ソニー、ドコモから撤退!?

ソニー、ドコモ向け携帯電話から撤退・国内事業を縮小(日経)

ソニーはNTTドコモ向けの携帯電話機事業から事実上撤退する。年内に開発・生産を打ち切り、国内の携帯事業を大幅に縮小して主力の海外事業に注力する。飽和傾向を強める日本の携帯電話機市場には約10社のメーカーがひしめき、収益環境が悪化している。すでに中下位の三洋電機と三菱電機は撤退を決めており、市場淘汰の流れが大手にまで波及してきた。

ソニーは折半出資会社である英ソニー・エリクソンを通じ、世界で携帯電話を「ソニー・エリクソン」ブランドで製造・販売している。国内ではドコモとKDDI(au)に製品を供給。春商戦向けの新型機はドコモに3機種、KDDIに2機種を納入している。

三洋、三菱の撤退の報を知った時点で、「SOが消える日」が来るのは近いということを何となく悟っていたが、いざ現実となると、何とも言えぬ寂しさ、悔しさを覚える。

ところが。

2008/03/10 [お知らせ]3月10日付 一部報道に関して

ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは、日本国内での携帯電話の開発事業を縮小する計画はありません。
一部報道に「ソニー、ドコモ向け撤退」とありますが、ソニー・エリクソンは、NTTドコモ向けの商品化計画について、一部見直しを図っていることは事実で すが、今後も開発を含めてビジネスは継続してまいります。(具体的な製品計画と開発体制については、相手先ビジネスに関わる情報であり、弊社からの公表は 差し控えます。)

ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社

ソニエリからの発表では、「撤退はない」と言っているが、商品化計画の見直しを図っているということは、やはりSOモデルは撤退し、技術提供のレベルにとどめる、というようにも読める。

もっとも、以前からDoCoMoの販売戦略には以前から疑問を感じていたところである。新規参入業者への対抗手段なのか国内シェア確保のためなのかは知らないが、なりふり構わぬ新機種投入(これはどこも同じだけど)、そして廉価販売。DoCoMoのケータイなんて値段があってないようなもの、と思っていたら、先般発表された新機種では、DoCoMoショップ間の競争はほとんどないような「価格」が登場している。

ソニエリの意向は「灰色」であるにしても、他のメーカーに追随し、事業縮小するメーカーは、今後もまだ出てくることだろう。最終的にはユーザー側の「選ぶ権利」が損なわれ、見た目も使い勝手も悪い、「しょうもない」機種ばかりが並ぶ日が来るのかも知れない。

しかし。(ここからは僕の推測の域ということで受け流して頂きたい)

火のないところに煙が立たないはずがなく、ソニーDoCoMo撤退の報道は、何らかの意図があってのことだろう(ソニエリではなくソニーとなっている報道も気になる)。
もっとも、携帯電話事業全てから撤退する訳ではなく、auとは引き続き関係を保っていくという。その背景には、auとは音楽配信事業で提携していること等から、au向けの開発・生産は当面続けなければならないという事情があるようだ。一方、ソニエリが世界で4番目のシェアを誇るという事実、そして2月のMobile World Congress 2008では、同社初のWindows Mobile端末「XPERIA X1」を発表していることを考えると、やはり国内よりも海外への事業展開を検討しているようにも思える。要は、NOKIAと勝負できるようなメーカーを目指しているのだろう。個人的にはPDAへの回帰を是非お願いしたいところではあるが、PDAが日本では受け入れられなかったことを考えると、無理な話だろうし、「XPERIA X1」が国内に投入されることも考えにくい。ソニエリの場合、ブランドイメージが先行しすぎたのと、個性的なモノばかりが販売されたのが、国内ではちょっとマニアック過ぎたのかも知れない。

しかし、である。
今回の撤退報道、実は裏に何かあるのではないか、と勘ぐってしまうのだ。

音楽配信事業。海外市場。携帯電話。この3つのキーワードを結ぶと、対峙するように出てくるのが、海外市場を賑わせているリンゴのマークを付した携帯電話である。国内市場においても、リンゴの参入を巡り各社が競って綱引きをしていた、という報道が以前流れていたことをふと思い出したのだ。

実は、DoCoMoへのリンゴ参入がある程度固まり、それを受け、中長期的に見て事業継続しても、収益向上の見込みが薄いと判断したメーカー側が、相次いでDoCoMoからの撤退を表明した。そしてソニエリもそれに追随したように見せかけながら、これまでの関係を考慮しても、リンゴとの共存は無理という判断で、DoCoMoからの撤退を表明した、というのはちょっと稚拙な考えだろうか。
要するに、表舞台からは姿を消すとともに、他社への技術提供などによりバックアップ体制を構築することで、リンゴの迎撃体制を整えようとしているのではないかと、ふと思ったのだ。
いずれにせよ、メーカーからはそっぽを向かれ、更にユーザー側の選択肢を摘んでしまったDoCoMoは、今後経営戦略の検討を図らなければならないのではないか。

もはや携帯市場は飽和状態にあると言っても過言ではないだろう。新規契約のターゲットはどんどん低年齢化しているように思えるし、大体にして、新機種投入のスパンが短すぎる。更に、DoCoMoの新料金プランでは、機種交換の頻度が更に減るから、携帯電話本体の流通量も減少していくはずだ。

近い将来、リンゴのマークを付けた「黒船」がやってくる前に、携帯市場には更なる大きなうねりが押し寄せそうな気がする。

ここまではあくまで僕の推測の域ということで受け流して下さい。

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