シューズのお話 #ランニング

「ジョギング・ランニング」という世界に足を踏み入れてから、かれこれ10年が経とうとしています。

以前、中学時代の友達から一度、こんなことを言われたことがあります。

「最初の頃は健康のためとか言っていたけど、今、完全に目的が変わってきてるよね。タイムとか気にしているし。」

確かにその通りだな、と思いました。でも、不健康まっしぐらで「要精密検査」の烙印を押された人間が、ランニングを始めた翌年には「異常なし」の優等生になるんですから、そりゃランニングも続けたくなるというものです。

ランニング(マラソン)って、僕らの世代だとプラモデルとか、もっと若い世代だとミニ四駆とか、そういうのにのめり込むのに近いのかな、なんてことを考えることがたまにあります。もっともこれは、決してランニングに限ったことではなく、自転車、スキー、カメラ、その他色んな趣味が当てはまるのだろうと思います。

どういうことかというと、カスタマイズを始める(グッズやアイテムに手を出す)と、際限なく終わりがなくなる、いわゆる「沼」に嵌まるのではないかと。

30歳になろうとしていた時、生まれて初めて10kmの大会に出場した際の格好は、上は綿100%の黒いタンクトップ、下も麻混のショートパンツという、今思うとランニングには全く不釣り合いな格好でしたし、腕に巻いていた時計はカシオのGショック。サングラスやキャップも持っていませんでした。更に当時、職場から提供されていた外歩き用の靴がたまたまランニンシューズだったということで、それを履いて大会に出場しました。

それから6年経って不健康が一気に露呈したことを契機に再びランニングを始め、今日に至るわけですが、この間、シューズはもちろん時計やキャップ、サングラスにランパンなど、自分の身体や走力に合うよう、色んなギアを取っ替え引っ替え購入してきました。そう、完全に「沼」に嵌まってしまったワケです。

そうそう、最近日曜日の夜に「陸王」というドラマが放映されています。老舗の小さな足袋屋が大手シューズメーカーに挑むという構図が繰り広げられており、目が離せなくなっています。間もなく最終回を迎えるようですが、池井戸潤の原作を読まれた方であれば、果たしてここからどういう結末に持っていくんだろう?最終回まで間に合うのか?なんて不安視する人も多いのではないでしょうか。ちなみに、池井戸潤原作のドラマと言えば以前同じ時間帯に「下町ロケット」が放映されていました。今回の「陸王」の制作に携わるスタッフは、その時とほとんど同じらしいですね。言われてみると何となく納得できる内容です。

さて、こはぜ屋の「陸王」は今のところ現実的な市販化の話はないものの、似た形や機能を持ったシューズは数多あるのではないでしょうか。ドラマの中で出てくるミッドフット着地走法は本当に速く走れるのだろうか、いや、ベアフットの方が速く走れるぞ、そんなことはない、裸足も悪くない、いやいや、だったらサンダルでしょ、とか。今、そんな論争が日本各地のランナーの間で沸き起こっている…という話は聞いたことがないのですが、はい。(以前はこういう話がありましたね。結局はランナーによりけり、ということで知らぬ間に収束したようですが。)

僕自身、当初は厚みのあるソールのシューズを履いていました。しかし、タイムが徐々に縮まるとともに、何となく少しでもソールの薄い、軽いシューズの方が速く走れるのではないか、という盲信に陥り、大して速くもなっていないのに力量に合わないシューズを履いた結果、足底を痛めるという事態に陥ってしまいました。

