの雪のない状況で開催できるのか?と訝しく思っていたが、それでもわざわざ山から雪を運び出して準備を進める団体があることを知った。

いずれにせよ、雪のない冬の風物詩はやはり何だか奇妙であり、季節の変化が感じられなくなっていることに、一抹の寂しさにも似たような気分を抱いた。

さて、週間天気予報が降雪と低温を報じ始めたのは、確か節分を過ぎた頃だったと記憶している。二十四節気の立春を迎えいよいよこのまま春の足音が近づいて来るのかと思いきや、最低気温-7℃、最高気温-3℃という真冬の寒さが数日続くというのだ。

しかし、これまでも夜の気象予報には幾度か裏切られてきた。翌朝6時までの12時間での降雪量は10~19㎝という予報に惑わされ、翌朝4時に起床したら2㎝も積もっていなかった、ということがあったのだ。

どうせ今回も…と思っていたが、その予報はずっと変わらなかった。6日の朝、この日は消防学校で韓国からの大学生訪日団へ本県の災害と備えについてレクチャーする予定が入っていたが、朝方の降雪にはちょっと焦りを覚えた。

青森市内も一転雪景色が広がり、消防学校の外では雪と戯れ、そして撮影に勤しむ異国の若者の姿が多く見受けられた。

そしてその日の午後、突如冬将軍が采配を振るい始め、弘前市内では一気に20㎝ほど積雪が増えた。これを皮切りに、弘前市内では断続的に雪が降り続き、積雪量も一気に増えることに。



(何となく風情を感じたのも一瞬だけ。)

7日も雪が降り積もり、4時に起床。駐車スペースの前には除雪車によって壁が作り出されていた。冬が逆戻りしたというよりも、数か月遅れてやってきた冬が、一気に暴発したといった感じ。

気温が低かったことが幸いし、雪片付けには難儀しなかったが、まるで冬を取り戻そうとばかりの勢いで降り続く雪に、唖然とするしかなかった。

8日。この日が土曜日で良かったと心底思えるほど雪が降り積もっていた。その降り方、積もり方は、恐怖を覚えるぐらいだった。9日の午前にはとうとう大雪警報が発表され、警報が解除されてもなお雪は降りやまず、結局積雪は75㎝まで増えてしまった。



(灯油タンクの上に積もった雪がすべてを物語る。)

ここ数年、雨の降り方が変わってきている。台風や低気圧に刺激された前線が線状降水帯と呼ばれる雲の帯を作り、特定のエリアにばかり雨をもたらした結果、大きな被害が生じるという、アレ。青森県は幸いにして大雨特別警報が発令されたことはないものの、それだっていつ起きてもおかしくはなく、100年に1度、1000年に1度といわれる降水や浸水が毎年のように発生するようになった。



(もはや定点観測)

今回のこの局地的かつ集中的な豪雪を、昨今の大雨に置き換えてみると背筋がゾッとする。いや、実際それぐらい降ったといっても過言ではないのだ。

2月9日11時発表の弘前における72時間の降雪量は80センチ。酸ヶ湯の72センチなどを抜き全国1位となった。同日1時30分には弘前市に大雪警報が発表され、2005(平成17)年1月10日に記録した同地における観測史上1位の86センチに迫る降雪量となった(警報は10時40分に解除)。(2020年2月9日付け弘前経済新聞)

仕事の関係上、時々防災に関するお話をさせていただく機会をもらっているが、その時に必ず話すのが、「青森県で大きな災害が発生していないのは、単なる偶然」だということ。

11日には雪も収まり、晴れ間が顔を覗かせるようになった。何と今週はこのあと、最低気温ですらプラスとなり、最高気温が10度近くまで上昇する日もあるという。気候変動がどんどん顕著になっていることの一端だろう。だからこそ、にわかに防災に携わる人間として、今回のこの極端な豪雪と近年各地で降る大雨と、全く関連性がないとは思えない。

昨年前半は台風の発生頻度が非常に少なかったのだが、後半になると毎週のように台風が発生するという事態に見舞われた。やはり地球の気候は、かなりおかしくなっている。

喉元過ぎれば熱さを忘れるとはいうが、今回のこの豪雪に関して、一過性のことと捉えることなく、今後の備えへの教訓としてそして意識付けとして、ここに記憶しておこうと思う。

腰が壊されるかと思ったが、軽い雪でまだ良かったです…ハイ。


投稿者: のんべ

1971(昭和46)年 青森県生まれ。弘前市在住の青森県職員。 プリンスとビールと豆腐とラーメンを愛する。安いカメラでいかに安っぽくない写真を撮影するかに興味あり。 ブログの内容の多くは、いつの間にか趣味となった「走ること」がメインです。