3/21→3121

3121
プリンス

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Princeの約2年ぶりの新作となる『3121』がようやく手許に届きました。今回のブックレットも分厚いですね。歌詞もしっかり掲載されていて、ちょっと嬉しいです。それにしても、久しぶりに2年待たされましたね。でも、前作『Musicology』がそれはそれは高評価で、事実ここ最近でも幾度となく聴いていましたので、それほど「待たされる」ことは苦痛ではありませんでした。 ところで。 ここ数年、ブログの爆発的な普及やいろんなお手軽日記が公開できるようになってから、CDに付してある「解説」の類は正直言って全く必要性を感じなくなりました(殊にPrinceの作品に関しては)。 実際この『3121』に関しても、既に大勢のファンの方々がいろんな評価を下しておりますで、こんな時期になってからこういった形でレビューを掲載するのはいささか抵抗があるのも事実ですが、そこは「今日が発売日」だということでご容赦頂ければと思います。


CDに書かれた「THE MUSIC」の文字に、この作品に対するPrinceの並々ならぬ自信というか意気込みが感じられます。

・3121
いきなり展開されるドロドロしたサウンド。この音の出し方って、どこかで聴いたことあるなぁ…と思いつつクレジットを見て納得。
Michael B.にSonny T.って「The Undertaker」の頃のメンバーじゃないですか?この期に及んで当時のメンバーを招集したとも考えがたく、恐らく「The Undertaker」の頃に録音した音源を利用したのかな?
それにしても何なんだ?この延々と続くディープなサウンド。New Power GenerationのTora Toraを彷彿させる声が被さっているような雰囲気だし…(と、この作品に引き込まれていく)。

・Lolita
ドロドロ転じてポップと成す…。
軽妙なシンセサイザーのサウンドは、「Soft and Wet」や「Pop Life」「Raspberry Beret」みたいな印象。要するに、とっても明るいんです。こんな軽快なサウンドも、久しぶりに聴いたような気がします。ノリのいいサウンドがまるで、「3121」に引き込まれてたどり着いた花畑みたいな明るい印象を強く感じました。

・Te Amo Corazon
ファンの間でも久しぶりに反応の割れた先行シングル。僕自身、シングルを初めて聴いた時は正直言って「ん?」といった感じでしたが、こうやって聴いてみるとアルバムにしっくり馴染んでいるように思えます。しかも、「Lolita」からの流れだと全く違和感がなく、むしろ非常に深みのある妖艶なメロディに聞こえるから不思議です。

・Black Sweat
ファンキーという一言で片付けることのできないドファンクな第2弾シングル。ファルセットボイスがこのアルバム、この楽曲にとって最高のスパイスを与えています。それにしてもこのアルバムの曲順は、これ以上ない組み合わせではないでしょうか。
しかしこの曲、ライブで演奏するのはよほどのアレンジを加えないと難しそうですね…。

・Incense and Candles
この曲はこれまでの彼の作品の中でもかなり「異質」じゃないかなぁ、という気がします。ボコーダーを利用した声の弄り方がこれまでにないと言いましょうか、何と言いましょうか。作品の中では、一番「今風」に感じられました。これを聴いた時の第一印象は、「これって…落ち目の頃の鈴木亜美みたいだ!」。

・Love
「Love」というタイトルが付いた曲は沢山ありますが、シンプルに「Love」とだけ唄った曲は今回が初めてということで、どんな曲なんだろうと興味を持っていたのですが、意外にもアップテンポでしたね。印象としては、『Lovesexy』の頃のサウンドの踏襲?何度も聴いているとクセになりそうなサウンドです。

・Satisfied
うん。いかにも「Princeらしいな」っていうバラード。前作『Musicology』に収録されていた「On The Couch」にも似た感じ。3分弱という短さもあってちょっと物足りなさもあるんですが、あまりまたズルズルと引きずる濃厚なバラードもちょっと困った感があるので、これぐらいがちょうどいいのかな。

・Fury
SNLで演奏された時には非常にウケのよかった曲。まぁでも、CDの音源を聴くとガッカリするだろうな、と思っていました(実際アルバムに収録されてみると評価は芳しくないみたいです…)が、そんな酷いというわけでもないような…。僕はこの曲、嫌いじゃないです。そんなに変じゃないと思うんだけどなぁ。まぁ、先にCDでこの音を聞いた後にSNLの演奏を目の当たりにするということであったならば、この曲の評価はより高められたことでしょう。CDだと恐らく、音が薄く聞こえてしまうからでしょうか。「Days Of Wild」のスタジオバージョンを聴いてちょっと失望した、みたいな。でも裏を返すと、この曲に限ってはライブ映えすること必至。この楽曲から想像するに、メチャクチャ盛り上がって「1999」へと繋がるという流れかな?

