富山に行って知ったこと

先日、急遽富山市へ1泊2日の行程で出張した。
富山市を訪問したのは2度目。前回は確か約20年前だったと記憶しているが、もはや何の出張だったのかも思い出せない。その時はまだ北陸新幹線が開業しておらず、羽田経由の航空機利用で富山に向かったこと、その際、まるで川の中に着陸するみたいで怖かったこと(実際、富山空港は河川敷に滑走路がある)、そして、何を間違えたのか予約したホテルが市内中心部ではなく、とんでもない郊外にあったこと。

あの時は富岩運河も訪れたが、それ以外の記憶が全くない。
誰と、何のために出張し、そして何を食べたか。

ということで人生二度目となる富山市出張、今回も超バタバタで実質の滞在時間は睡眠時間を含めて15時間程度。天気にも恵まれず、大した食にもありつけず、またしても苦々しい出張となってしまった。
合格できなかった第一志望の大学は北陸地方にあったし、石川県を訪れた時もいい思い出が一つとして浮かばない。どうも北陸地方は、僕自身にとって鬼門になっているらしい。

それはさておき今回の出張、移動に当たっては航空機ではなく東北・北陸新幹線を乗り継いだ。
新幹線での移動ならば…とモバイルSuicaで切符を購入したが、これが文字通り大誤算だった。

(1)新幹線の料金のこと
新青森駅から大宮駅までが14,710円、大宮駅から富山駅までが10,410円。北陸新幹線は、スーパーモバトクなる割引となっていた。計25,120円。

窓口で紙の切符を購入すると、新青森駅から富山駅までの乗車券が12,960円、東北新幹線の特急券が6,670円、北陸新幹線が6,240円。計25,870円となり、モバイルSuicaで購入した方がちょっとだけ安価となる。

帰路は何時の新幹線に乗車できるかわからなかったため、当日購入となった。結果、スーパーモバトクの適用がなかったため、北陸新幹線が11,580円、東北新幹線が14,710円で、計26,290円。紙での発券より高価となってしまった。

出張なので損得云々は別として、窓口で購入するよりモバイルSuicaの購入が高価になるのは計算外だった。

系統の異なる新幹線を乗り継ぐ場合は、モバトクの設定があるかどうかよりも、トータルで料金がどうなるのかをしっかり確認した方がいいことを学んだ。

(2)新幹線の編成について
気にする人はほとんどいないと思うが、今回乗車した新幹線はすべて車両の仕様が異なっていた。
往路の新青森から大宮までがH5系、大宮から富山までがE7系、復路の富山から大宮までがW7系、そして大宮から新青森までがE5系。
何かの暗号みたいだが、HがJR北海道、EがJR東日本、WがJR西日本所有の車両となる。東北新幹線、北海道新幹線の違いは、車体に描かれているラインの色が異なるので一目瞭然。
このうちH5系の編成はまだ車内Wi-Fiが整備途中で、実際僕が乗車したのも車内Wi-Fiの整備がされていない編成だった。

北陸新幹線のE7系とW7系、こちらもロゴマークの色に差異があるようだが、乗車した編成の会社が違うということに気づいたのは、提供している車内Wi-Fiサービスが、往路はJR-EAST、復路がJR-WESTと異なっていたから。ちなみに、東日本と西日本のエリアをまたいでも接続はされます(ただし、トンネル内など不感地帯多数あり)。
余談だが、乗車した「かがやき(東京~金沢)」の停車駅は上野、大宮、長野、富山のみで、JR東日本とJR西日本の乗務員の交代が長野駅で行われていたのもちょっと意外だった。越後湯沢で乗り換えて金沢を目指したあの日が懐かしい。(もう忘れたけど。)

(3)富山到着!…が、しかし。
さて、18時30分頃に富山へ到着、ホテルのチェックインを済ませ、外へと出た。梅雨明け間近を思わせる蒸し暑さが漂う。ちなみに今回は上司も一緒だったため、独り善がりの行動は慎んだ。が、とにかく一刻も早く喉を潤したくて、取り合えず目に飛び込んだ地元の小料理屋みたいなところに入ったが、これがまた選択ミス。

提供されるものが何とも中途半端だった。地元食材のものはほとんどなく、強いて言えば「この日初水揚げだったサンマ」ぐらい。ノドグロに白エビといった富山湾の恵みを授かることもなく、ササッと軽く一献済ませて店を後にした。

こういう店を選ぶセンスのなさも、今回の出張をつまらなくした要因なのだろう。基本的に知らない土地を訪れる際は、ある程度の予備知識を叩きこんでおくことが重要だ。
ホテルに戻ったあと、ふと思い立って富山駅構内にあるお土産屋に向かった。目についたもの、気になったものを数点購入。シャワーを浴びたあと、コンビニで購入したビールを飲み干す。

(4)富山のおみやげ事情
富山県と石川県が昔一つの県だったことを知る人は地元以外でどれぐらいいるのだろう。
さっき立ち寄ったお土産屋さんには、越中だけではなく加賀の名産がたくさん置いていたことを考えても、石川県と富山県って切っても切れない縁なのかな。

そこで見つけた富山名物「ますのすし」。富山を代表する駅弁だ。富山からやってきた父の商売相手の方が、いつもお土産としてこれを持参して下さったことを思い出す。小学生の頃だから、約40年前も前のことだろう。

今のご時世、全国の駅弁がどこでも買えるようになったが、地のものをその土地で購入するのは、流儀のようなものだ。ただ、あまり荷物にしたくなかったので今回は小丸という一回り小さなサイズを購入。懐かしい味を口にして、いろんなことを思い返した。

もう一つ目についたのが、おむすび用のとろろ昆布。そういえば昆布巻きのおむすびが富山ではちょっと有名らしい。そんな中、「富山のおむすび、ふりかけの定番 おむすびとろろ」なるものを発見、白と黒という種類も気になり、どんなものかと購入してみたら、原産地が北海道だった…。

(5)さらば富山、また来るぜ

せっかくだからせめて富岩運河まで朝ジョグでも…と目論んで早めに就寝、翌朝に備えたが、4時過ぎに起床すると、大粒の雨が降っていた。しかも、程なく大雨警報が発表されるというありさまで、結局朝ジョグも叶わなかった。
どうやら北陸にはとことん嫌われているらしい。

余談ではあるが、北陸地方は帰青した2日後に梅雨明け。どうやら梅雨末期の大雨だったようだ。
用務はあっという間に終わった。そういう用務なのだから仕方がないが、これだって大事な仕事。
無性に日本海を眺めながら帰りたくなり、敢えてA列の座席を確保した。北陸新幹線、立山連峰を望むことができるのはE列、日本海を眺めることができるのは、A列の座席となる。

…がしかし、富山を出発した直後に睡魔に襲われ、糸魚川の手前で目が覚めた時点では、既に車窓の日本海に別れを告げようとしていた。
とことん歯車が噛み合わなかったな…。苦笑しているうちに、新幹線は長野県境へと進んでいった。
また来るからな、富山。前回も今回も訪問したかったのに行けなかったところがある。何よりも、旅ランができなかったという悔いも残る。
…でも、次に富山を訪れるのは何年後になるのだろう。

(今回、画像が極端に少ないのは意図したことではありませんが、撮影する気も起きないぐらい疲弊していたことは、察してください。)