送り火

13日から昨日まで4連休だったにもかかわらず、まるで休んだ気分がしていない。「夏季休暇」とはいうものの、「休み」も「暇」もなかった、といったところだろうか。

客人もさることながら、県内外から親戚もたくさん我が家にやってきた。
その人たちをすべて見送った昨日の夕刻。家にはいつも通りの静寂が戻ってきた。
日が暮れるのを見計らい、19時頃から外で送り火を焚いた。桜の樹皮を乾燥させたものを細かく切って、火をつける。

その火を眺めながらぼんやりと、火の向こうからやってくるかも知れない父の幻影を探し求めていたが、残念ながら父が姿を現すことはなかった。どうやら母も似たようなことを考えていたらしく、突然、南東の空に明るく光る星を身ながら、「オトン、無事帰れたかね…icon:F9D3」と呟いた。

宇宙にまつわる調査研究では、宇宙でヒトの魂を発見した、あるいはそういった痕跡があった、という調査結果は今のところないようだ。天に召される、星になるなど、亡くなった人たちが還るところについてはいろんな例えがあるが、これらはひょっとしたら、誰にも涙を見せない、あるいは涙をこらえるための方便から生まれたものなのかも知れない。
僕が思うに、僕の父が還る場所は、天や星ではなく僕たち家族の胸の中に秘められている。ただ、残念ながら昨今の人体にまつわる調査研究においても、その場所は発見されていないようだが、誰にも決して見つけることのできないその場所を、僕たちはいつまでも大事に大事に守っていかなければならない。

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