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SEA BREEZE 2016 / 角松敏生

角松敏生、今昔物語。

1981年のデビューアルバム「SEA BREEZE」、その当時の音源をリマスターしたものに、35年後の「今の声」を再録音して被せるという手法で、新たな息吹が吹き込まれた作品が、先日発売された「SEA BREEZE 2016」。
実はこのアルバム、僕が率先して購入したのではなく、妻から頼まれて購入したもの。

seabreeze2016

記憶を辿るとこのアルバムが発売された頃は確か、AORが隆盛を極めていて、国内でもシティポップと呼ばれるサウンドが好まれていた時代…だったような。といっても僕、まだ10歳なので音楽に対する興味はまだ芽生えていなかったんだけどね。
単なるリマスターでもなく、単なるセルフカバーでもなく。リメイクという一言で片付けるには、あまりにももったいないアルバム。(オフィシャルHPでは「リミックス」としていますが。)

初回限定盤は、ファンにお願いをしてかき集めた未聴のアナログ盤を、マスター型レーザーターンテーブルで再生、収録し直した高品質CDとの2枚組という内容になっているため、1981年当時のアルバム(CD)をお持ちであれば、都合3度このアルバムを楽しむことができる、ということに。

一見するとかなりマニアックというかコアなファン向けの仕様になっているような気もしますが、今の時代に蘇った当時の音源は、当然のことながら古さを全く感じさせず、更に55歳となって円熟味を増したボーカルも相俟って、新譜を聴いているような感覚に。

何せ参加ミュージシャンが凄い!村上“ポンタ”秀一、後藤次利、清水信之、佐藤準、鈴木茂といった錚々たる顔ぶれですので、それだけでも聴き応えは充分。…というか、今このメンバーをそろえて再録音なんかしたら、センセーショナルな話題となるかも知れません。もっとも、今回こういう作品を発表するに至った伏線が、「ボーカルが気に入らないから」ということらしく、既に超一流ミュージシャンによって手掛けられたバッキングトラックがあるわけですから、あとは今の技術によってそれに磨きをかければ、35年後になった今も全く色褪せないサウンドができあがる、というわけ。

デビューしたての若造になんか好き勝手なことはさせない、と言われたかどうかは知りませんが、いろいろ自分の思い描いていた形にならなかった、という不本意もあったのでしょう。途中約5年間は「凍結」と称して活動を休止していた時期がありますが、35年を経て相応の地位を確立した今だからこそ、原点回帰というわけではないにせよ、敢えて過去の自分の作品と対峙したうえで、当時できなかったことを今改めてやってみたんだと思います。その一つとして、今の彼のボーカルを被せることで、前述のとおり単なるセルフカバーにとどまることのない、全く新しい豪華な作品が完成。

そして、今回のマスタリングにより新たに引き出された音もあるようで、実際に聴いてみると厚みのある、全く古さを感じさせない内容に仕上がっています。音の広がりも素晴らしく、なるほどこういう手法もあるのね、と思わず感嘆してしまいました。

一時期は何かと言えば他人の楽曲のカバーか録り直しのセルフカバーばかりで食傷気味でしたが、こういう形で古いものに新たな息を吹き込むのは、とても斬新だと思いました。彼はこれまでも、大なり小なり業界に対して一石を投じてきていましたが、別に最新の音を追いかけなくても、今の技術があれば過去の作品だってこんなに立派に仕上がるんだぜ、ということを言わんばかりの「問題作」。

これもある意味、今後の音楽のあり方というか一つの方向性を示した作品であることは紛れもない事実だと感じます。
ファンの方々から、同じ手法での過去の作品の再発表を望む声が上がっているのも、なんとなくわかるような気が。

DEBUT AGAIN / 大滝詠一

予約注文してまだ届いていないアルバムの音源が、そのアルバムを聴く前なのにラジオなどで流れた時、無性に腹が立ちませんか。…あ、僕だけですかね。
先日、たまたま車中でラジオを聴いていたら、大滝詠一さんが唄う「熱き心に」が流れまして、思わずラジオを消したという…。

