行政の備えも、万全に。


さて、この間の続きみたいな話をしたいと思う。

しかし、九州のほぼ全域が大雨特別警報に見舞われるという異常事態を見ると、防災は一体この先どうすればいいんだという、敗北感にも似た空虚な気分に苛まれる。

備えよ、とはいうものの、もはや備えも通用しないぐらい大規模かつ複雑な災害に対し、我々は一体どう立ち向かい、そしてどう向き合えばいいのだろう。昨今の災害を見ると、人間が今なせる全てをもってしても太刀打ちできない、そんな状況に陥っているような気がする。しかし、ここで打ちひしがれていても何も変わらない。小さなことでもいいからやれるべきことをやる。その積み重ねが、きっと次の防災に繋がると信じたい。

…ところで皆さん、宿泊を伴う出張や旅行で見知らぬ地を訪れた時、宿泊先での避難経路は確認されていますか。

たいていの人は、廊下の両端やエレベーターの隣に非常階段があるとか、そういった認識をされていると思う。そこまではよかろう。

…では、その建物から逃げ出した後に、どこへ向かいますか。

恐らく、ここまでの想定をしている人は皆無ではないだろうか。宿泊先の近隣の指定緊急避難場所、指定避難所を把握するところまでは気が回らないのが実情だと思うが、いかがでしょう。

そうそう、今日は行政がすべきことをお話ししようと思っていたんだった。

話題に出した指定緊急避難場所や指定避難所は、災害対策基本法に基づいて市町村が災害の種別ごとに定めることになっている。

ご存知の方も多いと思うが、実は今、新型コロナウイルス感染症対策として、避難所内での「3密」を避けることが叫ばれており、ソーシャル・ディスタンシングを確保しながら避難者を受け入れた場合、避難所が圧倒的に足りなくなることが見込まれている。

このため、先日の投稿で触れた在宅での避難や親戚、友人宅への避難、更には車中避難といったことまで提案しているというのが現状。

自治体としても、少しでも避難するための空間の確保を図るため、学校の空き教室やホテルや旅館の利活用、使用していない施設、これまで避難所となっていない民有施設の洗い出しを始めている。もちろんこれで全ての避難者を収容しうる空間が確保できるわけではない。

記憶に新しいのは、昨年7月の鹿児島市。

記録的な大雨に見舞われた鹿児島市が、市内全域に避難指示を出したのだが、対象となるのは59万人。当然、これらの人たちを全員収容できるだけの避難所は、当然のことながらなかった。

市としては、早めに危険を知らせ、身の安全を守るよう促す狙いだったが、結果として慌てて危険を冒してまで避難所に向かう人がいたり、避難所の定員を上回るほどの住民が集まってしまったケースもあったようだ。

前述のとおり、避難指示イコール避難所へ急げ、 ということではないことを、行政側から住民に対して、改めてしっかりと知らせる必要があるだろう。

(球磨川上流のハザードマップ浸水区域の水位は20m以上のところもある。)

もう一つは、治水対策。

 

昨今は治水対策の一環としてダムが整備され、実際にダムがあったから助かった地域と、ダムのせいで被害が甚大となった地域がある。

河川改修も、蛇行していた河川をまっすぐにしたり、川幅を広げたり。それだって○○年に一度の水害を想定して設計されているはずだが、もはやその想定を越える規模の水害が発生していること、更には災害復旧に当たっている最中に再び同じような水害に見舞われるなど、もはや既成の災害対応が通用しなくなっている。

個人的には、お年寄りなどの要配慮者が入居、利用する施設は、ハザードマップで想定される区域内に建設させないようにするべきだと思うけど、もはや乱立状態で手の打ちようがないのかな。

それから、うちはハザードマップを見ても浸水区域ではないから大丈夫だ!とタカをくくってもいけない。なぜなら、雨水が側溝から溢れたり、考えたくはないが、下水に雨水が集まり過ぎてマンホールが噴水状態になる、いわゆる内水氾濫を起こす可能性も否定できないから。

(岩木川のハザードマップ。市内を流れる河川の浸水区域が表記されていないことに要注意。)

しかしこうなるといよいよ、行政がすべきこと、行政がやれることが何なのかわからなくなってくる。

国土強靭化(「靭」のつくりは「刄」)が叫ばれて久しいが、法律で定められている地域計画を策定し終えた自治体は決して多くない(青森県内では9市町村のみ。)。義務規定ではないので、仕方ないのかも知れないけれど。

ちなみに国土強靭化とは、自然災害が発生するたびに、長い期間をかけて復旧・復興を図るといった繰り返しを避けるため、事後の対策ではなく事前防災・減災等の対策をあらかじめ推進することで、どんな災害が発生しても、被害を致命的なものとせずに迅速な回復が図られる強靭な地域を作り上げていく、というもの。(いかにも役所っぽい言い回しですいません。)

早い話が、事が起きる前に手を打つことを考えようぜ、といったところだろうか。南海トラフ巨大地震への備え、首都直下地震への備えも必要だが、それだけではないよね。毎年この時期に繰り返される豪雨災害、行政も住民も、もっと対策は打てるはず。

この先国土強靭化がどの道を辿るのかは未知数ではあるけれど、行政が及び腰になったら、住民を守ることはできないですから。そう考えると、まず強靭化すべきは、自治体の体質なんですかね。