ウォ?…ウォ?…イェスッ!!

今回の五輪で、唯一僕が期待を寄せていた女子カーリング予選が終わりました。結果は皆さんご存じの通り。
強豪カナダを実力で撃破すると、続くスウェーデンには敗れたものの「一番強い相手だった」と言わしめ、前回金メダルの英国には圧勝、格下ながら地元のイタリアには、最終エンドで相手のミスを拾う形で劇的な勝利を収め、最終戦のスイスに勝てば準決勝進出の可能性も…という淡い期待もありましたが、結果的にはカナダがデンマークに勝利したため、仮にスイスに勝っても準決勝進出は叶わなかったわけで…。最終戦では疲労蓄積が明らかで、スイスにもここ一番の実力をまざまざと見せつけられ、4勝5敗の予選7位に終わりました。


それにしてもどうでしょう。カナダを撃破したあたりから急激に注目度が高まったカーリング。道産子集団の「チーム青森」が、ここまで健闘するとは誰が思っていたでしょう。これからメダルの期待もあるフィギュアスケートなど残されていますが、僕の中では、このカーリングが終わった時点で何となく、嗚呼トリノ五輪が終るんだな…といった気分に駆られています(フィギュアファンの皆さんごめんなさい)。
恐らく、この五輪で一番注目度が高まった競技じゃないのかな。「氷上のチェス」とか言われている一方で、スポーツとして分類するのは抵抗がある、という人もいるみたいで、ダーツやビリヤードになぞらえる人もいるようですね(まぁ、それを言ってしまうと僕は「リュージュ」がスポーツとして分類されることに抵抗がありますが。笑)。
長野五輪でも、男子のカーリングチームが最終戦で米国と互角の戦いを演じるという試合をしていた(結局僅か数センチの差で負けちゃったんですよね)けれど、あの時以上の興奮がありました。
何がよかったって、実況解説の小林宏氏(長野五輪のカーリング競技委員長)による試合中の説明がとてもわかりやすかったし、なによりフェアだった。うちの母でも「カーリングのルールが何となくわかった」と言うんですから、相当理解しやすい解説だったのではないでしょうか。どうしても日本ひいきになってしまう中で、冷静に双方の戦い方、攻め方を説明する小林氏は、陰の立て役者だと思います。
それでも、カナダ戦に勝利した瞬間思わず涙声になった小林氏の声には、僕も思わずウルッと来てしまいました。また、イタリア戦での最終エンドの「絶叫」も、今後の「名場面」として取り上げられるのではないでしょうか。
並み居る強豪の中にあって対等に渡り合った日本チーム。興奮と感動を呼ぶって、ああいう試合を言うんじゃないかな。確かに最初の試合はミスが目立ち、自滅した試合もありました。最初の試合となったロシア戦。勝って勢いを!と挑んだところに第10エンドの落とし穴。一気に逆転され、敗北。それでも、決して本調子ではなかった米国に延長で競り勝ち、このまま勢いに乗るのか?と思いきや連敗が続き、もはや万事休すか?と思った直後の快進撃。
最後のスイス戦を終え、4人揃って記者の質問を受けていた時。スキップの小野寺さんが口を開くたびにポロポロと溢れる涙に、僕ももらい泣きしそうになってしまいました。
「最後は諦めたくなかったんですけど、勝利が不可能だと分かったら握手をするのがカーリングのフェアプレーの精神なので。そういう潔さも必要です。」
これ、何か凄く格好いいと思いませんか?「潔さ」って言葉が、ズシンと胸に響きました。諦めずに最後まで戦い抜いた姿は本当に感動的だったしそれでいて潔さも備え持つ。僕もいろんな意味で見倣わなければならないな、と身につまされる思いに駆られました。
よく考えてみると、9試合も戦ってその都度緊張を強いられる競技が、他にありましたか?準決勝進出への期待、その先に見えるメダルの陰。そんな重圧に耐えしのび、9試合を堂々と戦い抜いたカーリング女子チームに、僕は最大級の賛辞を送りたいと思います。
それにしても、こんなに興奮し感動する戦いが、たった4年に1度しか注目を浴びないなんて…ねぇ(笑)。
帰国したら、是非うちの職場を訪問してくれ(笑)。
(ちなみにタイトルは、ストーンを放ったあとに選手から発せられる声と、円の中心にストーンが寄った時の小林氏の声を表現してみました。シャンプーのCMじゃないっす。)
補足:長野五輪で男子カーリングチームのスキップだった敦賀さんは、何と現在北海道常呂町で漁業をしながら、次の五輪を虎視眈々と狙っているらしいです!恐るべしカーリング!!