2013年12月、今年ももうすぐ終わるよ、という時期に流れた大滝さんの訃報に、少なからぬ衝撃を受けたのは僕だけではないはず。
その後、追悼の名のもとに何らかのリリース・ラッシュが続くことは容易に想像できたけれど、思ったほどではありませんでした。没後1年を迎える直前に発表されたベスト盤(ご本人の構想のほか、ご遺族の意向もあったそうです)、40周年を記念した作品のリマスター盤。まあ、そうだよね、とは思っていましたが、ひょっとしたら…と淡い期待を抱いていたこんなアルバムが本当に発売されるとは思ってもみませんでした。

大滝詠一、奇跡のニューアルバム「DEBUT AGAIN」の発売が決定!

32年ぶりのニューアルバムには、松田聖子に提供した「風立ちぬ」や小林旭に提供した「熱き心に」、薬師丸ひろ子への「探偵物語」等、他者への提供曲、プロデュース作品を大滝自身が歌唱したバージョンを収録。
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端的に言えば、「セルフ・カバー」アルバムということなのでしょうけれど、ご本人は生前、この「セルフ・カバー」だけは絶対に出したくないと、盟友でもある山下達郎さんのラジオで話していたらしく、何でこういった音源(それも仮歌ではなくちゃんとスタジオで録音した音源)が残っていたのかは、謎らしいです。
まあそれでも、こうやって日の目を見ることが、ご本人にとっては非常に不本意なことなのかも知れませんが、聴き手側からするととてもありがたいことだな、と思った次第です。
ちなみにどれもこれも一度は耳にしたことがある曲ばかり、それも歌謡曲からアイドル、更にはアニメ主題歌までと非常に幅広いジャンルを網羅しており、そういう点では、こんな言葉で表現するのがホント失礼かも知れませんが、大滝さんはまさに「時代の寵児」だったのでしょう。
通常盤は以下の10曲が収録。( )内は、オリジナルを唄ったアーティスト。
1 熱き心に(小林旭)
2 うれしい予感(渡辺満里奈)
3 快盗ルビイ(小泉今日子)
4 星空のサーカス(RATS & STAR)
5 Tシャツに口紅(RATS & STAR)
6 探偵物語(薬師丸ひろ子)
7 すこしだけ やさしく(薬師丸ひろ子)
8 夏のリビエラ ~Summer Night in Riviera~(森進一)
9 風立ちぬ(松田聖子)
10 夢で逢えたら(Strings Mix)(吉田美奈子など)

初回限定盤は2枚組で、DISC 2には以下の4曲を収録。こちらは洋楽カバーがメインとなっています。
1 私の天竺
2 陽気に行こうぜ~恋にしびれて(2015 村松2世登場! version)
3 Tall Tall Trees ~ Nothing Can Stop Me
4 針切じいさんのロケン・ロール(植木等)

ボーナスディスクも含めると収録時間は約1時間1分ですが、もの凄く聴き応えがあります。
ボーナスディスクに収録された「陽気に行こうぜ~恋にしびれて(2015 村松2世登場! version)」は、以前このブログでも紹介した「佐橋佳幸の仕事 1983‐2015 Time Passes On」に収録されているものと同じ音源なのですが、こちらはなぜか冒頭の語りがカットされています。(差別化を図ろうとしたのであれば、あまり意味がないような気も。ちなみに村松2世というのは、佐橋さんのことを指すらしいです。)
個人的には一人アカペラというか一人ドゥワップというか、まさにRATS & STARの真骨頂を単独で行っている「星空のサーカス」がかなりのツボでした。

