過去最悪だった夏季休暇のこと


大型で強い勢力の台風10号が日本に接近している。このままの進路を辿ると、西日本を縦断することは避けられない模様。

甲子園球場で行われている夏の全国高校野球は、15日の試合をすべて順延とすることを決定。JR西日本も、15日は山陽新幹線の大阪~小倉間の運転を見合わせる「計画運休」を発表し、お盆に合わせて帰省している人たちのUターンラッシュに大きな影響を及ぼすことになりそうだ。

毎年多かれ少なかれ台風は日本に必ずやってくる。ただ、今年は出足が鈍かった。海水温や風、その他の要因も重なり、台風の発生数が極端に少なかった。
それが8月に入ると、堰を切ったように一気に台風が発生した。

この先だってどうなるかは実際わからないし、9~10月にかけても台風がボコボコ発生するかも知れない。

私事だが例年、夏に沖縄本島を訪問するのが恒例行事となっているが、以前は9月中旬以降に訪れることが多かった。
理由は簡単、その時期になると台風のリスクがあるため、旅行代金がガクンと下がるからだ。

沖縄への旅行は料金体系が大きく分かれていて、AからG、下手をするとLぐらいまで細かく分けられているところもある。とりわけ今のこの時期は、夏休みということもあって相当料金が高くなる。

ここ最近は7月初旬、学校が夏休みに入る前に訪問する機会が圧倒的に増えているが、いざ足を運んでみると学校を休んで訪れている子供連れや、外国人観光客の姿も非常に多いので、季節を問わず年がら年中賑わっているのが沖縄だといってもいいだろう。今年は仕事の関係もあって7月の訪問を諦めたため、「お、遂に沖縄行きをやめたんだね」と思っている友人知人もいるらしい。

ちなみに最近は7月の台風でも沖縄地方を直撃あるいは接近するケースが多く、実際沖縄を訪問している時に台風がかすめていったことが幾度もある。更に、7月上旬は梅雨の終末期で、梅雨前線の影響を受けることもあり得る。昨年はちょうど梅雨明け直後の沖縄を訪問することとなったが、同時期に西日本で特別警報が発表され、各地で甚大な被害が発生した。

絶対安全だと言い切れる時期は冬、ということになるだろうか…。

今まで沖縄を訪問した中で一番悲惨だったのが、到着したその日の夜に台風の暴風域に入ったまま、滞在中一歩も外を出歩くことができなかったこと。これが過去最悪の夏期休暇となった。
確か沖縄を訪問するようになってから2度目か3度目のことだったと記憶している。

宿泊したホテルの玄関には、飛来物を防御するためのベニヤ板が打ち付けられ、チェックアウトする宿泊客以外は極力外出を控えるよう貼り出された。
ホテルの室内プールは退屈しのぎの宿泊客でごった返し、やがて停電までするといった状況。宿泊したホテルがどこかは今でもハッキリ覚えているが、何をしていたのかという記憶が全くない。朝を迎えたら、そこにあったはずのヤシの木が軒並みなぎ倒されていたという光景だけが脳裏に焼き付いている。

相当勢力の強い台風が沖縄本島に最接近するも、進む速度が「10km/h」から「ゆっくり」になり、挙句の果てに本島付近で動かなくなるといった状況で、ずーっと暴風域に入ったままだった。結果、沖縄地方と本州を結ぶ航空便は全て欠航となり、行き場を失った数万人の観光客が沖縄那覇空港内で運航再開を待ちながら、長い人では数日間寝泊まりするといった有様だった。

結局一歩もホテルの外に出ることなく迎えた滞在最終日。
ホテルから空港に向かう途中の道端には軽トラが横倒しになり、信号機が本来とは異なる方向を向き、電柱が倒れていた。

そんな状況を目の当たりにしながら空港に到着すると、足止めを食らい疲弊しきった夥しい数の観光客が、場所を問わず行き場をなくして座り込んでいた。
いつ運航が再開されるのか、いつになったら帰れるのかもわからずじまい。その中に僕らも加わることとなったのだが、出発予定時刻を6時間ほど過ぎた夕方6時、本島から本州へ向かう最初の便として僕らが予約していた航空便が出発するという幸運を掴んだ。
そういえば沖縄本島に向かう航空機も、僕らが搭乗した便を最後に欠航となったらしい。運がいいのか悪いのか…。
その頃はまだ、「旅行を諦める」という選択肢が頭の中になく、「とりあえず行けば何とかなる」という甘い考えしか持っていなかった。

結局何をしに行ったのかよくわからぬまま帰路に就いたが(旅費をケチろうと、夜行バスで弘前に戻ってきたため、浜松町でのバス乗車が超ギリギリとなり、夕飯にありつけなかったという悲劇もあった)、この出来事はのちに「台風体験ツアー」と自嘲することとなった。

そしてこの時の経験から、台風が接近している時は渡航を諦める決心ができるようになったし(条件付き運航の場合、事前に搭乗取りやめを申告しても、旅行代金は全額ちゃんと返還された)、出発の5日前から天気図や衛星画像をくまなくチェックするようになり、台風の卵がないか、そういった怪しいものが滞在中に影響を及ぼす可能性がないかをそれなりに読み解くことができるようになったのは、怪我の功名みたいなものだろう。

もう一つ得られたことは、この経験を機に、旅先でのリスク管理をある程度意識できるようになったということだ。天気に逆らわない、無理はしない、自然とは喧嘩しない。大体にして、我々が自然に勝てるわけがないんだから。

この他山の石が参考になれば幸いだが、明日は我が身。

明日最接近そして上陸するであろう台風に備え、最善の策が何かをよく考えて行動した方がいいと思う。自分の判断ミスを怒りや感情に任せて他人にぶつけるのは絶対にやめましょう。

だからここは割り切って、16日を休んで台風一過を待つ、という手段も選択肢ではないですかね?
…その業務、16日じゃなきゃダメなの?

とにかく今は、被害が発生しないこと、発生しても最小限にとどまることを祈るばかりです。


投稿者: のんべ

1971(昭和46)年 青森県生まれ。弘前市在住の青森県職員。 プリンスとビールと豆腐とラーメンを愛する。安いカメラでいかに安っぽくない写真を撮影するかに興味あり。 ブログの内容の多くは、いつの間にか趣味となった「走ること」がメインです。