ウォ?…ウォ?…イェスッ!!」への4件のフィードバック

  1. shuqoo

    いや、ホント、正直このオリンピックで一番見てて力の入ったのがカーリングでした。(まだ大会終わってないけど)
    チーム青森ってのを差し引いても、そうです。
    たしかに解説が良かったですね。ただただ期待をかけるコメントではなくて、冷静に試合の流れをちゃんと「解説」してくれてましたから。
    見てて思ったのは、ストーンでまっすぐしか行かないと思ってましたが、曲げれるんじゃん!って。
    自分でカーリングやったら、五輪選手の凄さがわかるかもしれません。

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  2. nonvey

    小林さんの解説は、どう攻めたらいいかということだけではなく、どう守ったらいいかということも含めて、かなり中立に近い解説でした。イギリスの試合でイギリスの選手がミスした時も、それを単に喜ぶのではなく(民放系だと間違いなく相手を腐しつつ喜んでいたことでしょう)、そのプレーがどれほど大変なことかってことを力説していました。カナダチームを最後まで米国と言い間違えたり、時折混じる長嶋チックな英語が気になりましたが(「ベリー・インポータント・ショット」や「最高のベスト・ショット」など)。
    でも、ああいうフェアな精神って凄く大切だと思いました。
    そうそう、チーム青森も練習しているという合浦のスポーツ会館に行けば、1時間90円の使用料と全ての用具貸出し(有料)でカーリングが楽しめるらしいですね。
    3月までらしいですが、機会があったら今度行ってみますか?

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  3. ちはる

    いや?、はまりました、カーリング!
    ストーンを投げる時のあの真剣な眼差しが素敵♪
    ほんと、小林氏の解説のおかげで随分カーリングのルールわかるようになりました。
    カーマリング、フリーズ、ダブルテイクとか用語も結構覚えたし。
    アナウンサーも知ったかぶりしないで、小林氏に聞いていたところが良かったです。
    小野寺さん、すごかったな?。
    小林氏曰く、
    「これは日本のカーリングの将来を決める大事なショットです。」
    ってのも、ばっちり決めてたものね?。
    ちなみにわたしの高校の後輩は控えの寺田さんの様です。
    寺田さんのショットも見てみたかった。

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  4. nonvey

    うちの後輩に当たる人は弘前大学人文学部3年の目黒さんです。もちろん存じ上げませんが、学部も同じところです。
    他人事ではありますが、単位は大丈夫なんだろうか?とちょっと心配に(笑)。
    初めのうち小林さんの解説は「ちょっとそれは大げさでは?」と思うところもあったのですが、それがまた結構的を射ているんですよね。
    「将来を決める大事なショット」…カナダ戦、スウェーデン戦、イギリス戦でも聞いた記憶が(笑)。でも、今になって考えるとあれは確かに大事なショットだったと思えてきます。小野寺さんは前半調子が悪かったけれど、ミラクルショット連発のカナダ戦で完全に吹っ切れた感がありましたね。
    手許でちょっと回転を加えるだけで、ストーンをあんなにコントロールできる彼女たち。まさに「ローリング・ストーンズ」といった感じです(違)。
    2007年3月には「世界女子カーリング大会」が青森市で行われることが決まっていますので、トリノのカーリング熱がそれほど醒めなければ、今度は青森が再び熱くなるかも知れません。是非とも生であの興奮・感動を体感したくなりました。ハイ。

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