そうそう、この手のアルバムに関しては、デジタル音源のみを購入するのは絶対に止めた方がいいです。
なぜなら、CDジャケットの内側に書かれているライナーノーツに、色んな裏話的な内容が掲載されていることが多いからです。そしてこの作品についても、音源の発掘に至った経緯や、どういうプロセスでこれらの楽曲が制作されたのかが掲載されています。これを読むだけでも楽しいです。
ほとんど表舞台に出ることもなかったため、とりわけ晩年に至っては一体どんな活動を行っていたのか、謎に包まれたままではありますが、特に私と同世代ぐらいの方であれば(好き嫌いは別として)大滝詠一の名前を知らない人はいないと思いますし、一度や二度は絶対に彼が手がけた作品を耳にしているはず。下世話な言い方になりますが、彼の懐の深さを知るには、最適な作品だと思いました。

もっとも、前述のとおりこれらの作品については、ご本人が存命の間は絶対に発表されることはなかったと思います。なぜなら、その存在すらを否定していたからです。でも、裏を返せばこういった音源が「遺作」として発掘されることは、ご本人の中では織り込み済みだったのかも知れません。
これまで発表されている作品はどれも緻密で計算され尽くしたものばかり。そういった点からみれば、(楽曲の粗さやボーカルの不安定さなどといった点で)この作品に対する古くからのファンの評価がハッキリと二分されるのも、何となく分かるような気がします。(あれも聴きたい、実はもっと作品があるんじゃないかという、ファンの穿った見方も理解できます。)
実のところ僕自身はそんなに大滝詠一作品に対する思い入れがあるわけではないので、音楽史を振り返るという客観的な視点に立ってみると、これは充分「アリ」な作品集(アーカイブ)だと思うんですけどね…。

Back In Time / Judith Hill

米国人の父と日本人の母の間に生まれたJudith Hill。
Michael Jacksonのツアーにバッキング・ボーカルとして帯同する予定だったのですが、御存知の通りMichaelがこの世から旅立ってしまったため、幻に。なので、映画「THIS IS IT」をご覧になった方、あるいはこれからご覧になっても結構なのですが、「I Just Can’t Stop Loving You」をMichaelとデュエットした人、といえば、「ああ、あのお姉さんか!」とおわかり頂ける方も多いのではないでしょうか。

この映画を機にブレイク…というわけでもなく、日本ではあまり知られていなかったというのが事実。まあ確かに「THIS IS IT」では、Michaelの横で圧倒的なギタープレイを披露したOrianthiさんに注目が集まり、彼女のブレイクのきっかけとなった、といった感じでしたからね。とはいうものの、彼女の歌声や声量に圧倒された人も多かったらしく、どちらかといえば「玄人好み」のアーティストとして活動を続けていたようです。
ウィキペディアでも、テレビ番組出演や、シングル曲の発表、さらにはスパイク・リー監督の映画「Red Hot Summer」に楽曲を提供したこと、ぐらいの情報しかないのですが…。

そんな中で目をつけたのが、Prince。映画「THIS IS IT」ではなく、テレビに彼女が出演していたのを観たのがきっかけだったようですが、そんなこんなでとんとん拍子で作業は進んだらしく、昨年3月にはPrince全面プロデュースによるアルバム「Back In Time」を完成させ、試聴会まで開いた挙げ句、何とハイレゾ音源のアルバムを2日間に渡ってまるごと無料配信するという荒技に出たのであります…。

さて、ここまでは素晴らしく順風満帆な滑り出しだったのですが、これに噛みついたのが既にJudithと「排他的契約」を締結していたSONY。どうやらPrinceの一連の行動が逆鱗に触れたらしく、何とSONYがPrinceを著作権侵害で訴えてしまったのであります。

結局ほんの短期間の間で無料配信された音源のみが残されることとなり(ちなみに私も配信期間内にDLすることができず、ある方から音源を頂きました。Kさん、ありがとうございました。)、この調子では当然このアルバムはお蔵入りするのだろう、と思っていたのですが…。

実のところ訴訟の顛末は存じ上げないんでございますが、すったもんだの末、その後「Back In Time」はiTunes等での配信が無事に始まったんでございます。
…がしかし、デジタル配信だけでCDがなかったんですね。

judith

それが昨年2015年10月に、SONY傘下のColumbiaではなく、NPGレーベルからの発売が開始されました。まずは良かった良かった。
Keiko Leeを彷彿させるハスキーでソウルフルなボーカルに、Prince色の強いファンキーなサウンド、そして、スローバラードまで何でもこなすといった感じ。さすが数多くの場を踏み、そしてMichaelに見初められただけのことはあります。