今はそういうこともほとんどなくなりましたが、結局ソールの厚さはタイムの短縮とともにどんどん薄くなり、同じシューズを2足買い揃えることも。走るうえで当然のことながら「足回り」はとても重要であり、シューズの合う合わないがランニングの結果、ひいてはランニングの継続そのものにも色濃く影響してくると思います。実際、一度思いつきでロクにフィッティングもせずに購入してしまったシューズは、やはりその程度でしかなく、まだソールが新しい状態のまま、かれこれ3年以上下駄箱の中で眠っています。
また、以前は1~2足しか持っていなかったシューズも、気がついたら練習用、大会用、それもフル、ハーフ、10キロと種目で履き分けるようになり、冬用のシューズも合わせると一体何足あるんでしょうか?…というのは、ランニングを続けている人であればきっとわかってもらえると思います。

ということでこれまで一体何足のシューズを購入したのかは覚えていませんが、未だに自分の足に合うシューズが何なのか、試行錯誤を繰り返しているといったところでしょうか。自分より速いタイムを弾き出すランナーが履いているシューズなら、きっと自分も速くなれる…みんなが賞賛するシューズなら間違いない、というトラップに陥らないよう、最後は自分を信じてシューズを選択する、そんな感じ。高価か安価かはここでは一切関係ありません。合うか合わないか、それだけ。
走り始めた頃は「デザインとカラーがオシャレ」というだけでNIKEのシューズから履き始めたのですが、今は専らadidas。ただ、フルマラソンを走った後やシューズの履き下ろしの際、2回に1回は足の爪が大変になることを考えると、シューズそのものが自分の足に合っていないのだということを感じています。というのも私、足の幅が結構広いんです。

なので、幅がDとか2Eのシューズは合わないのだと思っています。

にもかかわらずadidasを選ぶのは、地面を蹴り出す時の感覚が一番しっくり来ているから。mizunoのウェーブエンペラー(2代目のモデル)も時々履いているのですが、これはスピードに乗る感覚がadidasより凄いと感じる一方で、足裏への衝撃が結構ダイレクトで伝わってくるため、今はスピード練習の際に履くに留めています。…一度何かの大会で履いてみようかな、と考えているところもあるのですが。
人それぞれ足の形が違うし、走るクセもあるので、このシューズが絶対いい!と断言できないのも難しいところ。

シューレースのことは前に一度ここで紹介している(靴紐を結んだ時がスタート #ランニング)ので今回は割愛しますが、一番しっくり来るのはシューズにあらかじめ装着されているもの、ということですかね。これ、インソールも同じなのかも知れません。足底に慢性的な痛みを抱えていたときや、種子骨炎で悩んでいたときは、色々インソールを変えてみましたが、今はシューズに装着されているインソールをそのまま使っています。ひょっとしたら足型からインソールを作るということをやってみてもいいのかも知れませんが、インソールからシューズを選ばなければならなくなるのは、僕個人としては何となく違うのかな、という思いを持っているので、今のところインソールのカスタマイズには足を踏み入れていません。

ただ、個人的に丸紐はダメです。走っているとすぐに解けてしまいます。ランニングで使うのであれば、平紐の方が絶対にいいと思っています。

さて、僕にとっての2017年のメインシューズは、「adidas boost Takumi ren」でした。1月の勝田、8月の北海道と、このシューズで自己ベストを更新しましたので、全幅の信頼を寄せているといってもいいシューズです。

しかし残念ながら、今履いているこのシューズも既に型番落ちとなり、在庫限りとなってしまったようです。幸い、全く同じ型、色のシューズをもう一足購入していましたので、2018年はこのシューズがメインとなるのかな?

シューズの話というのは、実は結論がありません。だって結局は、その人の足の形状や走り方に合うかどうか、これに尽きる訳だから。

ただ、ランナー人口が少しずつ減少傾向にあるという中でもなお、各社は手を変え品を変え色んなタイプのシューズを販売し続けてていますし、新しいメーカーも参入するという状況にあります。

人それぞれの走力や走る目的、出場する大会の質(フル、ハーフ、10kmのほか、トレイルランニングや100km、200kmなんていうのもあるわけで)も異なるわけですから、そう考えると、ランニングというだけで相当数の選択肢があることは、かなり恵まれているのかも知れません。

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