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『THE BARN DELUXE EDITION / MOTOHARU SANO and THE HOBO KING BAND』を、レコードプレーヤーで聴いてみる #佐野元春 #ion

明日から新年度がスタートです。花粉症じゃないと言い張って数年経ちますが、今年もまた目がショボショボする季節、疲れもたまりがちですっかり疲弊しまくっています。こんな時は、いい音楽を聴いて心だけでも穏やかにしたいものです。

ところで、以前聴いたときにはあまりピンとこなかったアルバムが、何年も経ってから聴くと物凄く胸に沁みる、ということがありませんか。

今回入手した佐野元春 and THE HOBO KING BANDの「THE BARN DELUXE EDITION」(THE BARN)も、そんな一枚でした。

20年前の発売当時は心身ともにちょっと疲れていた頃で、前年に発表されたアルバム「フルーツ」のような、彼流に言うならば「最高に陽気でポップな」曲を期待していたのかも知れません。しかし、ジャケットからも見て取れるような、どちらかといえばアコースティックで、カントリーっぽい雰囲気が全体に流れており、初めて聴いたときは「ん?」といった感じ。そしてその後も「ん?」の後に続く疑問符がどんどん膨れ上がることとなり、結局最後は「…。」へと変化。数ある彼の作品の中でも、あまり聴くことのない1枚となってしまいました。

そんな中今回、「THE BARN DELUXE EDITION」と銘打った20周年記念盤が発売されました。完全限定生産盤で、15,120円(税込)。

パッケージはBDとDVDとアナログ盤と写真集の組み合わせという、かなり重厚な内容となっており、実際手にしてみると、相当重量があります。…というのも、写真集が150ページ以上に及ぶかなりしっかりした作りで、これ単体でも数千円で販売できるよね、という代物のため。

ちなみにこの写真集には、このアルバムのレコーディング当時のオフショットなどが収蔵されているほか、当時のこぼれ話や秘話がショートコメントのように掲載されており、見応えは相当なもの。

BDとDVDは色んな解説にもあるとおり、「THE BARN TOUR ’98 LIVE IN OSAKA」のデジタル・リマスター版と、ウッドストックでのドキュメント映像が収録されたものです。

さて、肝心のアナログ盤、こちらはもちろんリマスターが施されたものです(2016年)。
→ 特別サイトはこちらから。

さて、このレコード盤の再生に当たり、すっかりレポートを忘れていたレコードプレーヤーを紹介したいと思います。
はい、こちらです。

「ion Max LP」というもので、Amazonではレコードプレーヤーのカテゴリーでベストセラー1位となっている商品です。

昨年の夏に、この商品があるところでセール品として販売されており、何と3,000円で入手しまして、ええ。

とはいえレコードを何枚も持っているわけではないので(貴重盤やお宝盤も含めて以前はたくさん保有していたのを、何と雨ざらしにされた挙句に廃棄されるという悲劇があったのです!)、そんなに使用頻度が高いわけでもなく、再び丁寧に梱包しておいたのですが、今回の再生に伴い再出動。改めてレビューしたいと思います。

まず外観は、木目調。左右にスピーカーがついていますが、音はそれなりです。

ボリュームつまみはここについています。

7インチレコード、いわゆるドーナツ盤用のスリップマット。

切り替えのスイッチ類はこの辺りに。ちなみにオートストップの切り替えがありますが、オンにするとホントにストップするだけで、アームは手動で戻す必要があります。(オフにするとどうなるかは、怖くて試していません。)

イヤホン端子は前面に。

背面。電源やUSB端子のほか、イン/アウト用のケーブル差し込み穴も用意されています。紅白の端子がアナログ感を醸し出しています。専用ソフトのCD-ROMが同梱されていて、アナログ盤をPCに取り込むこと(曲毎に分割もしてくれる)ができるそうですが、まだインストールはしていません。

こちら、おまけでついてきた12インチレコード用のスリップマットは、なぜかLED ZEPPELIN。

ワーナー傘下のレーベルのロゴシールも付いてきました。…おっと、購入先がバレますね。

さて、これから正座して拝聴するデラックス・エディションの裏書。

中にはこれが。右がレコード盤と映像ディスク、左が写真集。

映像集はこんな感じで収まっていました。

さて、それでは実聴。前述のとおり内臓スピーカーの音はそれなりなので、イヤホン端子から異なるスピーカーを接続。これで音はバッチリです。というよりも、思った以上にいい音になりました。(撮影のため上に載せましたが、実際は下に置きました。)