Princeが手がけるNPGレーベルのアルバムって何となく、まず最初の1曲でドーンと彼のカラーを出して、その後徐々に彼の色が薄まっていって、また忘れた頃にボンッ!と彼が現れるみたいな、そんな構成が多いような気がするのですが、本作は何か彼の存在を凌駕するような圧倒的なボーカルが凄く素敵なんです。冒頭を飾る「As Trains Go By」、もちろんPrinceカラーが滲み出ていますが、どちらかといえばSly & The Family Stoneを意識したといわれるファンキーな曲から、Princeカラーがかなり濃厚な「Turn Up」へと続き(しかも途中で何か変な日本語っぽい言葉が聞こえるなあ、と思ったら、「ミナサン、モリアガリマショウ、ジュンビシテクダサイ」と言っているらしい。)、その後もファンクありジャズありR&Bありのてんこ盛り。収録時間は約40分と決して長くはありませんが、実に濃厚な時間を楽しむことができると思います。

https://soundcloud.com/judith-hill

以前はSoundCroudでも全曲通して聴くことができたのですが、今はできなくなったのかな?


Michaelに見初められ、その後不思議な因果関係(というかJudith自身が「Princeと仕事をしてみたい。」と言ったとか言わないとか)でPrinceプロデュースという最高のデビューを果たすことができたわけですが、どうなんでしょう、Princeファミリーの一員として活躍の場を求めているわけではないのかな。

岡村靖幸「幸福」

覚せい剤取締法違反による3度の逮捕歴。ファンであれば、この事実を受け入れざるを得ません。普通の社会であれば、完全に「アウト」。社会的地位も名誉も失い、路頭に迷った挙げ句、再犯を繰り返す…。
さすがに3度目の逮捕の知らせを耳にしたときは、そんな暗澹とした青写真を想像したファンの方も、多かったのではないかと思います。いや、少なくとも僕はそうでした。心底呆れ、こんなファンを「不幸」にするヤツなんて、見限ってやる!ってね。

でも…結局見限ることができませんでした。

そして、刑期を終えて出所した2010年以降、彼の名前を再び目にするようになりました。
まるで何事もなかったかのようにライブハウスでのツアーを再開、ネット上で「パラシュート★ガール」のデモ音源や「ぶーしゃかLoop」なる過去に発表した楽曲の歌詞を繋ぎ合わせたサンプリングのような音源を発表するなど、じわりじわりと活動のペースを上げはじめ、2枚のリアレンジアルバム「エチケット」の発売、更にはシングル曲の発表と続いていきました。

シングル曲は、どちらかといえばポップでキャッチーなナンバーで、他のアーティストともコラボレーションするなど、最初から最後までセルフワークで作品を生み出すという独創的なイメージを払拭するような取組が続きました。
やがてライブハウスでのツアーだけではなく全国ツアーも始まり、かくいう僕も2014年に行われた全国ツアー「むこうみずで いじらしくて」の最終公演を観る機会を得ました。
こうなると否応なしにアルバムへの期待が高まっていたわけですが、それはそれは本当に突然の発表でした。
2015年11月15日付け朝日新聞の全面広告で、1月27日に「幸福」というタイトルのアルバムが、何と11年ぶりに発表されること、そして、オフィシャル通販の限定商品として、完全受注生産のデラックスエディションが発売されるという内容、更には春から全国ツアーが始まることが掲載されました。

