僕が勝手に選んだ今年の1枚

CD不況の時代と言われる昨今。邦楽では、遂にミリオンセラーは登場しませんでした。12月に入り、オレンジレンジの「花」の出荷枚数が100万枚を超えたそうですが、年間のカウントは11月末までとなっているため、今年のミリオンにはならないんだとか。
ただ、その一方でDVDの売上げが伸びたり、いわゆる「着うた」のダウンロードが飛躍的に伸びたりと、音楽の媒体そのものが変わりつつあり、音楽業界が「冬の時代」に突入しているとは言い切れないところもあるようです。
さて、今年もいろいろCDを購入しましたが、かつての枚数と比較すると大幅に減っています。それは、自分の趣味嗜好に照らし合わせて購入するCDを見極めたということもありますが、やっぱり何だかんだ言いながら「聞きたい音楽があまりなかった」というのも事実。そういう意味では、僕にとっては必ずしも音楽に恵まれた一年とは言い難い年であったのかも知れません。
思えば一昨年まではベスト盤がブームでした。昨年から今年にかけては、カバーブームが訪れました。特にこのカバーに関しては、セルフカバーはもちろん、特に70〜80年代の楽曲をカバーするというケースが多く見られました。それだけ70〜80年代の楽曲が素晴らしいというのもありますが、裏を返せばやっぱり今の楽曲が、今ひとつ不作だということなのでしょうか。
で、今年の1枚。洋楽邦楽それぞれ一枚ずつチョイスしました。大体想像はつくと思いますが…。


佐野元春 『THE SUN』

THE SUN (初回生産限定盤)
4年半ぶりとなるオリジナルアルバム。ここ数年は、20周年記念盤の発表や「SOMEDAY」「VISITORS」のリマスター盤の発売(個人的には、時期が来たら『Cafe Bohemia』もリマスターして欲しいと、今から期待を寄せています)、更にはスポークンワーズと題した「朗読風ライブ」アルバムの発表が続いていただけに、久しぶりのオリジナルアルバムに心躍りました。妙に落ち着いたなぁというのが最初聴いた時の印象。がむしゃらに駆け抜けるロックンロールというよりは、そんなロックンロールを聴いて育った大人が、どんな日常を送っているのか、といった感じ。気の利いた評価は出来ませんが「大人のためのロックンロール」とでも言えばいいのでしょうか、歌詞にとても温かみを感じるのです。それがまた妙に心地よく、良質の「ロックアルバム」に出会ったような気がします。
ツアーを観ることができないのが極めて残念!
次点:岡村靖幸『Me-imi』、吉川晃司『20th Anniversary Self Cover Best Album「THANK YOU」 』
Prince 『Musicology』

Musicology
僕がPrinceファンだということを差し引いても、このアルバムにはちょっと感激しました。彼自身のここ数年(いや、90年代以降?)の作品では、一番輝いているアルバムだと思います。折しも彼自身にとって、最大のヒット作となった『Purple Rain』の発表から20年という節目の年ということで、何かと注目を浴びる機会はあったのですが、そんな過去はともかく、今の僕を聴いてくれよ、そんな「押し」を感じる一枚でした。また、本作からの楽曲が、グラミー賞の最優秀男性R&Bソングそして最優秀男性POPソングなど計5部門にノミネートされたことは、決して「功労的」な意味合いではなく、彼の音楽の幅の広さ、懐の深さを表しているのではないかと思います。かといって、作品そのものが決してごちゃ混ぜというわけではなく、これまでの作品とは一線を画したような、実に人間臭いアルバムといった印象なのです。以前であれば、金切り声を上げ、上半身裸で跳ね飛び回る彼そのものに対する嫌悪感(気味悪さ)が大勢を占めていたわけですが、今はそういった印象もかなり払拭されているように思えます。そのことが、本作への高い評価に繋がっているとも言えましょう。今となっては、リスペクトされる側へのアーティストとなったPrince。これからも多大なる影響を与え続けて行って欲しいものです。
次点:なし
来年もいい音楽をたくさん聴きたいものですね。

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