しかし、こうやって改めて20年前に発表された「THE BARN」を聴くと、バンドのメンバーの「個」が際立っている作品なんだなあ、ということを感じさせられます。

楽しいこと、苦しいこと、悲しいこと、嬉しいこと、辛いこと…色々経験をすることで、僕自身の感受性がこの20年で変わったのでしょうね。冒頭でも書いたように、本当に胸に沁みる、いい作品なんだな、と。その伏線にあるのは、この作品がレコーディングされていた時、妹さんを不慮の事故で亡くするという悲劇に見舞われており、その時の心境がこちらに綴られています

血を分けた肉親を失うって、本当に辛いことです…。でも、20年前はまだ僕の父も健在だったし、肉親を失う辛さをほとんど感じていませんでした。そんな事情もよく知らないまま、「なんか影のある作品だな」と勝手に決めつけて、聴くことを避けていたのかも知れません。
決してそういう意図はないんでしょうけれど、この作品には、どこかに「鎮魂の思い」が込められている(現に収録されている2曲は妹さんに捧げる曲となったことを明らかにしている)からこそ、今改めて聴いたときに、心穏やかに、そして深く沁みる作品だという風に捉えられるのかも。

さて、「THE BARN」のレコーディングを行ったTHE HOBO KING BANDのメンバーは、佐橋佳幸(ギター)、小田原豊(ドラムス・元Rebecca)、井上富雄(ベース)、KYON(キーボードなど・元BO GUMBOS)、西本明(キーボード・元THE HEARTLAND)という、前作「フルーツ」のレコーディングで集まったメンバーが中心となって結成されたのですが、個人的には佐野元春を支えるバンドとしては、あのTHE HEARTLANDをも凌ぐ最強のメンバーだったのではないか、と。今のTHE COYOTE BANDも大好きですし、バンドそれぞれの「音」があって、それが全く違うのも面白いところ。

ただ残念なのは、THE HOBO KING BAND(ザ・ホーボーキング・バンド)名義のアルバムってあまりないんですよね。
そんな中、昨年発売されたアルバム「マニジュ」、そしてこの作品と立て続けに作品が発表される中、今回のアニバーサリー盤が発表される直前にアナウンスが。

何と、ザ・ホーボーキング・バンドとレコーディングに臨んだセルフカバーアルバム「自由の岸辺」が5月末に発表されるとのこと。

ちなみにザ・ホーボーキング・バンド名義となっていますが、参加したのは古田たかし(ドラムス)、井上富雄(ベース)、Dr.kyOn(キーボード)、長田 進(ギター)という、THE HEARTLANDとザ・ホーボーキング・バンドの混成メンバー!

4月1日でマニジュのツアーが終了するので、夏から秋、「自由の岸辺」を引っ提げたツアーに勝手に期待を寄せているのですが、さて、どうなるかな?

WBC東京ラウンド終了

 

昨日、WBC東京ラウンドが終了しました。

昨晩の今頃は一喜一憂しながらテレビにかぶりついていた人も多いことと思います。結果は皆様ご存じの通り、韓国が1位、日本が2位で第2ステージに進出しました。第2ステージの初戦は恐らくキューバが対戦相手となると思われますが、そんなに悲観はしなくてもいいような気がします(むしろオーストラリアの方が怖そうな気が…)。

とその前に、遅ればせながらではありますが、この東京ラウンドをなんちゃって評論家っぽく振り返ってみると、2強2弱という構図に代わりはないのかも知れませんが、日本の戦いが決して楽勝ではなかったことを考えると、アジア各国の野球レベルがそれなりに向上してきている、と評価してもいいのかもしれません。

さて、その原ジャパン。大会前から湿りがちと言われ続けてきた打線が爆発したのは、結局韓国戦のみであり、昨日も含めて非常に苦々しいといいましょうか、ストレスの溜まる試合展開が多かった、というのが正直なところでしょうか。決定力不足だったことは否めないですし、打線の繋がりを感じる試合はコールドゲームとなった韓国戦のみで、格下とみていた中国や台湾に対しても圧倒的な強さを誇示した、というわけではありませんでした。

