リアル・ベースボール

昨日盛り上がりすぎて、今更ブログのネタにするような話題ではないのかも知れませんが、ご容赦下さい。

予想通り昨晩は、高校野球の決勝をトップ項目に持ってくるニュースが多く見受けられました。

しかし、実に壮絶な試合でした。最後の最後まで目を離せぬ試合展開だったみたいで。
それにしても、9回最後の対決が投手同士だったということが、本大会の縮図というか、彼らの運命を表していたように思います。

37年振りとなる決勝戦での引き分け再試合。そして、88年目にようやく勝ち得た初優勝。幻に終わった73年振りの3連覇。
どれをとっても、間違いなく球史に残る、いや、歴史に残る素晴らしい戦いであったことは、言うまでもないでしょう。


この大会、既に初日からドラマは始まっていました。ともに優勝候補と言われた大阪桐蔭と横浜の対決。それを制した大阪桐蔭を下したのは、他ならぬ早実でした。早実OBの王監督の入院に託けて、病床の王監督のためにも何としても優勝を!と煽る一部のマスコミには辟易してしまいましたが、下馬評通りその後はほぼ順当に勝ち上がり。

総じてみると2回戦までは、10点以上の点差が開く大味な試合や、(帝京?智弁和歌山戦を筆頭に)ホームランの量産の裏にある四死球、失策の多さ、監督の采配も気になったところではありますが、その一方で1点を争う好ゲームが実に多く、しかも終盤での逆転劇が多かったのもこの大会の特徴でした。

駒大苫小牧と青森山田の試合は、序盤に6点差まで離された駒大苫小牧の大逆転劇で幕を閉じました。
ある意味この試合が、駒大苫小牧のターニングポイントとなった試合だったといっても過言ではないかも知れません。決して本調子とは思えなかったチームを、この試合で立て直した香田監督の手腕は、本当に見事だと思います。
そしてこの試合以降、序盤はエース田中を温存するという駒苫の試合運びが確立したように思えます。しかし、その後の駒苫の試合を見ても、決して安心して見ていられる、という試合はほとんどなかったように思えます。
そういう点においては、「打倒!駒苫」に燃える他チームの圧力に屈することなく、決勝まで勝ち上がったのは本当に見事でした(監督は精神的にも相当参っていたみたいですね)。

早実との決勝戦を見るまで僕個人としては、青森山田だって駒大苫小牧と互角に戦えたのだから、十分深紅の優勝旗を狙える位置にあるのではないか、と思っていましたが、それは見当違いでした。

スポーツで良い結果を出すためには、「心技体」を持ち合わせることが必要であることはよく知られたことです。
決勝戦を戦った両チームの選手には、この「心技体」がみなぎっていました。そしてそれを持ち合わせた両チームこそが、決勝を戦うに相応しいチームであったことに、異論を唱える人はいないと思います。残念ながら敗れた他のチームは、「心技体」のいずれかが劣っていた、というより仕方ないでしょう。

延長15回引き分け再試合となったあの試合。僕は最後の攻防を、無意識のうちに正座して観ていました。

それにしても勝負とは非情なものです。大会の頂点に達するのは1校のみで、いくら決勝まで勝ち上がっても、敗者は敗者。当たり前のこととはいえ、それをも超越した、何かそんな勝負事なんてどうでもいいじゃないか、と思わせるような素晴らしい戦いを繰り広げた両チームには、心から賞賛の拍手を送りたいと思います。

それにしても、高校野球ってこんなに面白いものでしたっけ?

プロ野球が低迷する理由が、何となく真剣味に欠ける試合展開にあるような気がするのは、僕だけでしょうか。
WBCでのあの戦いは、日本中を熱くしました。しかしその一方で、その熱がプロ野球にはそれほど伝播しなかったように思われます。
もちろん、WBCや高校野球には負ければそれで終わり、という緊張感がある一方で、年間100試合以上もこなさなければならないプロ野球に、毎試合同じような緊張感を求めるのは酷かも知れません。しかし、利益誘導型、集客重視型の今の手法には、野球ファンも辟易しているということに、いい加減上層部の人たちは気づいて欲しいものだと思いました。

僕自身、高校野球をこんなに興味を持って見たのは久し振りだったので、うまく表現できていないのかも知れませんが、「本物の野球」を見せつけられた、そんな気持ちにさせられました。

優勝した早実、そして惜しくも準優勝だった駒大苫小牧の選手だけではなく、熱い戦いを繰り広げた全てのチームの選手の方々、そして監督とコーチにも、万雷の拍手を。しばらく心地よい余韻に浸れそうな予感です。

気の利いた言葉の一つも浮かんできませんが、皆さん感動をありがとう。お疲れ様でした。

4 thoughts on “リアル・ベースボール

  1. mash

    私も久しぶりに高校野球みました…
    田中くん、斉藤くんの投球は見事でした!
    プロ野球が低迷していると言われている理由は、巨人が弱いからだと思います。
    今の中日の試合は、バント&スクイズ多用の高校野球のような試合運びで、
    守備は完璧で見応えあるし、
    一人一人緊張感がみなぎっている素晴らしい試合ばかりですよ?!
    昨日のヤクルト戦だって負け試合の雰囲気の中、
    同点で岩瀬投入、奇跡の逆転!凄い試合でした。
    巨人に頑張ってもらって、セ・リーグを盛り上げて欲しいものです。。

    Reply
  2. nonvey

    個人的な見解としてですので、聞き流して下さい。
    僕が思うに、プロ野球が今ひとつ盛り上がらないのは、結局のところ巨人が弱いからではなく、どの球団も「巨人頼み」なのだからではないか、という気がしています。巨人だけじゃなくて、他の球団にも頑張ってもらわなければ(笑)
    正直僕の気持ちは、かなりの部分で巨人から離れています。というか、プロ野球自体から興味が薄れている、そんな感じです。
    これは、巨人が弱いからではありません。巨人、そしてプロ野球に魅力を感じなくなっているからです。
    審判の誤審にスパイ騒動など、とてもプロ野球を良くしようと戦っているようには思えません。
    結局のところ一番の問題は、巨人戦以外を我が家で見ることが困難だ、ということでしょうか(苦笑)。
    いっそのこと、一リーグ制にすればいいのに…と思っています。

    Reply
  3. mash

    中日が凄くいい試合をしているのに、
    名古屋以外、世間では、殆ど無視されているので、
    ついこんな書き込みしてしまいました…
    来年からセ・リーグもプレーオフ制になるみたいですよね…
    どうなってしまうのかな?プロ野球。
    一リーグ制も面白いかも?ですね。

    Reply
  4. nonvey

    セ・パ共通して言えることですが、投手陣の豊富なチーム、安定しているチームはやはり強いです。単発の打ち上げ花火ばかりのチームでは、やっぱりダメですね。巨人が前半調子が良かったのは、投手陣が頑張っていたから。でも、途中で(予想通り)見事に崩壊しましたよね。阪神も安定していた投手陣を抱えていたのに、怪我人が出るやボロボロと崩れていきました。そういう中にあって中日の投手陣は、やはり安定しています。でも、この時期に既にマジック点灯って、早すぎですよ(笑)。
    プレーオフ導入で、交流戦の試合数が減るみたいですね。個人的には、交流戦はもっと増えてもいいと思います。減ったことで喜んでいるのは、巨人の老獪くらいじゃないですかね?多分。

    Reply

Leave a Reply