綾戸智絵 CONCERT 2005 (青森市文化会館)

2005.05.29 青森市文化会館 16時開演
Members:綾戸智絵(vo,p)、宮野弘紀(g)
今までいろんな人のコンサートを観てきたが、16時開始というのは初めてである。日曜日だから?それとも最終便に間に合わせるため?
約1年ぶりとなる綾戸智絵の青森公演。前回はそのパワーに圧倒されっぱなしだったが、免疫が出来ているので、今回はゆったりした気分で楽しむことが出来そうな予感。今回の座席は前から19列目、右端だったので、2階の様子を窺い知ることは出来なかったが、当日券も販売されていたところを見ると、前回ほど勢いはなく(それは前回よりもチケットが500円高いということ、一度観たからもういいや、という人がいたからだろう)、前売りは結構余っていたようだ。
(以下ネタばれ含む)


帰り際、セットリストを掲示していたのを撮影し忘れたため、前後している可能性あり。ご容赦を。
第一声は「ワイハ!」でスタート。
開演時刻となると、1階は9割9分の座席が埋まっていた。今回も棟方志功の画が描かれた緞帳は下がったまま。5分過ぎに会場の灯りが全て消え、ジャーン、というピアノの音と同時に幕が上がる。真ん中にピアノが置かれ、綾戸一人が座っていた。他にセットらしいセットはなく、ピアノの脇には、恐らく後ほど登場するのであろう、ギター担当の宮野氏のための椅子がポツリと置かれてある。
Amazing Grace、Tennessee Waltzと立て続けに唄うと、ピアノから離れ、マイクを手にいきなり「ワイハ!」と手を上げる。老若男女で埋まった会場が沸く。
市内にある焼鳥屋(堤町・やまがみ)で昨晩焼き鳥を堪能したこと、八戸から青森までの電車の中で、乗客の会話が全く理解できず、異国に来てしまったような気分に駆られたことなど、彼女なりの話術で巧みに観客を惹き付けていく。
カチャクチャネェ!
「なぁ皆さん、カチャクチャネェって、にホンマに言うん?」
綾戸が真顔で尋ねる。会場が笑いに包まれる。笑った人はきっと、カチャクチャネェを使ったことがあるのだろう(もちろん僕も笑った)。
再びピアノに座り、20年ぶりにコンサートに足を運ぶ夫婦という設定で、おなじみのWonderful Tonightを奏でる。
津軽弁で言うところの「カチャクチャネェ」というのは、「煩わしい」といった意味だろうか。
このフレーズが気に入ったらしく、「ワイハ」とともに曲間に織り交ぜていく。
そして、会場の観客を巻き込んでのEverybody Everywhere。
これも前回のツアーで既に織り込み済みのお客さんには何の抵抗もなく受け入れられ、恥ずかしながら「You Say」の掛け声が飛ぶ(僕は黙っていたけど。笑)。
イタコの降霊
何を言っているのかわからなかったという乗客の会話から、話は恐山のイタコのことへと進む。地元では笑い話の一つになっている「ジョン・レノンの降霊」。イタコに憑依したジョンの霊が、降霊を依頼した人に「夫婦仲良く元気に過ごしなさい」と日本語で語った、という話。
そんな話から「霊(レイ)」繋がりで、Georgia On My Mindへ。
個人的には一番盛り上がった場面。
The Sound Of Silenceも、素敵だった。
次はアンコールですよ
「最後の曲、というと皆さん、一斉に時計みなはる(笑)」
ギターの宮野さんを迎え、2曲歌い終えた後だった。
ふと時計をみると、まだ17時45分。アンコールにしてはちょっと早すぎるんじゃないかなあと内心思ったが、最後の曲を歌い上げる。
「お客さん!帰ったらあきまへんで!次はアンコールですから(笑)」
会場が拍手に包まれながら、彼女がステージから消えた。
一番苦労したコラボ
本編とアンコールのインターバルは極めて短く、最前列のお父さんがトイレに行ったまま戻ってこない。程なく戻ると、綾戸はお父さんをネタにまた爆笑の渦へと巻き込む。
自分の母親、そして息子の話。ちょっと最後のネタとしてはヘヴィだったかも知れない。何せ3人が共通に話せる話題がお葬式だというので。
で、いろんなコラボを経験したが、中でもSMAP中居のコラボ(笑)が一番苦労したという話を披露。そして近日中に、NHKにおいて彼女が出演したあるコラボの番組が放映されることを話し、ラストは「夜空ノムコウ」で締めた。
正直、もう少しサプライズがあるのか?と期待していたが、前回同様緞帳が下り、終演。そしてまた、彼女のアナウンスによる「終演コール」が会場に響くと、その日一番の笑いと拍手がドッと起きた。時計を見ると18時10分。きっかり2時間で終わってしまった。
夜空ノムコウを聴き終えた後で、すぐ外に出ると、まだ夕日が差し込んでいた…。
他のアーティストなら、これからライブを楽しむ、という時間だけに、正直ちょっと拍子抜けした。
所感
ピアノ一本で勝負に来ました、といった雰囲気。派手なライトアップも演出もないのが、彼女と観客が対峙するのにちょうどいい感じの雰囲気である。客層は相変わらずバラバラで、恐らくその中でコアなファンというのは、結構少ないのではないかと思った。特に前列に陣取る客が、どうも関係者っぽい雰囲気があって、逆にそのことが僕の気分を損ねた。それでも客は彼女の一挙手一投足を凝視し、「早よ喋らんと、唄え〜」と光線を送っていた。
もう一つ気分を損ねたこと。「青森」と唄うところを「盛岡」と言っちゃったんだよね。もちろん故意ではないにせよ、地名間違えたら拙いよなぁ。と醒めた目で観てしまった。
チケット価格が前回より500円アップの7,000円でも、これだけの集客力があるというのは、それだけやはり彼女の人気が衰えていないことの裏付けだろう。
ちなみに10月には八戸市での公演が決定したそうだ。ツアー不況といわれる昨今にあって、青森県内で同年に2度も開催するとは、演歌歌手並みである。恐るべし綾戸パワー…。