しかし、それ以降アルバムに関する情報は一切なし。昨年12月に公式サイト上でツアーチケットの先行販売が行われ、いよいよ2016年1月となっても、全く情報が出てきません。
私事ながら自分の誕生日の2日前が発売予定日なので、勝手に自分自身への誕生日プレゼントと決めていたのですが、さては発売延期か?と半ば諦めていたら、1月25日に「発送のお知らせ」メールを受信。
それでもなお、一切情報はなし。アルバムに収録される楽曲のタイトルはもちろん、何曲収録されるのかも不明。それは、実際に作品を手にしてみなければ分からない、ということに。
しかも、今回のアルバムに関しては今のところデジタル音源での発売を予定していないとのことで、もしもiTunesをはじめとするデジタル音源の発売を待っている人がいるのならば、しばらくは待っても無駄みたいよ、ということだけ一応お知らせしておこうと思います。

さて、配達日厳守で届けられたそれほど大きくないダンボール箱に収められていたのは、白いボックスに赤字で「幸福」と書かれた限定ボックス。当然の話ですが11月15日の新聞広告に掲載されていたものと全く同じものに、CDと写真集(台北日記)とDVD(平熱大陸)が収められていました。(完全受注生産なので、当然のことながら一般の販売はされていません。オークションでは既に3万円超もあるらしく…)

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写真集とDVDの内容は敢えて割愛し(そのうちレビューするかも知れませんが)、ここではCDに特化したお話しを。
まあ、シングルが既に4枚も発売されている状況下でのアルバムだし、これまで発売されたアルバムのことを考えても、収録曲数、時間はそれほど期待はできないんだろうな、と思っていました。
事実、蓋を開けてみたら収録曲は9曲、うち何と6曲が既に発表されている曲(シングル4曲、カップリング1曲、そしてなぜか「ぶーしゃかLoop」まで収録されているという…)で、ホントの意味での新曲は3曲のみ。
正直言って、あちゃあ…これはきっと評価下げるなあ、と思って聴いてみたところ、これがまたどうしてどうして、といった感じでして、一枚のアルバムとしてちゃんと仕上がっているんですね。というかむしろ、かなり好きかも知れません。
デビューして数作続いたちょっとエロ路線の楽曲は鳴りを潜めてしまったものの、全体的に統率感があるといえばいいんでしょうか、かなりオシャレな感じです。まさに、このアルバム一枚だけでかなりの幸福感を味わうことができます。

シングル曲が明るくポップな曲調だったので、アルバムの最初を飾る新曲「できるだけ純情でいたい」のミディアムスローな切なさが、妙に響きます。この1曲を聴けただけでも、ああ、アルバムが発売されて本当に良かったな、と思ってしまいました。続く新曲「新時代思想」は、岡村節炸裂と言えばいいのでしょうか、前作(というか個人的にはものすごく忌々しい記憶しか残っていない)「Me-imi」に収録された「ア・チ・チ・チ」にも似たラップ調で、相変わらず独特な歌詞が面白いです。シングルで発売された「ラブメッセージ」を挟んだ4曲目の「揺れるお年頃」も新曲。もうね、タイトルだけで相変わらず青春しているんだなあ、と。でも、今年51歳なんですよ岡村ちゃんも。51歳のオッサンが「揺れるお年頃」って、出るところ間違えれば捕まりますよ…いや、もう捕まることだけは勘弁して欲しいんですが。
で、新曲は1,2,4曲目のみで、5曲目以降は既にシングルとして発売された曲などが続きます…が、なぜか飽きない。全く飽きない。多分、これからもずーっと飽きない。
最後に収録された「ぶーしゃかLoop」、確かにライブでも披露していましたが、ハッキリ言ってこれはアルバムに収録する楽曲じゃないでしょ…と思ったら、何と手を加えていました。それも、かなりのアレンジ。これは聴いてみてのお楽しみ、ということで。まあ、岡村ちゃんファンなら皆さん御存知なので敢えて触れる必要はないのかも知れませんが、公式サイトからはオリジナルのバージョンと言いましょうか、フルとショートの二種類の「ぶーしゃかLoop」をダウンロードすることができます。

岡村靖幸 | YASUYUKI OKAMURA

1 できるだけ純情でいたい
2 新時代思想
3 ラブメッセージ
4 揺れるお年頃
5 愛はおしゃれじゃない
6 ヘアー
7 ビバナミダ
8 彼氏になって優しくなって
9 ぶーしゃかLOOP

