浜田省吾に見る「青春」の残像

6月1日。青森市文化会館。浜田省吾のコンサートに妻と足を運んだ。僕自身、彼のコンサートを観るのは2度目のこと。前回は、僕の住んでいる弘前市で行われたコンサートで、あれから8年も経過していた(ちなみに青森でコンサートを開催するのは7年ぶりだそうだ)。

聞くところではチケットが入手困難で、Yahoo!のオークションでも相当な高値(数万円の値がついたとか)で取引されていたらしい。そんな僕らのチケットはといえば、妻の会社の同僚が都合で行けなくなったため、譲り受けたというものだ(もちろん定価で)。大体、浜田省吾が青森に来ることすら知らなかったのだから、そういう意味ではとてもラッキーだったといえよう。

客の入りは当然満席。僕らの席は2階席の中段、やや右寄りの席。
客層はといえば、これは後に明らかになったことだけれど、30?40歳代が圧倒的に多く、10歳代以下が1名、60歳代以上が2?3名、20歳代と50歳代もそれなりに、といった感じだった。初めて来たという人はあまり見受けられず、ほとんどがリピーターらしい。

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18時30分。開演時刻と同時に、舞台上のスクリーンに映像が流れる。揺れる緑の木々、水の流れ、日の光…非常に映像の使い方が巧みだというか、スゥッと吸い込まれていきそうな錯覚に陥る。
背後に聞こえてきた浜田の声。冒頭を飾るのは、「A PLACE IN THE SUN」!!
スティーヴィー・ワンダーのカバーだ。
まさかこの曲から始まるなんて全く予期していなかったため、早くも度肝を抜かれ、陶酔状態に。
その後も06年に発表された「The Best of Shogo Hamada」からの楽曲や、05年に発表された「My First Love」(名盤!)からの楽曲を中心に、新旧織り交ぜた圧巻のステージを繰り広げる。

若干長めのMC。前日に飛行機で青森に降り立った際、青森が「青い森(Blue Forest)」なんだということを改めて認識したという。海を見たいということで、ホテルに向かわず青い海公園に足を運び、二つのピラミッド(観光物産館アスパムと、その付帯施設)を見ながら、橋があることに気づいたという(青森ベイブリッジ)。
そんな地元ネタを織り交ぜながら、時に笑いを取りながら、ほのぼのとしたMCを終えると、「そのすばらしい椅子に座りましょうか」と、スローナンバーへと突入。椅子に腰掛け、じっくりと彼の歌声に耳を傾ける。

前半のハイライトとも言うべき、デビュー曲の「路地裏の少年」。
ステージ上に置かれたテーブル、カウンターは、まるで場末の酒場。浜田の格好はといえば、コートにベレー帽、そして抱えたギターケース。デビューしたての彼が、1曲聞いてください。そんな雰囲気を醸し出しながら、アコースティックギター1本で唄い始めた。もちろん会場大合唱。あ、僕も(笑)。

やがてステージ上が真っ暗になり、スクリーンに流れたのは、「A PLACE IN THE SUN」をモチーフにしたドラマ仕立てのショートフィルム(母親役で登場していたのは小泉今日子だった!)。
ショートフィルムが終わった約10分後、再びステージ上にメンバーが登場。実はこの時初めて気づいたのだが、ドラムが小田原豊(元レベッカ)だった!
初めて観る小田原のドラムに目を奪われながら、ステージを凝視。

僕が完全に叩きのめされたのは「J・BOY」。
仕事のあとに立ち寄ったため、ネクタイを締めたままの姿だった僕は、この曲に自分の姿を重ねながら、大合唱。そして、胸にこみ上げる熱いものを、グッと呑み込んだ。
本編のラストを飾ったのは「家路」。名曲中の名曲といってもいいだろう。

そして、「ラストショー」で始まったアンコール。当然大合唱。「ラストダンス」で締めた2度目のアンコールを終え、終演のアナウンスが流れたのが21時15分過ぎだった。

何故か僕は放心状態。54歳になる浜田省吾のパワーに感服。

ON THE ROAD 2006-2007
「MY FIRST LOVE IS ROCK’N’ROLL」

07.06.01 青森市文化会館
セットリスト

01 A PLACE IN THE SUN
02 光と影の季節
03 HELLO ROCK & ROLL CITY
04 この夜に乾杯
05 旅立ちの朝
06 あばずれセブンティーン
07 花火
08 ロマンスブルー
09 紫陽花のうた
10 路地裏の少年
11 ある晴れた夏の日の午後
〔ショートムービー〕
12 初恋
13 終りなき疾走
14 土曜の夜と日曜の朝
15 Thank you
16 I am a father
17 J.BOY
18 家路

アンコール1
01 ラストショー
02 MONEY

アンコール2
01 君と歩いた道
02 ラストダンス

「7年振りに青森にやってきましたが、次はちゃんと会えるのか、浜田省吾は大丈夫か心配だって?俺は次に青森に来たときに、みんなが大丈夫か心配だよ!」と笑い飛ばした浜田省吾。

1週間前に観た鈴木雅之が「大人のラブソングの歌い手」を自称するのであれば、浜田省吾は「永遠の青春の歌い手」といったところだろうか。

近い将来、「青春」という言葉が死語になるのではないかと僕は思っている。いや、既に死語の領域に入りつつあるのかも知れない。
きっとそのうち「青春」なんて言葉を口にするのも恥ずかしくなり、「青春」なんて言った日にゃ、若者から後ろ指を指されて嘲笑される、なんて日もやってくるのだろうか。

最近の浜田省吾の楽曲は、父親の目線で書かれているものが非常に多くなったような気がする。これも、彼が齢を重ねた証なのだろう。
この日披露した「I am a father」然り「花火」然り。
そんな中にあっても彼の楽曲は、やはり青春の一コマを唄ったものが実に多い。
コンサートに足を運んだ多くのファンは、彼の歌声を聴きながら、10代から20代に戻ったような気分になって、自分の中にある青春の残像を探す。やがて、彼の歌と自分の青春時代を重ね合わせ(もちろんそれはピタリと重なり合うものではないけれど)、そして若かりし頃の自分の姿を投影し、青春に浸ろうとしていたのだろうか。

僕?いや…青春を思い返すほどまだ年は取っていないつもりなので…(笑)。


どうでもいいことだが、今朝は下半身(股関節、臀部から太腿にかけて)が筋肉痛。すり足で歩く姿は、とても妙な姿、らしい。
54歳に負けていられないと一念発起、先日入手したブートキャンプに体験入隊。土曜日曜と2日立て続けで張り切ったまでは良かったのだが、ビリーおじさんの励ましに、まんまと乗せられた結果が、この態とは…。

2 thoughts on “浜田省吾に見る「青春」の残像

  1. イチゴ

    はじめまして、イチゴといいます♪
    トラバありがとうございました。
    青森レポ、いいですねぇ?。
    浜田省吾を知り尽くした方の目線と違って、
    とっても新鮮でした。
    今夜の記事でココを紹介させてもらいます。
    どうぞ宜しくお願いします。

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  2. nonvey

    イチゴさん初めまして。
    コメントありがとうございます。
    そうなんです。熱狂的なファンでないことは、コンサートがあることを知らなかった、という時点でバレバレですね(苦笑)。
    とても熱くなるコンサートでした。ただ、一歩引いた目で見るとこんな感じかな?といった感想を、生意気にも述べさせて頂きました。
    記事にも紹介して頂きありがとうございます。お陰様で、久しぶりにカウンターが壊れそうな勢いです(笑)。

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