Prince」カテゴリーアーカイブ

クロスオーバー・イレブンと「America」 #prince


2010年に制作されたにも関わらずお蔵入りとなり、昨年、突如発売されたPrinceのアルバム「Welcome 2 America」。発売直後に小恥ずかしいレビューじみた内容を投稿したが、そういえば僕がPrinceにのめり込むきっかけとなった曲のタイトルが「America」だった、ということを思い出しながら、ふと感慨に耽っていた。

Princeの名声と地位を確固たるものとしたアルバム「Purple Rain」の次に発表されたアルバム「Around The World In A Day」に収録され、85年にシングルカットされた「America」は、12インチの曲の長さが21分を超えるということで有名。曲調はといえば、延々と同じループが続き、そこにギターをはじめ色んな音が少しずつ被さるというもので、単調といえば単調なのだが、個人的には不思議なことにずっと聞いていられる音なのだ。

シングルのジャケットを飾るのは、アルバムジャケットの裏面に登場していた少年

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アナログ時代への回帰


僕にとって、音楽はなくてはならないもの。音楽を聴くことは、癒やしだったり、カンフル剤だったり、もっと突き詰めれば、服飾のようなものだ。
通勤時間はイヤフォンを欠かすことができないし、家にいる時も、ランニングに勤しむ時も、肌見離さず身につけている、そんな感じ。

朝起きて、朝食を食べて歯磨きして、シャツやネクタイの色を考えながら着替えて、いざ出発。
さて、今日は誰の音楽を聴きながら職場に向かおうかな…。
これが僕の日常だ。とにかく、僕にとっての音楽は、生活の一部ということに尽きる。

なぜか2枚ある12インチレコード。未聴。

この年齢になると何でもかんでも取りあえず聴き漁るということはなく、耳に慣れ親しんだものばかり聴くようになった。
その音楽を提供する媒体はCDであったり、ストリーミング配信であったり、サブスクリプションであったり、ダウンロード購入したデジタル音源であったりさまざまだが、いずれにも共通するのは、場所を問わず聴こうと思えばどこでも音楽を聴くことができる、ということだろうか。

いつどうやって購入したのか思い出せないレコードの一枚。

昨今のアナログ盤ブームは、ちょっと嬉しくもあり複雑な気分でもある。スピーカーをあちこちに配置して四方八方に音を鳴らす、という手法もあるのかも知れないが、レコードを聴くということは、レコードプレーヤーに乗せたレコード盤に針を落とし、じっくりと耳を傾ける、というのが正しい姿勢なのかな、と思っている。ドライブの時にレコードを聴きながら音楽を楽しむ…さすがに難しいことでしょうからねえ。

今までで一番購入するのが恥ずかしかったアルバム

ちなみに何で複雑な気分なのかというと、結構な量のレコード盤を自分の不注意ですべて毀損し、破棄に追い込まれるという大事件があったからだ。
今となれば相当なレア盤もあったはずだし、それなりに価値のある盤もあったはずなんだが…。
まあ、今となってはもう手元にないレコードのことを悔やんでも仕方がない。

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プリンスが語る平和的革命 「Welcome 2 America」 #prince #w2a


プリンスがこの世を旅立って5年が経過。
依然としてプリンスロスに陥っている人も多数いる中、何と「新譜」が発売されることがアナウンスされた。海賊盤のようなデモテープ起こしや、過去の未発表曲の寄せ集めなどではなく、正真正銘の「新譜」だという。
2010年に制作されながらお蔵入りとなったそのアルバムのタイトルは、「Welcome 2 America」(W2A) 。11年という月日が流れて、突如スポットライトが当てられることとなった。

プリンスが手掛け、この世に公式に発表されていない楽曲の数は数万曲とも言われており、今回のアルバムがほんの氷山の一角に過ぎないのは事実だが、それでも、これまで聞いたこともない作品が発表されたことは、素直に嬉しい。そして、過去のアルバムのリマスター盤に収録された、未発表作品集とはまた異なる趣、当時の世相や心境を強く反映したような楽曲で構成されている点、しかもそれが、今日においてもなお響いてくるということもまた、何とも心をくすぐる。

ところで、まず最初に思ったことは、なぜこのアルバムがお蔵入りすることになったのか、ということだった。流れからすると、2010年に発表した「20Ten」の次に発売されるかも知れなかったアルバム、ということになるが、プリンスが前作を踏襲した続編的なアルバムを制作することはこれまで一度も見たことがないので、「W2A」も「20Ten」とは全く異なる趣意で制作されたものだろう。ただ、「20Ten」にあったいい意味での軽妙さ(悪い意味でのチープ感)は影を潜め、全く異なる印象を抱く作品だ。
そこで考えたのは、このアルバムが社会的なメッセージをかなり強く打ち出したものとなったため、さまざまな影響(新たな敵を作るかも知れないリスク)を考慮し、お蔵入りにしたのではないか、ということ。あるいは単に、一気に台頭した音楽のデジタル化や、寡占が進む市場や社会に辟易してのことなのかも知れないが、真実は誰にもわからない。(プリンス自身が今は早過ぎると判断した結果、お蔵入りとなった、という説もあるが。)

プリンスは以前からインターネットやGoogle、Apple社などに対する批判を強くしていたが、このアルバムが制作された前後の頃と思しきインタビューでは、批判と皮肉を一層強めている。そして、この頃の音楽市場にうんざりしたプリンスは、レコーディングをしばらく自粛することにした、とも語っている。実際、「20Ten」の次にアルバムが発表されるまで、4年の月日を要することとなった。デジタル化に迎合し始めたレコード会社や音楽業界に対して、とことん嫌気が差したのかもしれない。

そういえば「20Ten」も当初は、レコード会社を通じたものではなく、紙媒体である新聞の付録として世に放たれたんだっけ。(ライブツアーの宣伝に一役買ったのも事実だが。)

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