・The Word
Princeの自作自演による作品ですが、歌詞を見ると、ちょうど「Slave」と記していたTAFKAP時代にも通じるものがあり、ひょっとしたらその頃に作ったものなのかな?などと勝手に想像を働かせてしまいます。ラストに展開される「泣き」のギターがいいですね。

・Beautiful, Loved & Blessed
これも既に先行で発表されていた曲。SNLで演奏された時とはちょっと印象が異なりますが、こちらはむしろこの音源の方が耳に馴染みやすく感じられます。何度も何度も聴いたはずなのに、全く飽きが来ないのは「Black Sweat」と一緒。今後Princeが、ボーカルを取るTamarとどういった関わりを持っていくのかも、ちょっと気になるところではあります。Tamarの5月に発売されるというアルバムが楽しみです。

・The Dance
この曲も「既発」だということでしたが、実は今回初めて聞きました。ハイ。そういえば前作でも、NPGMCで先行発表された「Reflection」が収録されておりましたが、最近はこのパターンが常套手段化されてるのかな?
後半に盛り上がっていく雰囲気がいいですね。このアルバムでも「キモ」になりそうな曲です。

・Get On The Boat
ラストを飾るに相応しいファンクナンバー。『Rave In2…』に収録された「Pretty Man」や『Sign O The Times』の「It’s Gonna Be A Beautiful Night」にも相通じるところがあります。是非ともライブの締めくくりに聴いてみたいものです。これも盛り上がるだろうなぁ。最後まで続くシーラEのパーカッションの余韻が、実に心地よいです。

…と、ざっと聴いた感想を綴ってみましたが、結構他の人と内容が被ったりしているみたい(汗)。

で、『Musicology』との比較対象なのですが、これもハッキリ言って無意味でした。前作より凄い、という表現をされる方もおられましたが、僕に言わせれば「前作も凄いが今作も凄いよ」と。この作品も、恐らくキャリアの中で代表作にのし上がりそうな予感です。相変わらず「ハズレ」がありません。実にバラエティに富んでいます。何だかちゃんこ鍋みたいです。

21世紀に入ってからのPrinceは、何か吹っ切れたような名作名盤ばかりを輩出しているような気がするのは、僕だけでしょうか?『Musicology』と一緒で、何度聴いても飽きが来ません。しかも、聴くたびに印象がどんどん変わっていくというのも、これまた『Musicology』と一緒。えらい作品を出しちゃいましたねぇ、Princeさん!!

以前にも同じようなことを抜かしましたが、チャートでどういうポジションだとか何枚売れたとかはあまり気にしません。だってそれ言ったら、『Lovesexy』を高評価することはできないでしょう。そういうことです。いい音楽は中身で勝負!!って、もちろん売れるに越したことはないですけどね(笑)。

3 thoughts on “3/21→3121

  1. ちはる

    ほほう。
    実はまだわたくし、アルバムを手にしておりません。究極貧乏のため、お給料日がこないと買えないのです。
    そして、一曲一曲のレビューもnonveyさんのが初めてです。
    なので、とても興味深く拝見しました。
    実はわたくし、ミューコロはほとんどじっくり聴いておりません。
    あまり、心を揺さぶられなかった、というのが正直なところ。
    3121はどうなのかしら?期待ますます高まって参りました。
    素敵な、率直なレビューをありがとうございます!

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  2. おおすぎ

    土曜日の夜にキッドさんところで久しぶりにリスチャをしました。
    とても楽しかったし、いろいろな意見もあって勉強になりました。
    私的には3121、ロリータ、船に乗れが好きですね!

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  3. nonvey

    >ちはるさん
    あ、未だ手に入れていないのにこんなに書いちゃったら、楽しみを減らすようなものかな?ごめんなさいね!
    そうですか…ミューコロがしっくり来なかった、と。
    ふむふむ…。
    ええと、何となくミューコロっぽさもあるかも知れませんが、よりファンキーに感じられましたよ。それでいてバラエティに富んだ感じ。聴いた感想も後日教えて下さいね!
    >おおすぎさん
    リスチャも開催されたんですね。実はその時点では手許にCDが届いていなかったのです…。
    個人的には甲乙付けがたい曲ばかりが収録された作品なのですが、敢えて挙げるならBlack SweatとGet On The Boatはかなり好みの曲です。

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