その中にあって特に昨日の原監督の采配には、首を傾げざるを得ないシーンがいくつかありました。
日本代表監督としてではなく、巨人監督としての温情が見え隠れしてしまうような、そんな采配だったような気がします。9回表、ワンポイントの中継ぎとして登板した山口は、テレビを通しても緊張感見え見えの独り相撲。結局ワンストライクしか取れず、四球を出して敢えなく降板。本人は今にも泣きそうな顔をしてベンチに下がりましたが、あの場面は最初から藤川でよかったのではないのでしょうか。

もう一つは、7回裏と8回裏の攻撃。
7回裏、内川に代わり、今大会調子の上がらない小笠原を代打に送りました。なぜ小笠原だったのでしょう。結局三振に倒れ、チャンスメイクすらできなかったわけですが、あの場面で小笠原を出す必要があったのかという疑問が残りました。そして8回裏、今大会全く機能しなかった岩村が三振しワンアウト、続くイチローがヒットで出塁した後の、中島へのバントの指示。確かにヒット散発の中で一点を追う展開だっただけにこの選択肢もありなのかもしれませんが、調子のよかった中島の一振りに託してもよかったのではないか、という気もします。

まぁでも、この試合の肝は4回裏の攻撃で、ワンアウト3塁から一点をもぎ取れなかった拙攻が、勝敗を決定づけたといってもよかったのかもしれません。打席に立った昨年のセ・リーグ本塁打王の村田は、明らかに一発狙いで力が入り過ぎ、外野にすら打球を飛ばすことができなかったという状態。野球は一人でやるものじゃないんだよ?というか、この大会を通じて日本の残塁数はいったいどれぐらいなのでしょう。それぐらい歯痒い攻撃がずっと続いていたと言わざるを得ません。

前回の日本戦で屈辱的な大敗を喫した韓国チームは、このゲームで完全に立て直しを図ってきました。投手陣には安定感が生まれ、打撃の面においても日本を圧倒する雰囲気があったように思います。

一方、岩隈投手が一点を許しはしたものの、投手陣は試合が進むにつれ安定度を高めてきましたし、守備の連携も安心して見ていられました。しかし野球はいくら守備が鉄壁でも点数を取らなければ勝つことはできません。攻撃は点ではなく線で、守備は線ではなく面で戦うのが、野球なのではないでしょうか。果たしてホームラン量産で大勝することに慣れてしまった原監督に、その思惑は伝わるのかどうか…。

さて、おそらく次回の対戦相手となるキューバ戦では悲観することはない、と冒頭述べましたが、言うのは簡単です。要するに点数を取られない野球をする、安定度を増す投手陣が、相手に的を絞らせないような投球をすれば、自ずとチャンスは舞い込んでくるはず。
そのチャンスをものにしてこそ、連覇の道が開けるというものではないでしょうか。

第2ステージでは今回浮き彫りとなった課題を、各選手そしてチームがどう修正してくるかが鍵となりそうです。こうなったら空中戦を得意とするキューバに大勝は必要ありません。投手陣が更に安定すれば、きっと零封もできるはず。あとは、バッターが一つずつ進塁するような、もっと緻密な野球をしてもらえれば…。

とはいえもちろん願いはWBC連覇。期待感を持って応援したいと思います。

WBCの監督

原監督の就任が決定=コミッショナーの要請を快諾-WBC

来年3月に開催される野球の国・地域別対抗戦、第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の日本代表監督に、巨人の原辰徳監督(50)の就任が28日、決まった。プロ野球の加藤良三コミッショナーが川崎市内の読売ジャイアンツ寮に原監督を訪ねて就任を要請。同監督が快諾した。会談後、原監督は「自分の持てる力を出して、強いチームをつくる力になりたい」と語った。

星野JAPANによる北京五輪メダルなしの結果を機に、何か損な役回りといった印象が植え付けられてしまったというか、言わば結果が出る前から責任の押し付け合いみたいになっていたWBC監督問題が、すったもんだの末ようやく決着を迎えた。
野球に限ったことではないが、これまでの国際舞台での監督選出は、実績や経験から、どうしても過去の栄光にすがってしまう傾向があった。
しかし、今回の原監督の選出は、ある意味両者にとって「英断」といっていいだろう。ようやく野球界にも世代交代の波が押し寄せた、といったところだろうか。