途中色々あったとはいえ、この20年間で発表されたオリジナルアルバムが2枚。これはこれである意味凄いと思うし、もうデビューから25年以上経ってもなお色褪せない「純情で青春しちゃう讃歌」は、彼にしかできない芸当のような気がします。
5月の全国ツアーでは、このアルバムを引っさげて再び青森にやって来ます。僕にとっては2年越しとなる岡村ちゃんとのDATE、今から5月が待ち遠しいです。

2015年の総括(音楽篇)

クリスマスが終わった途端、すっかり年越しムード。飾られていたクリスマスツリーは門松に置き換えられ、街の喧騒が一層激しさを増しています。

さて、2015年も残り僅か。いろいろ今年を振り返る時期に差し掛かっておりますが、個人的には今年は積極的な活動をしなかった年だな、と思っています。

恐らく一番の要因としては、5年間勤務した部署から異動となり、新しい職場での仕事の内容を叩き込むのに必死で、自分自身の感覚をなかなか掴めなかったことが挙げられます。まあ、こういう職種に就いた以上、40代半ばになろうとも50代になろうとも、それまで見たことも聞いたこともないような仕事に就くことはやむを得ないこと。取りあえず来年3月までは、年度単位で考えたときにどういう流れで仕事が進んでいくのかという、いわゆる時流を捉えることが肝要になってくるはず。まして県内全域を相手にしているとなればなおさらです。いつ何時どこの土地に行こうとも、そういう時流をいち早く捉えて自分のペースを合わせていくことが必要になるということを、これまでも幾度となく経験してきました。
それにしても、もうすぐ45歳となるにあたり、僕は時流を捉えるという作業をこの先何度経験することになるのでしょうか…。

閑話休題。
今年聴いた音楽を振り返ってみたいと思います。温故知新とは言いますが、結局今年も昔から聴いていたアーティストが中心となってしまいました。

浜田省吾 / Journey of a Songwriter 旅するソングライター

約10年ぶりとなるオリジナル・アルバム。僕の中では既に名盤と呼ぶに相応しい一枚だと確信に変わりつつあります。不思議なリズムのドラムからスタートするこのアルバムは、これまで築き上げてきた揺るぎない彼の信念というか、「優しさ」や「暖かさ」に包まれたアルバムだと僕は感じています。10年という月日は、長くもあり短くもあり。戦後70年という節目の時を迎え、10年の間には東日本大震災という未曾有の天災も経験しました。志半ばにして命を落とした人達に対する鎮魂の思いや、どん底から少しずつ立ち上がろうとしている人達への激励、そんなことを感ぜずにはいられない一枚。このタイトルを冠したツアーが行われており、青森でその公演を観ましたが、そちらも凄く良かったです。

佐橋佳幸 / 佐橋佳幸の仕事 1983‐2015 Time Passes On

プロレスで言うならば藤原喜明か木戸修か。主役にはなれないが、ギラリと光るいぶし銀のような存在。佐橋佳幸とは、そんな人物だと思います。誰とタッグを組んでも、どんな楽曲でも対応できる…だからこそこのアルバムが斬新だったのだと思います。世の中、色んなオムニバスアルバムやトリビュートアルバムが発表されていますが、多分ここまでバラエティに富んだアルバムは、唯一無二ではないかと。ただ、惜しむらくは、発売元が限られていることでしょうか。

佐野元春 & THE COYOTE BAND / Blood Moon

1980年代をザ・ハートランド、1990年代後半をホーボーキング・バンドという、名うてのミュージシャンで固めたバンドを従えてきた彼が、2000年代半ばになって新たに組んだのは、新進気鋭の若手ミュージシャンで構成されたザ・コヨーテ・バンドでした。(ちなみに前出の佐橋さんは、ホーボーキング・バンドの一員でした。)
佐野元春 & THE COYOTE BANDでは3作目となるこの作品、メッセージ性の強いクセのある楽曲も多い中、個々の作品のクオリティの高さは、バンドとして成熟したことを端的に示すものだと思いますし、曲も歌詞も、しっかり時流を捉えていると思います。最初聴いたときは地味なアルバムだなあ、と思いましたが、地味な中に光る何かがあります。

