【山下達郎 PERFORMANCE 2023】0815北ガス文化ホール(千歳市民文化センター大ホール)

2023年の夏から秋にかけて18都市39公演を行うこととなった山下達郎のコンサート。2022年に行われたコンサートのうち、新型コロナ感染の影響で振替となった公演が今年の冬まで行われ、私自身も2月に盛岡市の岩手県民会館で振替公演を観てきた。

その時は、本人がちょうど70歳を迎えた直後の公演だったが、約3時間にわたる圧巻のパフォーマンスに感動を覚えた。

それからわずか5か月後から始まった2023年のツアー。まだ半年も経っていないとはいうものの、せっかくなら今年の公演も観てみたい。この殺伐とした世の中にあって、来年以降の公演があるかどうかだって、わからないのだ。

ところが残念ながら今回、またしても青森県内での公演はなし。仕方がないので週末や近県で開催されるコンサートを狙って抽選に申し込んではみたものの、先行、一般ともに全敗と相成った。色々世間を騒がせるようなこともあったが、チケット争奪戦には関係ないらしい。最後は、恨みっこなしで1枚しか入手できないキャンセル待ちに申込み。

これがまたそう簡単に当たるはずもなく、今回のツアーを諦めかけていたところに、何と8月15日に千歳市で開催される公演の「キャンセル待ち」に当選してしまった。

しかし、当選のメールが届いたのは8月10日。もともと14日15日を夏季休暇に充てようと休暇申請した直後の知らせに、正直泡を食った。休暇を1日延長したあと、11日は交通手段そして宿泊先の手配に勤しむこととなった。何せお盆休み、そして夏休みの時期なのだ。

青森からだと、新千歳空港まで航路で移動すれば会場のある千歳まではJRで二駅。

ただ、やはり時期が悪すぎた。札幌/千歳への空路は全て満席でキャンセル待ち。取れるかどうかわからないキャンセル待ちに気を揉むぐらいなら、いっそJRで移動した方がまだマシ。

辛うじて1席だけ残っていた札幌行の特急の指定券を入手し、往路の交通手段は確保。復路は、残席僅かのJAL便をゲットした。千歳市内の宿の手配も済み、千歳行きの手配は何とか終わった。

15日午前、いよいよ鉄路での移動を開始。

新青森駅。帰省を終えて戻る方の姿も多く見受けられました。

千歳市を訪れるのは、5年振り2度目となる。

5年前は北海道胆振東部地震が発生した直後、震度7を観測した厚真町へ被災地支援に入ることが決定した際に宿泊地となったのが千歳市だった。ただあの時は、水や電気、交通網などが大きな損害を受け、まだ復旧途上の最中だった。

あの時と同じように北海道新幹線で新函館北斗まで移動し、札幌行きの特急に乗り換える。

ただあの時と決定的に違うのは、特急を待つ乗客の大半が、今回は観光客だということ。5年前は、作業服を着た人やビジネスマンが圧倒的に多かったことを覚えている。

5年前、苫小牧から南千歳までは徐行運転のため自転車並みの速度で運行され、その区間だけで1時間近くを要したが、今回はわずか10分ほどで駆け抜けていった。

千歳駅。新千歳空港や帯広方面への乗換駅となる隣の南千歳には特急が停車しますが、ここは通過駅となります。

さて、弘前から3度の乗り換えを経て、ようやく千歳駅に降り立った私、5年前と変わらぬ光景に、当時のことを思い出しながら街を歩いていた。

気温は25度前後、半袖だと少し涼しさを感じるぐらいの風が時折吹いていた。

会場の北ガス文化ホール(千歳市民文化センター大ホール)は、前回宿泊したホテルに隣接していた。9日間滞在していたので、ホテル周辺の施設などは大体記憶していたが、この会場だけは全く記憶になかった。

会場の北ガス文化ホール。コンサートの翌朝撮影。

キャンセル待ちの当選ということで座席は全く期待していなかったところ、何と前から10列目、それもど真ん中という良席。更に会場のホールは、1,300人にも満たないキャパ。

これまで観た青森、岩手、そして愛媛(松山)の会場はいずれも2,000人を超えるキャパだったことを考えても、こんな小ぢんまりとした会場で彼のコンサートを観ることができるなんて思ってもいないことだった。

ちなみにこの会場でのコンサートは初めてだが、以前、RISING SUN ROCK FESTIVALに出演した際にリハーサルを行った場所なのだそう。

ツアーのポスター。このポスターの前には行列ができます。

そもそも、半年の間に2022年と2023年のツアーを観られること自体が幸運なこと。ただ、この二つのツアーでは劇的な変化が一つあった。それは、バンドの要であるギタリストが、佐橋佳幸から鳥山雄司に変更となったこと。個人的にはこのことが、かなり衝撃的だった。

2022年のトピックスは11年振りとなるアルバム「SOFTLY」が発売されたこと、2023年のトピックスは、デビュー直後のRCA/AIR時代のアナログ・カセット8作品が発売されたこと。とはいえ彼のコンサートではあまりそういったことは作用せず、好きな曲、自分が演奏したい曲を演奏するという姿勢を貫いているため、「初めて山下達郎のコンサートを観に来た人」にすれば、少々拍子抜けするような内容だったかも知れない。

7月に発売された新曲のデカジャケットが飾られていました。

ツアー中のコンサートはネタバレしないのが鉄則。なので、どういう内容だったのかは触れないが、これまで幾度となく足を運んだ中で、今回初めてコンサートで聴いた曲もあって、なかなか興味深い内容だった。

約3時間に及ぶコンサートを終わり外に出ると、初秋を感じさせるような風が吹いていた。

翌朝の気温は22度。気持ちよくジョギングしていたら、リスと鹿に出くわした。ああ、なんか北海道って感じだなあ。

千歳神社のすぐそばにいた、鹿。直前に道路を横断しておりました。

…しかしその1週間後、北海道全域に熱中症警戒アラートが発表されるなんて、誰が想像していただろう。いよいよ日本の気候変動も、大きな転換期を迎えているらしい。

(敬称略)