御用納めと悪しき慣習

いわゆるお役所関連は、今日28日に御用納めを迎え、年が明けた4日に御用始めとなる。他聞に漏れず我が職場も御用納めの準備で、今朝から何かと気忙しい時間を過ごしている。とはいえ自分の業務とはほとんど関係ない、「職場から排出された可燃ゴミの運搬」や、親交会から出される昼食の取りまとめといったことばかり。まぁ、御用納めといっても我々の仕事は年度単位で動いており、特段何があるわけでもなく、実際ある職場にいた時は、「除雪当番」が割り当てられ、正月の元旦早々に出勤したこともあった。そう考えると、御用納め御用始めで計6日間も休む必要があるのだろうかという疑問もある。むしろ、「お盆休み」と同様に年末年始の休暇も選択制にしてみる、というわけには…いかないか。人数の少ない職場だと、それだけ課員への負担が増えることになるし…。


さて、まだ時効成立とはならないだろうが、今から約10年前の話の内情を暴露しようと思う。ちょうど僕がこの仕事に就いてまだ1年目か2年目の頃の出来事。その頃の御用納めは、いわゆる窓際に座るお偉方が、テレビを通じて行われる知事の挨拶が終わり、職場内でのセレモニーも概ね終わると、一室(大体は職場のトップの部屋、出先機関でいうところの所長室など)に籠もって酒を酌み交わす、ということがあった。今思えば勤務時間、それも公務を執行するという場所で行われている「酒盛り」である。全く理解に苦しむわけだが、過去数十年に渡る「悪しき慣習」が「常識」としてまかり通っていたのも現実である。普段から声の高い(というか声のうるさい)次長が、酔っ払って所長室からけたたましく笑いを轟かせ、周囲の顰蹙を買った挙げ句の果てに、終業のチャイムとともに、真っ赤な顔をして部屋から出てきたことは、今でも印象に残っている(もっとも、その時酒盛りをしていた人たちは、とっくに退職したが)。
ある年、一住民からの新聞への投書をきっかけに、ピタリとその慣習が排除されることとなった。今日では「リンゴジュース」で乾杯し、質素に、そして簡素にお互いをねぎらうというのが通例となっている。普通で考えれば当然のことだが、勤務時間に飲酒するなどもってのほかなのだ。会社ならクビになってもおかしくない。ところが、その常識外れなことが「御用納め」という冠を拝した時に「慣例による常識」になるのだから、公務員の感覚はちょっと麻痺していると思われても仕方ないのかも知れない。
年末年始の挨拶は必要だと思うけれど、正直言って「御用納め御用始め」という区切りも、社交辞令のように交わされる年末の挨拶も、何だか単なる形式ばったイベントじみていて、あまり好きではない。
しつこいようだが、御用納めといっても、仕事に区切りがつくわけでもなく、これから年度末にかけて多忙を極めることとなるのだ。
でも、今晩の飲み屋は、どこもかしこも同じような人種で溢れかえることだろう(私もその一人ですが…)。また、かつてのように「練習」と称して、御神酒を飲み出すバカがいなければいいが(いたら事件だけど)。

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