Janet Jackson / UNBREAKABLE

7年ぶりに発表された通算11枚目のアルバム。「Control」そして「Rhythm Nation 1814」で彼女を一気にスターダムへとのし上げた盟友ともいうべきプロデューサー、ジャム&ルイスと久しぶりにタッグを組んだ快作です。一時期は何をやっても今ひとつパッとせず、近い将来「過去の人」に落ちぶれてしまうのではないかと危惧していましたが、いろいろ紆余曲折を経ながら辿り着いた「原点回帰」。これ、正解だと思いました。
もう、逆に「Rhythm Nation 2015」でいいんじゃないですか?と言いたくなるぐらい、どこか懐かしさすら感じるようなサウンドである一方で、他のミュージシャンとのコラボレーションがあったり、あれやこれやのエッセンスが詰まっていて、多分あの頃の彼女の曲が好きな皆さんならば、聴いてみる価値アリです。
しかし、自ら立ち上げたレーベルの名前が「Rhythm Nation」ですか…。なかなか呪縛から逃れることができないようですね。

Babyface / Return of The Tender Lover

そういう意味では、ジャネット同様なかなか過去の栄光から抜け出せずにいるといってもいいアーティスト、Babyface。こちらはソロ名義の前作から8年ぶり、Toni Braxtonとの共作から1年ぶりというインターバルでの新作。まず、タイトルを見て驚きました。自身の過去の大ヒットアルバム「Tender Lover」を冠に据えた、まるで自身の作品に対するオマージュのようなタイトル。前回の共作アルバムを聴いたときに、さてこの人は一体この先何をやらかすんでしょうか…なんてことを思っていたら、何とこちらも「原点回帰」してしまいました。これだけでも充分驚きましたが、前述のジャム&ルイスやテディ・ライリーと並んでの敏腕プロデューサーの一角として君臨していたLaFaceの頃を彷彿させる、キャッチーでどこかAOR的なサウンドに、更に驚き。とりわけ80年代後半~90年代前半の洋楽ファンであれば、きっと懐かしさを感じるはず。40分強という、このご時世にしては非常に短い収録時間のアルバムではありますが、逆に濃縮されているような感じがして、実に心地良いです。

Prince / HITnRUN Phase One
Prince / HITnRUN Phase Two

締めくくりはやはりこの方。前にもレビューしているので、こちらは簡単に。蓼食う虫も好き好きとは言いますが、彼ほど海外と日本とでの賞賛の差が激しいアーティストもいないのではないでしょうか。好きな人はとことん好き、嫌いな人は反吐が出るほど大嫌い。マイケルやマドンナのような華やかなシンボル的存在ではなく、どちらかと言えば毒々しくもありどこか気味の悪い存在として扱われ続けていることが、日本国内での彼の評価を下げている一因ではないかと思います。
そんな彼が未だに第一線に君臨している理由…それは、まさに時流を捉えているからなのだと思います。だって彼の楽曲って、皆さんの知らないうちに色んな番組で使われているんですよ。
そんな彼が今年の後半に入って立て続けに発表したアルバム。Phase OneはEDMを多用したどこかチープな仕上がりなのですが、聴けば聴くほど駄作というほどではないのかな?と思うようになってきました。そうして耳に馴染んできた頃に突如発表されたPhase Two。この2つはセットですね。互いに相容れないところはあると思うのですが、両輪として捉えた方がいいです。本当は最初から2枚組で発表したかったんだけど、Oneについてはちょっと実験的な要素もあったので様子見で、Twoの方はOneに対する反応や混沌とする社会情勢を踏まえたアンチテーゼみたいな感じで。…あ、全然簡単じゃなかったですね。すいません。