【スケベ】な津軽弁

津軽弁と一言に言っても、都市部と山間部、田園部では全く発音や語彙が異なる場合がある。
だから、こんな地域間紛争も起こりうる。

「ネノ津軽弁、ナンボジャゴクセ喋ガダダバナ。ドゴノジャゴダバ。」
(お前の津軽弁って、実に田舎臭いしゃべり方だな。どこの田舎者だ?)

「ナニヘテラバ。ナノ津軽弁モサダデネネ、タナ。」
(何言ってるんだよ。お前の津軽弁も尋常じゃないんだよ!)

…えー。ドングリの背比べとでも言いましょうか、ハイ。結局のところ字幕スーパーは必要なワケでして…。
一方、世間一般で使われている言葉と津軽弁が、同音異義語として混同するケースが時々ある。今日はそんな究極の津軽弁を一つ紹介しようと思う。



【例題】

上京したばかりの青森娘と付き合い始めたM君。
東京のことをいろいろ教えてあげると言葉巧みに彼女を騙し、労せず彼女のアパートに転がり込むことに成功。

あとは性交に成功すれば…とニヤニヤしながら青写真を描くM君。
そんなことを知ってか知らずか、彼女がM君のためにリンゴの皮を剥いてくれた。

彼女の差し出してくれたリンゴをM君が一口頬張った瞬間、彼女が言い放ったのだ!!

「スケベ!?」

完全に魂胆を見透かされたと狼狽するM君。
さて、彼女がM君に言い放った「スケベ?」に包含される意味とは?

【解答】

M君に差し出したリンゴは、未だ熟していなかったリンゴだったため、酸味の強いリンゴではないか、M君の口に合うかと心配した彼女の口からうっかり飛び出した津軽弁。
つまりここでの「スケベ」は「酸っぱいでしょう?」という意味である。

ちなみに、津軽人の多くは「スケ」リンゴを好む。
また、実際に「スケベ」も多い。

すけべ ―べゑ 2 【助▽兵▽衛】【酸▽けべ】
(名・形動)
①〔「すき(好)」の転じた「すけ」を擬人化した語。「すけべ」「すけべい」とも〕好色な・こと(さま)。そのような人にもいう。助平(すけべい)。
「―な本」
②〔「け」にアクセントを置く発音で「すっけべ?」「すっけえべ?」とも〕津軽弁で「酸っぱいでしょう?」を表す語。酸っぱいを意味する「スケ」の疑問形。
「そのキムチだば、漬かりすぎで―?」

津軽弁の同音異義語としては、他に【カッパ】【ムッツ】【ワイハ】等がある。
ハイ。では今日はこれまで。

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