ただ、これまでの紆余曲折を考えれば、誰が監督をやってもおかしくない状況だった訳であり、裏を返せば、本音は誰もやりたくなかったのでは。

そういう意味では、結果が全てといった風潮が色濃い世界で、原監督が世間の矢面に立った(いや、立たされた?)、という見方も出来る。

実際、みんなが「この人なら!」という絶対的オーラを持った監督は、今の球界にはいないだろう(かつてなら「長嶋や王なら仕方ないか…」みたいな風潮があった)。

もちろん原監督がWBCの監督を受諾することには賛否両論あるだろうが、これはハッキリ言ってどこのラーメンが一番好きかを全国民に聞くのと同じ様なものだと思う。

星野ラーメンは、味を引き出すだけのトッピング(T淵、Y本)を並べただけで、味気ないラーメンに仕上がったこと、その他の具材や調味料が全然揃わなかったことが戦略的な失敗、と囁かれていた。

だから原ラーメンには、自分の好きなトッピング(コーチ)だけを揃えるのではなく、アクの強い具材(的確な反論と助言をするコーチ)も加えて欲しい。さらに、良質の素材や調味料(選手)を揃えて、万人を唸らせるような味に仕上げて欲しいと思う。

世代交代ということで、コーチ候補には野茂の名前が浮上している他、今後は大リーグ経験者やちょっと名の馳せた、いわゆるカリスマ性のある人(敢えて誰とはいいません)の名前が挙がってくる可能性もある。

日本は前回の第一回大会で優勝しているということもあり、間違いなく各国の研究材料、ターゲットにされてくるだろう。
今の原監督が「世界の王」を名実ともに超えるのは、まずもって無理な話。しかし、監督就任が決まった以上は堂々と戦って欲しいし、連覇を目指して欲しい。
そのためにも、これまで土台を作ってきた「ラーメン通」の皆さんの全面的なバックアップが必要となってくる。
優勝の上はないし、裏を返せば底は果てしない。けれども、しばらくは続くかも知れない逆境に耐え、原監督には是非とも頑張って欲しい。

あ、その前に日本シリーズか(笑)。

だったら、WBCは原監督と渡辺久信ヘッドコーチで、そこを軸にコーチ陣や選手を選んでもいいんじゃないの?とか思ったりして。

憤懣やるかたなし

観ていて実にストレスの溜まるゲームだった。

言わずもがな昨晩の中国×日本戦である(敢えて中国に「敬意」を表して、日本×中国戦と表しました)。

今回の大会は「東アジアサッカー選手権」ということで男女の試合が開催されているが、男子は中国、韓国、北朝鮮、日本の4チームが決勝リーグ(予選を勝ち抜いてきたのは北朝鮮のみで、他の3チームはシード)による総当たり戦が行われている。他のチームには申し訳ないけれど、この大会を開催する意義がよくわからなくなってしまった。

とりわけ昨日の試合は対戦相手が中国、開催地が重慶(かつて日本軍が大規模爆撃を行った地)、主審が北朝鮮と、反日感情が露骨に表れていた。
そんな完全アウェー状態の中、何か異様とも言える雰囲気でのゲームだった。

それにしても、民意もさることながら、技術的、精神的にも成熟されているチームとは思えない各国のチーム(日本は違うと胸を張って言いたいが、一概に言えないような気がする)。
敵意むき出しでぶつかり合うそこには、フェアプレーの精神など欠片も見えない。

僕も日本人なので日本寄りに振り返れば、中東の国ばかりが贔屓されるハンドボールのジャッジを「中東の笛」と揶揄していたが、昨日の試合はさながら「反日の笛」といったところだろか。
膝蹴り跳び蹴り蟹挟みと、何でもアリの中国チームによるあからさまな反則行為に対しても、笛が壊れているのか主審のホイッスルは一向に聞こえない。それにしても中国代表は、今までボールではなく人を蹴る練習をしてきたのか?

しまいにはスタンドからペットボトルが投げ込まれ、発煙筒が焚かれる始末。一体何のマネだ!?

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リアル・ベースボール

昨日盛り上がりすぎて、今更ブログのネタにするような話題ではないのかも知れませんが、ご容赦下さい。

予想通り昨晩は、高校野球の決勝をトップ項目に持ってくるニュースが多く見受けられました。

しかし、実に壮絶な試合でした。最後の最後まで目を離せぬ試合展開だったみたいで。
それにしても、9回最後の対決が投手同士だったということが、本大会の縮図というか、彼らの運命を表していたように思います。

37年振りとなる決勝戦での引き分け再試合。そして、88年目にようやく勝ち得た初優勝。幻に終わった73年振りの3連覇。
どれをとっても、間違いなく球史に残る、いや、歴史に残る素晴らしい戦いであったことは、言うまでもないでしょう。

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