懐古主義といわれても仕方がないのだが、50代を過ぎた今も聴いている音楽は、80年代から90年代に掛けての曲がメインだ。つまり、四半世紀以上前の曲に未だに夢中になり、没頭している、ということ。
とりわけ最近は、いわゆる「ブラック・ミュージック」と言われていた音楽を好んで聴いている。
ブラック・コンテンポラリー、R&B、Rap、New Jack Swing…さまざまなジャンルへと派生されていったブラック・ミュージックの数々。
そんな中、最近どっぷりと嵌ってしまったのが、2020年11月から段階的にタワーレコード限定で発売されている「Midnight Love – SMOOTH R&B ESSENTIALS」のシリーズ3部作。ソニー、ワーナー、ユニバーサル、それぞれのレーベルに属していたアーティストの珠玉の名曲が、これでもかと言わんばかりに収録されている。32曲、32曲、48曲なので、計112曲。これだけ収録されていれば、もはや初めて耳にした曲だって気にならないし、逆に新しい発見があったりもするというものだ。
それぞれのアルバムの解説を務めるのは、ブラック・ミュージック研究の第一人者、JAM氏で、歌詞も付されているほか、最新のマスタリングが施された音源となっている(よって、全ての楽曲は一定の音圧で聴くことができる)。
いわゆる「一発屋」の方々が多く収録されているのも特徴的で、これもまた当時の音楽業界が群雄割拠の状況だったことを示す一つの象徴なのだろうか、と思ってしまう。ちなみに、私がこよなく愛しているPrinceや、R&Bとは完全に一線を画することとなったMichael Jacksonはこれらの作品に登場しないが、Princeのカバー曲(Do Me Babyが収録されていたり、関連アーティストが数名登場しているのは、ちょっと嬉しい。
更に、このシリーズ第1作目が発表されるちょうど2年前、ユニバーサルミュージックから「NEW JACK SWING the Best Collection」なる3枚組50曲を収録したコンピレーションアルバムが発売されていたことを知る。このジャンルを確立させた人物と言われるGuyのメンバーでもあるプロデューサーのTeddy Riley、そして、歌い手の立場からそのジャンルを確立させていったBobby Brownをはじめ、一世を風靡したアーティストがてんこ盛り。内ジャケットには、収録曲のジャケットカバーが掲載されているのだが、その風貌がまた何とも当時を思い起こさせるいで立ちばかりで、これだけでも結構ニヤリとさせられる。レーベルを越えた日本独自の編集盤となっているほか、初CD化の音源も多数収録されており、これだけでも「買い」の要素は十分。