タイム度外視の練習レース 第39回 #つくばマラソン (前編)

各地で相次ぐ大規模な災害。仕事柄、ここ数年は毎年のように何らかの災害対応をしなければならないという状況が続いている。練習不足の理由を仕事に押しつけるのはもってのほか、というのは重々承知だが、心身ともに疲労している中で、練習する気も起こらない、という日もあった。

実際、9月以降の練習量を月間の走行距離だけで見てみると、9月ですら150キロに及ばず、10月に至っては80キロ弱、11月も100キロ弱と、とてもではないがフルマラソンに出場するなんぞもってのほか、といった練習内容だった。10月の弘前・白神アップルマラソンでは、ペースランナーの分際で失速したのは先に投稿したとおりだったし、その直後に発生した台風19号を契機とする一連の災害では、本県の被害は大したことがなかったものの、東北地方でも福島県、宮城県、岩手県で大きな被害が発生し、その応援業務に追われることになってしまったことも、先に投稿してましたっけね。

そんな感じで、10月末に開催された「いわて盛岡シティマラソン」は応援業務で宮城県庁にいたため出場が叶わず(いや、出場しても散々な結果だったことでしょう)、今回のつくばマラソンもギリギリまで出場を悩んでいた、というのが本音。

結局今年は1月の勝田全国マラソン、8月の北海道マラソン以外、フルマラソンには出場していない。(ペースランナーを務めた弘前・白神アップルマラソンは別。)
昨年の状況を鑑みて、少し大会出場を自重したところもあったし、春にアキレス腱を痛めてしまったことも、結果として自分の士気を損ねる大きな要因となった。日頃のケアって、ホント大切。

実は昨年のつくばでギリギリのサブ3.5を辛うじてクリアしてから、一気にスランプに陥った感が否めず、その後約1年にわたってサブ3.5を達成していない。
この間、焦りがなかったといえばウソになる。しかし、マラソンは一夜漬けで何とかなるほど甘い物ではない、ということも重々承知。ということで今年のつくばマラソンでのサブ3.5は諦めることにして、まずは今自分がやれる最大のことをやってみよう、と気持ちを切り替えた。

そもそも今年は、30kmを越える練習をほとんどやっていないし、10月のアップルマラソン以降は、20kmを超える距離すらも走っていないという有り様。

だから、今年のつくばはまず結果度外視。30kmまでのペース走、それもキロ4分40秒という設定を組んでみることにした。
…いや、今の自分にはこれが限界なのですよ。両膝に痛みを抱え、未だにアキレス腱が疼き…ってまた言い訳になるのでやめます。

11月23日、勤労感謝の日。昼前に新青森駅を出発する東北新幹線で、一路上野へ。車内では、七戸十和田駅の手前で睡魔に襲われ、仙台を過ぎてようやく目が覚めるといった具合だった。ただ単に睡眠不足なのか、それとも疲れが溜まっていたのかは、定かではない。

15時前に上野に到着、明日のレースに向けて購入しなければならない幾つかのアイテムを求め、アメ横に向かう。
断続的に雨脚が強くなったり弱くなったりを繰り返している。明日のレースまでに雨も上がってくれればいいのだが…。
そういえば腹が減ったことをふと思い出す。事前にリサーチしていた上野駅近くの「麺屋武蔵武骨相傳」に足を運ぶ。昼間は大行列ができるほどの混雑と聞いていたが、さすがに15時過ぎということで難なく入店できた。

それでも、食べ終わる頃には行列が再びできていたのだから、恐るべし東京である。

上野からは常磐線に乗り、宿のある牛久を目指す。上野始発とはいえ既に混雑しており、1時間近くの立席も辛いと考え、初めて自由席グリーン券(800円)を購入して乗車した。
牛久駅に降り立つと、霧雨が降っていた。1台しか停まっていなかったタクシーを先客に奪われたため、結局宿までの約1.5kmを徒歩で目指すこととなった。
やはり眠い。宿に着いたのは17時過ぎだが、既に睡魔が襲いかけている。しかしここで寝てしまうと、一体何時に目が覚めるかわからない。
ごく軽めの夜食を部屋で済ませ、諸々翌日の準備をしながら、結局20時前にはベッドに潜り込み、そのまま眠ってしまった。

翌朝、目が覚めたのは4時30分だった。疲れが大分取れたような気がする。
カーテンを開けると、当然まだ外は真っ暗だったが、零れる外の灯りの中に、大きな水溜まりと雨粒が確認できた。

「やっぱり雨か…。」
シャワーを浴び、おもむろに食べ物を口へと運び始める。
今回は切り餅6つを、様々な副食とともに。
午前7時にはホテルの前から会場近くまで大会用のバスを運行してくれるということで、6時30分には全ての支度を終える。
まだ雨は降ったまま。そんな中で一人だけランパン姿でバスに乗車した僕は、少し奇妙だったかも知れない。

バスの車内でも仮眠を取る。会場近くに到着したのは7時30分頃だった。
バスを降りると雨は小降りになっていた。ここから筑波大のグラウンドを目指すのだが、グラウンドが雨で泥だらけになっているのは、火を見るより明らかだった。

荷物預かり所などがあるグラウンドに到着、全景を見渡して思わず閉口してしまった。完全に田んぼのような状態になっている。

既にランニングシューズに履き替えていたが、もはやどうにもならない。
おとなしく諦め、敷かれた鉄板の上の泥の中に足を踏み入れた。深みがなかったのは不幸中の幸い。しかし、気分はどんどん下降線を辿っていった。

弘前公園RCのIさん、Mくんと合流し、Mくんが用意してくれたシューズカバーとカッパを受け取る。
既にシューズは泥にまみれていたが、カバーを装着するだけでも気分は少し落ち着くというものだ。

しかし、この田んぼのような状況は、もはやどうにもならないのだろう。
泥の被害を最小限に食い止め、スタート地点へと向かう。ウェーブスタートのこの大会、今回も申し訳ないぐらい前列からのスタートとなるが、この優先権も間もなく剥奪される。

雨は相変わらず止む気配がなく、スタート10分前には嫌がらせのように雨脚が強くなった。もはや、気にしても仕方がない。

いよいよ9時、スタートの号砲が鳴らされた。多少揉まれることは予想していたが、スタートラインを踏んだのは40秒後のことだった。
【後編へつづく】