5 thoughts on “綾戸智絵 CONCERT 2005 (青森市文化会館)

  1. こう

    綾戸智絵のコンサートって面白いですよね
    私も去年見に行きましたが
    あのトークが無かったら、お客さん少ないかもと思うくらい楽しかったです。
    セットリスト覚えてるなんてスゴイ。

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  2. nonvey

    >こう さん
    彼女の場合、歌より話を楽しみにしている客も多いのかな、とか思っていました。コンサートというより漫談観ているような気分なんでしょうね、きっと(笑)。
    セットリストは、途中と最後は覚えていますが、中間が曖昧です。でも、帰り際出口の脇に演奏曲が貼られていたんですよ。それをちゃんと見てくればよかったなぁ、と今更ながら思ったりして。
    >Gunnie さん
    ピアノの上に津軽弁が書かれてあると思しきカンニングペーパーみたいなのが置いてあって、それを見ながら唄っていました。でも、アドリブで言い慣れない津軽弁を入れるんだから、さすがプロですね。発音は結構微妙だったけどね(笑)。

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  3. mash

    綾戸さんは、その土地その土地の話題を、
    アドリブ風にうまく取り入れる所が凄いと思います。
    中居くんとのコラボ、
    テレビでやってのですよネ、みたの覚えてます。
    苦労してたんですネ・・・苦労を感じさせないさりげなさで、
    見事にあの中居くんと素晴らしいワンフレーズ歌ってました。

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  4. nonvey

    mashさん
    そうそう、確かにあの地元ネタを持ってくるのはうまいと思います。今回も青森市民しか知らないスーパーの名前とか引っ張り出していたし。ただ、シチュエーションが前回と一緒だったんですよねぇ。新聞取って、代わりにチケット貰って。あれって、十八番なんですかね?
    金スマは僕も観ました。確かにあれは大変そうでしたよね(笑)。

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